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映画『竜とそばかすの姫』細田守最高傑作ここに爆誕!評価&感想【No.627】

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■作品紹介


公開日/2021年7月16日

上映時間/121分(2時間01分)

監督/細田守

製作国/日本

■予告


■あらすじ

17歳の女子高生すずは幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、現実の世界に心を閉ざすようになっていた。ある日、友人に誘われ全世界で50億人以上が集う仮想世界「U(ユー)」に参加することになったすずは、「ベル」というアバターで「U」の世界に足を踏み入れる。仮想世界では自然と歌うことができ、自作の歌を披露するうちにベルは世界中から注目される存在となっていく。そんな彼女の前に、 「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる。

引用元:竜とそばかすの姫 : 作品情報 - 映画.com

■ネタバレあり感想

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『竜とそばかすの姫』

多少ネタバレありでお送りします

時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』でお馴染み日本を代表するアニメ監督細田守の最新作。


本作は『サマーウォーズ』をより映像や設定を進化させた感じと『美女と野獣』を翻弄させるアニメミュージカル映画になってます。ただ『美女と野獣』を翻弄させると言っても恋愛が強いかと言われたらそうでもない。確かに恋愛要素はあるけどそれよりも別の所に着手している感じはしますね


とりあえず本作は個人的には細田守作品の中でも最高傑作であるということを言っておきます。これはかなり見終わったあとやられましたね。良い意味で


物語は人前では歌えない田舎街に住む女子高生すずが、「U」という所謂TwitterInstagramの最強版を使うことでもう一人の自分ベルとして歌うことができます。その世界を荒らす竜と出会うことですずは彼に接触し物語が動き出すというのが本作の大まかな流れです


まず序盤から素晴らしかったと思います。「U」の世界の紹介をしながらベルの歌声とパフォーマンスを映像美で流し、そこからすずと母親の関係とすずが何故人前では歌えなくなったのか、なぜベルを作り出したのかというのが描かれますがその描かれ方とテンポ、演出は文句のつけようがないです。かなり上手いキャラクター紹介だったと思います


特に母親との別れに関してはシンプルな悲しい別れとトラウマを描きながらも、「なぜ赤の他人の子供を助けて自分を置いていったのか」かなり複雑な心境での別れ方をしているのでこのすずというキャラクターがこのあとどういう成長をするのかなど興味をそそられます


全体としても映像美は素晴らしいし、CGは素晴らしかったし、手書きアニメの部分もあまり不満が残らない感じで今までの細田守はどこへ行ったんだと逆に不安になる部分もあるけれど、なんか細田守がやりたかった万人受けのしないような作品作りをするようになったんだなと思います。


個人的にはUの世界の映像も良いんだけど、すずが川岸で鼻歌交じりで歌っているアニメーションはかなり印象強くてかなり大好きなシーンでしたね。あとのちのち話すんだけどワンシーンを長々と映した会話シーンなんかも。あれかなり無駄な尺稼ぎのように見えて実は結構意味あるシーンだなと感じたからこれも印象に残ってる。


声優に関しても特別下手という主要キャラはいませんでしたね。上手い訳ではないんだけど、その自然体の演技と少しアニメのような演技の中間地点にいる演技な感じがして。けどすず役の中村佳穂は文句のつけようがないくらい歌は勿論演技も素晴らしいですね。あの過呼吸気味の息切れの演技はヤバイですよ。


唯一の不満点はインターネットの書き込みや動画、Uの書き込みなどを読み上げるときの声優の演技が少し聞いてて不快感はありました。たぶん自然でリアリティあるような演技をしたんだと思うんだけど、主要キャラの演技が上手いから書き込みを読み上げる演技が逆に不自然に目だったり、あとたまにわざとらしい演技をする人もいたりしてこれがかなり勿体ないなとは思いましたね




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ここからは一応考察苦手な俺がこの映画を見て受けたメッセージや考えなどを話していきたいなと思います。1回しかまだ観ていないし、的外れな部分もありますがご了承ください。


とりあえずこの映画はそんなに説明もあまりないし、様々なメッセージが含まれているからどんなメッセージを受けようがそれが正解だと思うし、分からなくても恥じることはないというのだけ自分から言わせてもらいます。だって俺でも分からない部分はあったから


SNSという居場所で仮面を被り言いたいことを言っりするという分かりやすい部分も勿論あります。けれど俺はそれよりも、SNSSNSだからこそやってしまう自分もよくしてしまうことをやっていて、実はこの世界で大切な何かが失われているんじゃないかというのを訴えているんじゃないかなというのが第一印象でした。


それは俺たちがただ傍観者になっているんじゃないかということ


分かりやすい例で言えばいじめの現場を観ているけれどただ観ているだけでなにもしない第三者のこととか
自分達もSNSなどのニュースを見てそれをただ鵜呑みにしていたり、被害や事件があったら可愛そうだなとか辛そうだなという気持ちで終わってしまう部分もあったりはする。


ここで大切なのはいかに観るだけじゃなくて、「助けたい」や「救いたい」という気持ちを例え赤の他人に対してでも振る舞うことができるか。
すずの母親が川の事故で亡くなったのも、赤の他人の子供を助ける為。しかし母親は別になにか特別な仕事をしているわけでもなくてただただ「自分が助けないといけない」という気持ちがありました。しかしその前に大勢の大人たちがいるのに誰一人助けようとはせず観ているだけなんですよね。


