◼️作品紹介
公開日/2022年6月10日
上映時間/73分(1時間13分)
監督/赤城博昭
製作国/日本
◼️予告
◼️あらすじ
とある中学校で、隣の席の女の子・高木さんに何かとからかわれている男の子・西片。どうにか高木さんをからかい返そうと悪戦苦闘するも、いつも彼女に見透かされてしまう。3年生に進級し周囲が将来を考えはじめる中、2人の距離はいまだ変わらぬままだった。夏休みが始まる前日、高木さんと西片は帰り道で小さな子猫と遭遇する。2人はその子猫に「ハナ」と名づけ、母猫が見つかるまで神社の境内で世話することになる。
◼️ネタバレあり感想
『劇場版 からかい上手の高木さん』
山本崇一朗原作の小学館『ゲッサン』にて連載の『からかい上手の高木さん』のアニメ化したシリーズ初の劇場版作品。地上波アニメは3期まで放送された人気作になっています。
とっととさっさと本題に入ると本作は2022年のベスト映画候補の神作になっていました
たぶん映画を見た人は「別にOVAや普通に地上波アニメでよくないか」という意見も出そうですが、劇場版だからこその素晴らしい点も沢山あるし、『からかい上手の高木さん』だからこその尊くエモい部分もありますのでそれらの感想を言えたら良いなと思います
まず序盤から素晴らしいんですよ
毎度お馴染みの高木さんと西片のやり取りから始まるわけですが、予告でも流れた相合傘の絵かと思いきや魚の骨でしたというからかいから始まります。これだけで疎いんですが、そこから天気は雨から晴れになって、どちらにせよ西片と高木さんは雨なら相合傘で晴れなら遠回りしてでもグリコして帰るという形になるから「こいつら結局二人して帰るんやんけ」となるし、実はからかわれてたのは視聴者である俺らなのではないかとなるんですよ(はぁ?)
そこからのOP曲が流れた時のアニメーションの美しさとかも素晴らしいんですが、なにより素晴らしいのがちゃんと西片と高木さんがグリコして帰ってること。
「え?別に普通やん?」と思うそこの貴方!違うんです!たかがグリコじゃんけん。されどグリコじゃんけん。中学3年生となれば同性とならまだしも異性とのグリコじゃんけんなんて途中でいつか飽きる!しかも二人だけなんて尚更!田舎だから?それもありますが、時代設定が2022年になっているからそれでも途中で飽きるに違いない!どちらか一方は!
それでもこのOPで二人だけのグリコじゃんけんを見せられて終わってもゴールまでちゃんとゲームをする。それこそ、お互いがその相手だからこそ例えグリコじゃんけんでも最後まで楽しめるし、二人だからここまで楽しくできる。それが恋か友情かは中学3年の時点ではまだ右往左往する感情ではあるけれど、このOPまでの時点で初見の人でも「この二人が固い絆で結ばれている」「この二人はこの相手だからこそ楽しく過ごせるんだな」と認識できる作りはエクスタシー!!
そこからのプールの授業や虫送りなどもかなり尊いしエモい。このエモさと尊さだけでかなり観る価値は十分にありますが、一番素晴らしいのは虫送りのシーンはアニメーションが本気だしてる
まぁ大抵はかなり本気だしてるし、テレビでやってたアニメが映画にする時のお手本映画レベルで作画は素晴らしいんだけど、とにかくこの虫送りのシーンの夜空が綺麗なんですよね!!映画館で見るとまさにプラネタリウムというか、本当に山々のなかで観るような星空というか
祖父母が東北の山奥に住んでいたので、こういう景色は年一くらいしか観れないんですが夏でも星が綺麗だし、散り散りの星達が逆に雲のように感じるような作画は素晴らしいと思ったし感動しましたよ!
エンドクレジットに映るアニメの名シーンは後々話しますがこれもまた生かされてて、その一つに地上波で放送した星空と映画の星空は一目瞭然で違うのは感じられます
その後後半から夏休みエピソードになって、白猫のハナちゃんと西片と高木さんの物語に入ります。
このハナちゃんがまた猫好きな自分からしたら可愛くて仕方ない!ベストヒロイン賞レベルの可愛さだよ!ハナちゃん!
しかも里親見つかるまでハナちゃんを育てる間の西片と高木さんの二人の姿ややり取りがもう新婚夫婦なんよ!
