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映画『沈黙のパレード』評価&ネタバレあり感想 3作目も実に面白い


■作品紹介


公開日/2022年9月16日

上映時間/130分(2時間10分)

監督/西谷弘

制作国/日本

■予告


■あらすじ

数年前から行方不明になっていた女子高生が、遺体となって発見された。警視庁捜査一課の刑事・内海によると事件の容疑者は、湯川の大学時代の同期でもある刑事・草薙がかつて担当した少女殺害事件の容疑者で、無罪となった男だった。男は今回も黙秘を貫いて証拠不十分で釈放され、女子高生が住んでいた町に戻って来る。憎悪の空気が町全体を覆う中、夏祭りのパレード当日、さらなる事件が起こる。

引用元:沈黙のパレード : 作品情報 - 映画.com

■ネタバレあり感想

『沈黙のパレード』

フジテレビで放送された月9ドラマの東野圭吾原作『ガリレオ』シリーズの『容疑者Xの献身』『真夏の方程式』に次ぐ3作目の劇場公開作品です。メインキャストは福山雅治北村一輝は続投で柴咲コウが帰ってきました。『真夏の方程式』から9年ぶりの劇場公開になります


ガリレオシリーズはかなり大好きです。福山雅治が好きというところから始まりましたが、ドラマはスペシャルドラマ含め全部見ましたし、劇場公開された映画2作もかなり好きです。どうでも良い話だと人生で一人映画館に向かったのも『真夏の方程式』でした。


公開される前に久々に『真夏の方程式』を見直しましたが、4回くらい見ている作品なんだけど今見ても面白いしラストシーンは大人になったからなのかかなり心に来るシーンでわかってはいても泣きそうになりました。『容疑者Xの献身』は見返してませんが、数回見た作品で思い返してもいい作品なのは変わらないです。今現在の点数を言うなら『容疑者Xの献身』が9点で、『真夏の方程式』が10点になります


話が少し長くなりましたが本題に入ります。
3作目の『沈黙のパレード』も楽しみで見ましたが、本作もかなり楽しめたし、見たあとは有意義な時間を過ごせたなと感じれました。(後ろの席のやつが何回か足を組み替えてなのか席を蹴る音には悩まされましたがまぁいいや)


今までの劇場版同様に人の心情だったり、殺された遺族たちの気持ちをより映してはいたけれど、前作2作と比較すると本作はどちらかというとドラマ版のようなエンタメミステリー的な要素がかなり強くて、どちらかと言うなら犯人探しやミステリーの紐解きやパズルを組み合わせる楽しみが強かったように感じました


また本作は湯川学よりも北村一輝演じる草薙や、柴咲コウなどの警察側を主軸にしているので福山雅治演じる湯川学は主役ではあるけど、劇中のキャラクターたちの仲介や中間の立ち位置に立っていましたね。わかりやすく言うと『パイレーツ・オブ・カリビアン』の1作目のジャック・スパロウみたいな立ち位置には感じました


ただ何度も言いますがミステリー部分に関しては自分も「こいつが犯人だろう」とか結構2時間10分の長い尺が短く感じるくらいに考えながらストーリーは見ていたし、劇中の会話に出てくるパズルのピースみたいにどんどんパズルのピースがハマるような感覚はかなり見ていて楽しかったです。


また北村一輝がこの映画で一番輝いていて、最初の犯人の顔を見た瞬間に吐くシーンはかなり生々しかったし、被害者たちに事情聴取したり捜査するに連れて自分が犯人を法で裁けなかった辛さも背負っているから、どんどんやつれてヒゲも生えクマもできていたり、たぶんクマとかはメイクなんだけど、そのやつれっぷりを演じた北村一輝の演技はかなり説得力あるし、逆にもう見てられないってほどになるから、かなり素晴らしい演技をしたなとは感じましたね


映画のキャラクターもかなり魅力的な人物ばかりだし、殺害された並木佐織に対する愛や心情を序盤ダイジェストながらも見せることで以下に佐織が殺されて悔しかったり悲しんだりするのかがより分かりやすかったし、そのあとのキャラクターたちの行動や気持ちも序盤で彼らの心情をもう分かるからより受け止めやすかったのは映画としては上手かったですね


たぶんこのダイジェストのようなキャラクター紹介や、並木佐織という人物がどれだけ愛されてるかというシーンは好き嫌いは分かれそうだけど、話の構成上これくらいが一番バランスはいいとは思います


あと個人的に実に面白かったのは湯川学のキャラクターでしたね。基本的には事件に関与はしないで興味深い不可解な事件に関しては協力したり、草薙に対しては親友の立場で立っていたりという部分に関しては変わりはないんですが、結構性格面や中身が初期に比べておおらかになったというか丸くなったような感じはしましたね


たぶん歳をとったからというのもあるし、『容疑者Xの献身』や『真夏の方程式』などで人に対する感じ方や愛などに科学とは無縁なことに触れてきたから様々な部分のシーンで棘がなくなったように感じましたね


例えば「なみきや」という居酒屋ではひとりで食事してはいますが佐織の妹の夏美や他のお客さんに積極的に話しかけられたりするときも常に笑顔で対応してたり、その夏美と一緒にパレード見たり、パレードのフロートを動画や写真撮影したり、結構街のお祭りを笑顔で楽しんでたりと以前では考えられないくらいかなり丸くなったように感じました。


