■予告
■あらすじ
国王ティ・チャラを失い、悲しみに包まれるワカンダ。先代の王ティ・チャカの妻であり、ティ・チャラの母でもあるラモンダが玉座に座り、悲しみを乗り越えて新たな一歩を踏み出そうとしていた。そんな大きな岐路に立たされたワカンダに、新たな脅威が迫っていた。
■ネタバレあり感想
『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』(原題:Black Panther: Wakanda Forever)
MCUフェーズ4の最後の作品で、コミックヒーロー映画としては初となるアカデミー作品賞他7部門ノミネートされた『ブラックパンサー』の続編になります。ブラックパンサーことティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが亡くなったことにより、映画もティ・チャラ国王が亡くなったワカンダ国の姿を描いています
誰かがTwitterで話してましたが、フェーズ4はディズニープラスでドラマが始まった時で迷走してるとは言われてましたが、フェーズ4は新キャラが出る映画は分からないけどエンドゲームからの既存キャラ達の「損失」と「悲しみ」を描いていて、それをどう乗り切るかを描いてるんじゃないかと言われています
確かに『ブラックウィドウ』も彼女自身が損失や悲しみである存在ではあったし、スパイダーマンも色々失うけど大いなる力には大いなる責任を自覚するし、ソーもコメディよりだったけど愛を失いかけて愛を知ったり、確かにそのとおりではあるかなとは思います。
今回に関してはそのテーマの集大成というかそれが一番強かったかもしれません。ティ・チャラを亡くした国とシュリがどう悲しみから乗り越えるか、そしてMCUやそのファンたちがチャドウィック・ボーズマンを亡くして共に乗り越えるような作品になってたかもしれません
それが良くもあったし悪くもあったなとは感じました。悪い部分に関しては後半話しますが映画の良い部分から話していきたいと思います。けど見終わって少し経つけど、たぶん不満点の方が多いかも
全体的に前作の『ソー ラブ&サンダー』のようないつものMCUノリはどこへいった?と言わんばかりのかなり力の入った作品になってて、もっと言うならライアン・クーグラー作品の力がより出ていた感じはしたし、賞レース向きに作られたんじゃないかという感じはしました。悪く言えばアカデミー賞ノミネートされたから、またアカデミー賞を取りに来たんだろうなというのが第一印象
けれど前作以上に映像や色彩などCGを使わないだろう部分の力の入れ具合は素晴らしいし、CGも前作よりかは良くなってて海中とか海のシーンは特に美麗でした
脚本もかなり力強さが現れていて、本当に映画全体力が入った作品なのは確かです
詳しい考察とか解説とか全くできないんだけど、今回のヴィランであるネイモアがシュリにネイモアの国を案内するシーンは一瞬ではあったけど仲が良く話してるシーンはある意味MCUだと新鮮で好きだったし、結構この海中のシーンだけでネイモアを好きになりました
ネイモアも別に悪いやつとかじゃなくて、ヴィルラニウムを取りにくる人間を恐れ、そして使われて侵略されることで国民たちに被害が及ぶから今のうちに滅ぼすという考えを持ちます。その説明だとか訴え方の説得力がかなり強いし、伝え方に関しても上手くてネイモアは人間ではないし国王で共感しにくいだろうに共感しやすかったです
それにやっと見られる戦闘シーンも単独での戦いとかあのパワー系で普通にエンドゲームでも宇宙人とタイマン張れたエムバクをワンパンで倒す強さ持ってて以外にもハルクを簡単に倒したサノスレベルの衝撃はあったし、国の侵略の仕方を見ても頭が良いんだろうなと分かります
目線的にはブラックパンサーの作品というより、ブラックパンサーを失い国王も失ったワカンダの国の話を聞いてる感じでしたね。だからひとつの大国の歴史が動く瞬間というか、歴史の授業で聞く話題をかなり大作にした感覚にはなりました。だから好きな人は好きだろうし、嫌いな人は嫌いです。
架空の話だけど国の歴史を描いている分には素晴らしいです。しかしヒーロー映画としては10点中0点になっている作品です
不満点部分はやはり半分はそこで国を動かす大規模な作品として見る分には楽しめますが、これがヒーロー映画かと言われたら微妙だし、戦う理由に関してもどちらかと言うと「敵の国が進軍してくるから、ワカンダの新国王が頑張る」みたいな感じがしてヒーローが戦うというよりかは、悪い言い方戦争映画のような感じです