赤ちゃんができたばかりの夫婦かよって思うくらいそう見えてしまったし、観ている間ずっと「はやく結婚しろよ!」と何度思ったか
このエピソードがまた中学生だから出来る範囲内での話だからリアリティあるし、かなり応援したくなるのは良いんですよね。よくある『スタンド・バイ・ミー』みたいに冒険したり、島を出て都会に行くのも別に良いんだけど、この映画なのにデカイ事件ではないけど出来る範囲内の小さな出来事が彼らにとっての大きな出来事に感じるし、場所を離れずに終始二人のやり取りも変わらないという点を見ても「彼らはこれからも変わらず仲良しなんだな」というのが分かるシーンなんですよ
あとはその後ある子供がハナちゃんを見つけて飼おうとした際に昔飼ってたネコの名前がララだったかナナだったか忘れたけど母音のaaで呼んでハナちゃんが別の名前では鳴かないはずなのに鳴いてしまうというのも上手いなと感じたし、それを見た高木さんの今まで見たことない感情や表情もアニメで伝えて息は詰まるし、そこで西片が海をバックにした高木さんに言った台詞は「よく言った!」となるしでさ……
全部がエモいんだよ!助けてくれ!
それに皆さん気づいた?西片が高木さんに告白レベルに言った台詞の時の顔がさ、中学生の顔じゃないんだよ。けど大人びてない。なんかまだ中学生という肩書きはあれど、これからまた一つに大人へと成長したかのような顔になってる。それは大好きな人を幸せにしたいという責任と決意が込められたかのような、子供の考える「好き」じゃなくて、そこから一歩踏み込んだ「好き」の感情を表した顔になってるんだよ。この顔の描き方が素晴らしいなと
それにエンドクレジットのアニメの使い方も素晴らしいというかたぶんこれは製作陣が意図して作ってないやつだから、100%俺の考えがガッツリ絡むんだけどさ
エンドクレジットのアニメが1期から3期まで放送されたアニメの名シーンが流れるんですが、ファンサービスだし他の映画でもよく使われてるのは分かるけど、俺は映画を見終わった後この名シーンの数々を観て凄い西片と高木さんが幼く見えた
中学1年の彼らの顔や表情を見るとかなり幼く見えたし、本当に「好きだけど伝えられないからイタズラしてしまう」ような可愛い関係性だなという感じに見える。これは勿論良い意味でだし、逆にそれが本編を思い出すと本当に高木さんも西片もこの中学3年の夏で姿も心も成長したんだなというのが実感できるんですよ。これはかなり好きだった
好きなシーンをもう一つあげると、ミナとユカリとサナエが船に向かって「おーい」と手を振るシーン
ミナとユカリとサナエのエピソードは中学生最後の夏休みだから何か色々としたい。色々したいから100個やりたいことをやろう。けどだんだんリストが埋まってくると悲しくなってきて夏休みが終わってしまうシーンからのこの船のシーン
彼女達はその場に立ち止まり船に向かって手を振るんですが、これ時間に置き換えると彼女達が「今」という時間として船が「過去」でもあり「未来」へ進む形に俺は見えたんです
ようはどんどん時は進んで過去へ向かっていき、「今」とサヨナラしなければいけなくなる。
けどだからこそ、その「今」を十分に楽しんで生きる。そして違った目で見れば船が未来へ進むようにも見える。俺はそう感じました。かなり説明は下手だけど
けどたぶんそこまで深く考察するレベルではないけどさ、なんかあそこのシーンはかなりジワジワくる寂しさもあり希望にも見えたんですよ。これから3人がどんな状況になっても、3人の過ごした時間は変わらないし、絆は浅くはならないことを見せてくれたようなシーンにも感じました
とりあえず全体的には全てがエモいし、尊いし、さらには感動します。70分の短いアニメ作品ですが、かなり濃密な内容になってたのは間違いないです。素晴らしい作品でした!
◼️評価
最終評価は・・・
😀😀😀😀😀|😀😀😀😀😀
10点中10点です
ちなみに話すと俺は作品は好きだけど、ガッツリなファンではないです。けれど素晴らしい作品だったのは確かだし、今年ベストは確定だと思っています。ぜひ劇場で観てみてください!
はい、そんな感じで!
それでは!