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映画『大怪獣のあとしまつ』それでこのクソ映画のあとしまつは誰が責任とるの? 評価&感想

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◼️作品紹介


公開日/2022年2月4日

上映時間/115分(1時間55分)

監督/三木聡

制作国/日本

◼️予告


◼️あらすじ

人類を恐怖に陥れた巨大怪獣が、ある日突然死んだ。国民が歓喜に沸く一方で、残された死体は徐々に腐敗・膨張が進んでいく。このままでは爆発し、一大事を招いてしまう。そんな状況下で死体処理を任されたのは、軍でも警察でもなく、3年前に姿を消した特務隊員・帯刀アラタだった。

引用元:大怪獣のあとしまつ : 作品情報 - 映画.com

◼️ネタバレあり感想

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『大怪獣のあとしまつ』


『俺俺』『音量あげろタコ』『時効警察』などの三木聡による特撮などで倒された怪獣がその後どうなるかという部分に着眼した映画になっています。特撮映画というよりお仕事ムービーな雰囲気はありますね


それで俺は公開から数日経ってから鑑賞しましたが、公開初日からかなりの酷評が多く出回り何故かTwitterのトレンドにもなったり、そして酷評の中その週の興行1位になりました。かなり不思議な映画です。
とりあえず今から話す感想は俺がエンドクレジットのおまけ映像も含め全部ちゃんと観た個人的な正直な感想になります。そこだけは理解してここからの感想を読んでくれたら幸いです


結論から言うとクソでした
世間は『令和のデビルマン(実写版)』と言われてますが個人としてはそれはデビルマンに失礼です。


実写版のデビルマンは確かにツッコミ部分はあるし、コレジャナイ感も多少はあるし、演技も下手な役者が多いです。ただまだそのダメな部分が愛くるしいし笑えるし、一周回ってまだ笑いながらツッコめるクソ映画なんですよ。それにデビルマンに対する敬意はあるとは思うし、変な部分はあるけど真剣にやってるのは分かるし、褒めるべき点はあります。まぁアニメ版のデビルマン観たことないからこんなこと言えるかもしれませんが


ただこの映画に関してはツッコミ部分はあるけれど笑えないし怒りも湧かない。とにかく2時間無の感情のまま映画を見続けないといけない感じです。
それがどんな感じで、どうしてそんな感情になるのか詳しく話していきます


まずコンセプトと冒頭の部分は面白いです。冒頭の部分は『AKIRA』の爆発シーンからのエヴァンゲリオンのような文字エフェクトだらけのナレーションから、大臣達の服の話と怪獣は何ゴミかとか大臣たちのキャラ紹介の会話シーンまでです。ちなみにこの大臣達のキャラクター紹介で「この人はこういう人」「こういうキャラですよ」と説明的に紹介するし、特にキャラ紹介しなくてもその後の物語に影響がないというツッコミはまだ許してる前提で面白かったです


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それから『大怪獣が死んだあとの処理をどうするか』というコンセプトに目をつけてそれをメインにしたのは面白いけど、意外性はそこまで感じられませんでした。
よくよく考えたら例えば『ゴジラvsコング』でギドラの死体を利用してメカゴジラ作ってたり、『パシフィック・リム』シリーズでもカイジュウの死体を利用したりビジネスしてたり、あとはB級だけど『三大怪獣グルメ』という映画では死体ではないけど切り落とされたイカやタコの怪獣の腕を食べたら美味くてグルメにしたりとか結構色々あるんですよ


大怪獣の死体処理というのは確かに考えた事はあるけれど、これを観るならまだ名前あげた映画の方が方法としては納得はいくし、あとはまだ『前田建設ファンタジー営業部』みたいな形でやるならまだ許せたと思う。その形ならあのラストも「まぁ結局はそうなる方が平和的だよねー」なオチで終われたし納得はいきます


それでここから本格的な不満点をあげるけど、やっぱり皆が言う通りギャグが笑えないんですよね。
山田涼介演じる主人公達の特務隊側と西田敏行演じる首相中心の内閣側パートとありますが内閣側パートがコメディ色は強いです。


ただそのコメディ部分が政治のブラックコメディとかならまだ面白かったんだけど、大の偉い大人達がウ○コやゲロとかチ○コをキノコに見立てたりとかかなり下ネタが多いです。子供達が観に来ればまだ劇場内は笑顔に溢れたんですが、残念ながら俺が見た劇場はおじさんばかりでした