一番は映画の初登場シーンでシャボン玉を計測する際に子供がいながらも自ら子供二近づいてシャボン玉を計測してたり、その子供に対しても以前は「苦手じゃない。嫌いなんだ」から本作は「嫌いじゃない。苦手なんだ」に変わってたり


湯川学という人物はかなり頭が良くても変人扱いされる人物ではありますが、今までのガリレオシリーズを見てきたファンからしたらここまで変わるとは思ってはいなかったし、人の心情や悩みとかに寄り添える人物に成長したんだなという感動はありましたね







一応不満点に関しても話していきます。
一番の不満点は映像と音声部分がかなり気になりました。音声に関してはちょいちょいなんですが、声のボリュームが微妙だったりノイズが入っている箇所があったりして、それが目立ったのはあるキャラ2人が夜の公園で話すシーンでかなり重要なシーンなのにそこはかなり気になりましたね


映像に関しては映像というより証明とか色彩部分が気になって、前2作を見る人ならわかるかもしれませんが本作と比べると本作がかなりドラマのような映像に近い感じはしてました。


『容疑者Xの献身』は冬だから暗い感じの映像になってたし、『真夏の方程式』は逆に季節が夏だから暖色系の色味や光加減が強くて、そういう意味でも見てるだけで寒そうや熱そうだと実感できます。
本作は特に決められた特徴的な季節はないけれど、前2作と比べてしまうと映像が圧倒的に物足りなさはありました


だから映画ではあるんだけど、なんか大画面でスペシャルドラマを見ている感覚があって物足りなさと安っぽさが少し目立った映像だったなとは感じました。


その映像の中で湯川が推理するシーンで酸素を薄くする解説をしているときに、空気清浄機のCMのような映像使われたときは少し冷めましたね。安ぽいのにより安くなってしまったし、ガリレオの映画シリーズも今のドラマの映画版のような流れになってしまったのかなと別にそこまで深く考えなくてもいいんだけど考えてしまって


音楽の使い方に関してもちょっと微妙でしたね。音楽そのものは相変わらず素晴らしいんだけど、結構思ってたよりもドラマ版ガリレオのサントラが多く使われてて使うのは良いんだけど、見ていて「使えば喜ぶだろ」みたいな感じの適当な使われ方をしてましたね


特に気になったのは事件の再現実験をする際にその準備をするシーンでなぜかガリレオのメインテーマである『vs 知覚と快楽の螺旋』が使われてて、「なんでこんなシーンでこの曲使うのかな?」とは思いました。結構可笑しかったです


あとちょいちょい気になったのは子役とかエキストラの使い方ですね。メインキャストの後ろで歩いたり何かするというのがエキストラの役目なんですが、たぶんこれはスタッフや監督の指示とかが悪いからエキストラのせいではないんだけど、例えば湯川学がシャボン玉を観察するシーンも2人くらいならまだしも、あんな店の前で8人9人の子供がシャボン玉やるかなと


あと福山雅治柴咲コウがファミレスで会話するシーンで会話そのものは面白かったし笑えたんだけど、店の外で花火をする人達が映ってるのが気になりましたね。あれもたぶんエキストラなんだろうけど、ファミレスがあるような町中で花火やってもいいのだろうかというそっちに考えが行っちゃいました


そのあとのパレードシーンも子どもたちが一斉に海賊のパレードシーンで走り寄ってきたり、海賊が剣を振ると審査員がリアクションするのはわかるけど、一般客もいるだろうお客さん達もリアクションとってたり、これが数人じゃなくてほぼ全員だからなんかリアリティがないというか、逆に全員吉本新喜劇やってましたかってくらい面白可笑しかったですね


不満点はこれくらいで、ここからは俺の戯言なんですが本作も人間ドラマ要素はありましたが、正直個人的には理解はできるけど前2作よりかは感動値は薄いです


ガリレオの劇場版って物理要素は少なくて別に湯川じゃなくてもいいんじゃね?という事件ばかりなんですが、じゃあその変わりに何が来るって完璧な頭の良い湯川学が科学では証明できない人の愛や心を知る話でもあるんですよ


『容疑者Xの献身』は愛は非科学的だと批判して愛を分からずにいたけど、愛を持った犯人に事件の解決にはなったけど愛そのものに破れた映画で
真夏の方程式』は嫌いなはずの子供と寄り添うことで愛に触れてみたり、寄り添おうとする映画なんですよね


それを含めて本作の湯川学は丸くなったし、より人と触れ合う様を見せてはいたけどメインが草薙というのもあるけど、じゃあ本作で湯川学がなにか愛やら心に関して成長する部分があったかは微妙だし、そもそも草薙と湯川が親友だから湯川が寄り添うのは別に特別じゃないなとも感じました。


だからたぶんこの考えは俺だけではあるんだろうけど、そこに期待して見ると多少物足りなさはある作品ではあるから、純粋にエンタメのミステリー映画として見る分にはちょうどいい作品なのかもしれないし、全体的に楽しかったから、つまらない作品ではないです


■評価

最終評価は・・・




😀😀😀😀😀|😀😀●●●


10点中7点です



久々のガリレオシリーズ楽しめたので良かったです。とりあえずスペシャルドラマの禁断の魔術をまだ見てないのでそちらも早く見たいですね

あと主題歌の『ヒトツボシ』が神曲





はい、そんな感じで!

それでは!