その後のすずが竜を助ける為にある行動をするんです。少しネタバレになりますが、あるキャラが竜で実は父親に暴力を振るわれるというライブチャットを見かけてしまいます。


そのキャラがすずに対して「助ける助ける助ける助ける。助けると言っても結助けないじゃないか」と訴えるんですが、この演出もかなり好きですね。すずというよりも観客に訴えかけてるような感じがして。
そしてすずはあることで自らの素顔をさらけ出し、竜を信用させる為に歌うというシーンがあります。(かなりはしょりました。)


別に自らを犠牲にして人を助けろとは言わないけれど、ただ自分のことしか考えられなかったり、ただ言葉だけいうだけの傍観者がかなり多くなってしまった。果たして他人の事を考えて決めつけずに、助ける勇気と行動が出来る人は今の時代にどれくらいいるんだろうというのが感じられます。


だからこそ俺は「倫理観が欠如している」というシーンたぶんだけどあの家庭内暴力シーンはしっかり映して成功だと思うし、欠如しているとは思わないんですよ。あれをしっかり見せることで観客が果たしてどう思うか、監督からの「貴方ならどうする?」というクエスチョンなんですよ。


そうした衝撃を生々しく映すことで観客はよりこのテーマやこの映像に対して考えるし、唖然としたキャラたちとより共感することができて映画的にもこれからのストーリー進行を熱くさせます。


それにディズニー映画の『美女と野獣』ぽいという意見に関しても分かります。分かるけれど多少似ているシーンや少し進行が同じでだけであって扱っているテーマが少し違うように感じるし、『美女と野獣』をモデルにするのも分かる気がします。


美女と野獣』はあくまで「人は外見じゃなくて中身だよ」というのがテーマであっつ、この映画に関しては「もう一人の自分」を作り出せるUの世界を舞台に「誰しもが仮面をつけているけれど、心はどこか弱っているし助けを求めてる」という感じがして


人間誰しもが欠けている部分はあるし、それを補ったり隠したいが為に仮面をつけてしまう。その現代版が今はSNSだったりするのかなと。だって例えばSNSではメチャクチャ喋る人でも現実ではあまり喋れない人もいますし、現実で嫌なことあれば現実で我慢してSNSで発散するという人もいますからね


すずのように形だけや行動だけで悪いとかダメとか認識せずにその人が何故そうしてしまうのかという客観的視点で相手を観ることが出来るか、人の(あまりこの言葉使うの苦手だが)ありのままの姿を受け入れることができるか、そしてその人が苦しんでいるのであれば助けられるかを説いているように感じました。


それが人間関係の美しい部分であり人の良さなんじゃないかなと思うし、カミシンとルカちゃんが告白するシーンもかなり長くワンカットで撮影していてあれはクスッと来る笑えるシーンでもありますが、「好き」「告白」という当たり前のエピソードをここで長く撮ることでいかに誰かに自分の気持ちをさらけ出して着飾ることなく伝えることができるか。それがいかに難しいことかを見せてくれているシーンだと思います。


美女と野獣』も心を通わせて中身をしることでお互いを信頼し会える映画だからこの映画と『美女と野獣』はかなりリンクしている部分はあるんですよ。
それにかなり個人的なんだけどさ、ネットで「『美女と野獣』感動したー!」という世間の声を聞くとこの映画のテーマを理解してもたぶん現実では人を見た目で判断するんだろうなと思っている自分がいたり、今回の映画のSNSと混ぜているとそういう皮肉もあるのかなと思っちゃうのはたぶん俺だけ


それに『美女と野獣』のルミエールとかコグスワースとかも蝋燭や時計に変えられるんですが、人の心を信用していなく自分よがりな王様である野獣を止めなかったなにもしなかったから彼らも変えられたからルミエールやコグスワースも『竜とそばかすの姫』で言えば何もしない傍観者なんですよ。やはり結構リンクする所はリンクしてるんですよね


話しは変わるけど個人的にUって本来は傷ついた人と人が助け合うような感じのコミュニケーションサービスだったんじゃないのかなと感じてて。Twitterも最初は日頃の何気ないつぶやきをするのが目的だったけど、今じゃいつの間にかニュースは流れるは、なんかの宣伝や広告はあるは、誹謗中傷あったりしたりとかなり変わりましたからね。


とりあえず俺が言えるのはこれくらいですね。
たぶんもっと語れる部分はあるとは思うんですよ。川のシーンがかなり多かったから川に川関するメタファーありそうだし、冒頭の欠けたコップや片足がない犬にも何かメッセージはありそうだし、そもそもしのぶ君の存在はなんなのかというのもあるし


それくらい語れる要素が多い中で映画的にも素晴らしい演出をしていたり、見終わったあと人と人の関係性と温もりに尊くなってしまってまた見返したくなる映画ではありました。


とりあえずまた観る予定ではあるのでもしまた何か分かれば追記するとは思います。ただ俺のよりも考察が得意な人の意見の方が参考にはなるとは思いますのでそちらを観た方がいいかもw
とりあえず最高だったのは間違いないです

■評価

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最終評価は・・・





😀😀😀😀😀|😀😀😀😀😀

10/10です


細田守作品としては個人的には大好きな作品ですし、今年ベスト作品になりました。かなり大好きな作品です





はい、そんな感じで!

それでは!