ただ下ネタくらいならまだ良いんだけど、結構良い大人達がやらなさそうな子供のような動きをしたりしてて、それでも笑わせようとするから見ているこちらが恥ずかしくなります。立ち上がらなくてもいいのに立ち上がって話してから座ったり、首相の周りをグルグル走り回る人がいたりとか、特撮ぽいというかただただバカらしいです。


会議室(?)のデザインはSFぽさがあるのは良いんですが、そのセットが映画というより舞台演劇ぽいんですよね。ある大臣の秘書がわざとらしく吹き飛ばされる動きしながら下手側に暗闇に消えたりと、さっきのツッコミ部分もふまえると内閣側のシーンだけ映画というよりコメディ舞台演劇を観てる気分になります。


だから真剣にやっている特務隊側のシーンと比べても色が違うと言うより、内閣側と特務隊側で「話が奇跡的に噛み合ってる違う二つの世界を見ている」感じになるんですよ。だってあの会議室シーン以外の大臣達の演技普通の振る舞いしてますからね。余計おかしくなりますよ


一番このコメディシーン何がムカつくって「笑ってください。お願いします」「これ笑えるシーンだけど笑えるよね?」って笑わせに来てること。ようは客に媚売って客を味方につけようとしながら笑わせるその精神が気にくわない


笑えるお笑い芸人とかってなんであんなに笑えるかって「楽しませよう」とする精神も勿論ありますが、「俺たちの漫才で観客を笑わせてやる!」って絶対に笑わせるという挑む精神があるからなんですよ。だからこそコメディとかって簡単そうで難しい


「観客は敵だからお客を味方につけるのはダメだ」とあるベテラン俳優が言ったり、演劇やるなら誰もが聞くフレーズですがこの映画はそのダメなパターンをやったってことです。だから観ていてもう怒りを通り越して呆れた


笑いのセンスがないのは別に構わないけどセンスがないから「笑ってくれ」と悲願しながらコメディやるなよ!それが一番冷めるギャグだってなんで分からなかったんだよ。別にスベる芸も下ネタもやるなとは言わないさ。ただやるならしっかりやれよ!ギャグを言うタイミングも動きも全部が予定調和だし悲願してんの見え見えなんだよ下手くそが!!




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特務隊側の話は怪獣の処理をどうするか、どうやるのかという部分に焦点を起いていて映画のメインになっています。
それと同時に山田涼介、土屋太鳳、濱田岳の3人の話しにもなっています。


大怪獣駆除と同時に内閣で「誰が責任とる?」という人間の大ごとになった時の落とし前の擦り付けや、ガスや菌などが蔓延した時の対象の大変さや、特務隊含めた軍が内閣に振り回されながら働く大変さなど描きたいことは分かります。何を伝えたいの?とは少なくともあまりなかったかな。勿論怪獣の死体駆除というのが一番やりたかったんだろうね


ただその材料はあるけれどしっかりとは生かされずに終わってしまった印象はあります。戦争で自分が使いたい色んな種類の爆弾をかき集めたけど、何故か自爆してフッと終わってしまったような感じがしました。
やりたいことはあるけどやりたいことがありすぎてしっかり整理が出来ていなかったなという印象はあります


そのメイン3キャラも同じです。大怪獣の死体処理の最中で起きる三角関係を描きたかったのかも知れませんが、説明すべき部分があまり説明されていなくて、変にキスシーンを多く見せすぎなせいで恋愛パートがしつこく感じ説得力があまり感じられない


ここから俺の考察だけど、もうネタバレすると山田涼介はウルトラマンのようなヒーローで失踪して怪獣倒して地球に帰りますがまた変身したらたぶんだけどもう二度地球には戻れないから最後まで変身はしなかったと思います


濱田岳は山田涼介の正体をしっていて色々と山田涼介を邪魔したり作戦をコロコロ変えたりとはします。それは山田涼介の招待を暴くのが目的で、そして妻である土屋太鳳を元カレである山田涼介にとられたくないからショックを与えてやろうと考えたのでしょう。濱田岳のミサイル発射の時に涙を流したのはよく分かりませんがおそらく土屋太鳳が本当に好きなのは山田涼介であり、今まで行った自分の行いの反省と愛に破れた涙かもしれません