CGも良くなったとは言いましたが、一部のシーンに関してはかなりCGぽさがあったりはしました。例えばワカンダの飛行機とか、飛行機を飛んでるときのワカンダの町並みは相変わらずCGぽさはあったり、電子的な盾もCGぽさがあったりしたからダサく感じたりしました
特に一番そう思ったのは序盤のティ・チャラの葬式シーンで、葬式シーンの美術とか彩りとか素晴らしいんでが、彼の棺が飛行機でUFOみたいに上に登る時のCGがチープ過ぎて葬式シーンだから笑っちゃいけないのはわかるんだけど、これがあまりにもシュール過ぎて笑いそうにはなりました
あと新しいスーツがブラックパンサー以外何個か出てきて、シュリが着るブラックパンサーのスーツに関しては問題はないんだけど、アイアンハートやオコエ達が終盤に着るスーツに関しては少し不満はありました。
アイアンハートのスーツを予告か何かで見たときに最初のそのデザイン見たときはかっこいいし特撮ヒーローのようなデザインだなと自分の中では好評だったんだけど、いざ映画を見ると動いてる時はそんなにかっこいいかと言われたら微妙だったし、オコエのスーツも本人が言うように(それを狙ってたかは分からないけど)結構ダサかったり、スーツの色合いもどちらかと言うと最近のソーやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの世界観に近かったから、ブラックパンサーの世界観に合うかと言われたら微妙です。今のMCUの色合いがカラフルになってきてる世界観に合わせてかもしれませんが
あと映画がそういう設定が設定だから仕方ないけど、2時間40分くらい常に葬式モードの雰囲気で見ていて逆に疲れたし、シュリが少しジョーク言ったりするシーンもあまりそれが合わないときがありました。常に葬式モードだったから、ワカンダの世界にいないであろうネイモアやアメリカのキャラクター達もなぜかそれに合わせたような葬式モードぽさはあったりして、映画の強弱があまりなくて結構退屈でした
一番の欠点で正直しょうがない部分もあるんだけど、チャドウィックボーズマンが亡くなったことでの俳優の力量とかが見えちゃったことです。例えば『シャザム!』の福田雄一監督の日本語吹き替え版は豪華な声優陣ではあったけれど、みんながみんな個性ありすぎていて演技や声のパワーバランスがかなり傾いていました。脇役も豪華にするのは悪い話じゃないけど、けれど主役を立てるために脇役の配役もバランスを取らなかったりしないといけないので個性的すぎる豪華メンツだとずっとは聞いてられないです。なんかコース料理が全部油っこかったり、子供が好きそうな料理ばかりは嬉しいけれど終盤まで全部食えるかと言われたらそうじゃないですか
話が少し逸れましたが本作はその逆バージョンでチャドウィックボーズマンが亡くなり代役を立てずに映画を進めたのは構わないけれど、そのチャドウィックボーズマンがいなくなった際の俳優陣の力量が彼のぶんまで補えたかと言われたら微妙です
たしかに演技自体は悪くはないし、シュリがブラックパンサーになると言うのも悪くはないんですが、元々チャドウィックボーズマンという主役を立てるためにバランスを作った配役をいざそのままやろうとした時にそのチャドウィックボーズマンがいなくなった穴を埋められたかと言われたら埋められてないし、かなり弱く見えました
もっと言えばブラックパンサーという大作というよりサブキャラクターのスピンオフを見ているような感じの方が強いです。
しかも誰かひとりが主役というよりかは、ワカンダの国の人々が主役という配置になってて、より焦点にばらつきが見えてしまったりしました。たぶん自分が「全員が主役」みたいな感じが嫌いというのもありますが
それに確かにチャドウィックボーズマンの死は悲しいし、チャドウィックボーズマンのブラックパンサーは黒人の人からは希望の光のような存在なのは分かるけれど、チャドウィックボーズマンを知らない人が見るとたぶん長い葬式を見せられてるような感覚にはなるかもしれないし、俺もそれを含めると俳優とキャラクターは別物だからチャドウィックボーズマンの死は悲しいけれど、映画は別で代役を立てればよかったんじゃないのかなとは感じました
■評価
最終評価は・・・
😀😀😀😀😀|😀●●●●
10点中6点です
一応作品としての総合的な出来上がりは素晴らしいし、何度も言いますが力強さはあります。『ロード・オブ・ザ・リング』とか好きな人にはハマるかもしれません
はい、そんな感じで!
それでは!