土屋太鳳は山田涼介の正体を知りたいし、山田涼介が失踪した2年の間でモヤモヤした中だけど足を怪我した濱田岳の隣にいなきゃいけないみたいな気持ちで結婚したのかもしれません。


勝手な考察だけどこうして捉えると3人それぞれの物語はしっかり生かされてはいるにはいます。けど上手くいってないんですよ。理由は単純で無駄な部分が多すぎたせいで、せっかく描くはずだったドラマが描ききれていないというような形になっています。


それに山田涼介がウルトラマンみたいになるのも、どうにもならなくなったから最後の手段で使うのも分かります。そこから別れという意味でも感動的なシーンになるのも分かりますが、そこへ持っていくのも下手くそというか、たぶん匂わせに匂わせてどんでん返しみたいなことをしたかったのかもしれませんがそれも上手くいってませんね


逆に途中からもう山田涼介は実はウルトラマン的なヒーローでしたと暴かれて、だけどそれでも土屋太鳳と共にいたい地球に残りたいから人間のまま解決してやる!ってなって最終手段でヒーローになるならまだなんとかなったでしょう


ただ最初からそうなるよなとは分かっていても見ている人達は人間達でどう対象するのかを見たくて観に来たのにそれが観れないし、匂わてはいたけどキャラクターを掘り下げていないから理解が薄いままで終わるし、もっとキャラクターをきちんと掘り下げていればラストも「じゃあ最初からやれよ」とはならなかったんですよ


内閣側の部分なんて全カットしても話しは全然成り立つし、お仕事ムービーとして動きながら3人のキャラを深めて切ないSF物にすれば断然面白くはできたはず。とにかく勿体ない。勿体無さすぎる


本当にアイデアは良いんですよ。だけどかなりエグいことを言うと脚本も映画としてもとにかく見終わった後センスがないなと感じた。
もっと言うなら別の監督ならもっと良い作品に出来ただろうなと。
これに関してはただただセンスが悪いか、まとめすぎたかのどちらかなんですけど、やりたいことを全部やろうとして整理も出来てない時点でセンスがないから前者でしょう


細かい部分でもセンスのない所はあり、例えば無闇やたらにスローモーションを使う。アクションでスローモーション使うなら分かるけど、歩いたり、エンジンがかかったりとかするだけでスローかけるのは流石によくわからん。1分に一回はスローかけてる


あとツッコミ部分で言えば怪獣のデカさがバラバラに感じる。遠く観れば小さく見えるのはまだわかるけど、たまに同じ距離くらいなのに大きさがカメラの位置で急に変わったりとか、人が怪獣の上に乗っていても大きさが微妙にどれくらいなのか分かりづらい時はかなりありました。


怪獣から出た菌に移るとキノコが生えると描かれてますが、2人くらいキノコが生えても簡単に取れて取っても別に血は出ないです。それくらい簡単にキノコがとれるなら、被害にあったキノコだらけのYouTuberも早く抜いて助けてやれよと感じましたね


あと被害が体からキノコが生えるのと臭い匂いくらいで、それをギャグにして内閣が説明してるのもあるけど、大怪獣の死体を駆除しないとヤバいと言ってる割にはあまりにも緊張感がない。緊張感が無さすぎるからどんなにガスが漏れようがキノコが生えようが特にどうでもよく感じた


とりあえず映画を観て感じたのは以上です。全体的にクソなコメディシーンがなければまだ良かったかなと思えた作品だけど、やりたいことをまとめすぎて、それがしっかりと整理できないまま進めた監督の力量とセンスの無さも引っ掛かってしまい、やりたいことは分かってても擁護できない呆れた作品になりました。


逆にこんな気持ちになる映画は珍しいですよ。改善点は沢山あって改善すれば良い作品になるけど、改善点を教える気にもならない作品もなかなか珍しいです。
ある意味良い映画体験ができました。ありがとうございます



◼️評価

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最終評価は・・・





😀●●●●|●●●●●

1/10です。



一応第二弾考えてますよー的なおまけ映像ありましたが、別に続編はいらないです。あれもギャグとしてのフェイク予告であってほしいです。いや、これ冗談抜きで。希望もクソもないからさ





はい、そんな感じで!

それでは!