■作品紹介
公開日/2021年6月4日
上映時間/137分(2時間17分)
監督/大友啓史
製作国/日本
■予告
■あらすじ
剣心に復讐するべく東京を総攻撃した上海マフィアの頭目・縁との壮絶な戦い。その理由は、剣心が「人斬り抜刀斎」と恐れられていた幕末へとさかのぼり、剣心が自らの手で斬殺してしまった妻・雪代巴の存在、そして十字傷の謎へと繋がっていく。
■ネタバレあり感想
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』
実写版『るろうに剣心』シリーズの5作目にして最終章。アニメのOVA『追憶編』をベースにして緋村剣心の過去と、十字傷の真実を紐解く物語になっています。
たぶんこれで本当に終わりなんだろうけど、漫画はなんだかんだまだやってはいるから終わる終わる詐欺を咬まさないでほしいなというのはある
Finalは「実写版るろうに剣心の中ではあまり好きではない」と言いました。本作Beginningを鑑賞した後の率直な感想は、またFinalの方が好きだしマシというのが頭によぎりました。つまりBeginningは俺の中での実写版るろうに剣心作品でワーストになります。
色々なんでそうなったか考えた結果を話すとまず普通の時代劇です。ある暗殺者がある女性と会ってそこから絆が深まるけど様々なことが起きてしまうという時代劇って感じ。
別にそれは良いんだけどさ、ただこれが実写版のるろ剣の本当にラストと言われてしまうとかなり物足りなさはあったりはするんですよ。
エンタメ性溢れるアクションやら個性的なキャラがいなくなって、逆にそれをなくしてシンプルな殺陣や結構綺麗な映像も流れていて今までとは違う実写版るろ剣という印象も確かにありました。
ただそれがいい方向へ向かうこともあったけど、全体的におおよそが「実写版るろ剣の本来の良いところがなくなってるよね」「だからこれが本来のラスト映画と言われると少し物足りないよね」ってなるんですよ。
例えばこの実写版るろ剣5作品をコース料理として例えると1から3までの順番は良かったのに、メイン料理が来てそのあとソルベが来る感じくらい順番に後味が残ると言うか。「いやいやなんでメインの後に口直ししなきゃならないんだよ」ってなる。あ、コースに関してはお店によるよ
まぁ単純に言えばBeginningを先にしてその後Finalにしておけば、Finalの縁が剣心に恨む理由も明確な形で話を観れるし時系列も良いよねって話し。そしてこの話も先にこの話をしてから例え話すりゃあいいのになんで先に分かりづらい例え話したの?ってなったでしょ。その気持ち悪さや後味の悪さが今回の不満点のひとつ
別に過去編やるのは良いし、時代劇に近い感じも構わないけど、ただ追憶編のシリアスな雰囲気を意識しすぎたせいで本来の実写版るろ剣の武器であったエンタメ性溢れるチャンバラ劇というのもが一気になくなってしまったんですよ。
必ず1作にひとつは「このアクションスゲーな」とか「よくそんな動き出きるな」っていうアクションも本作には一切なかったのはかなり残念でした。
バッタバッタ斬りかかり血飛沫も上がるけどただ血が出りゃあ良いって話しでもないし、ただ沢山人を倒せば良いって話しでもない。記憶に残らないアクションやストーリーを見せられても「じゃあまたみたいな」とは思えなくて。
本作はそういう記憶に残るアクションは全然なく、ギリ沖田対剣心のバトルはまだ観れたけどただやりあってるだけで、ラストバトルに関しても剣心の感情が現れている戦いではあるけどラスボスがあまり魅力的じゃないし、戦い方もねちっこい戦い方するから観ている自分はつまらないです
追憶編を観た直後にこの映画を鑑賞したので結構比べてしまう部分もあったりはしました。特にキャラクターの描写とかは少しばかり気になる部分はありました。
特に桂に関してはアニメと比べると結構雰囲気が違ったという感じはしました。アニメだと剣心が暗殺業する中助かってはいるけれど、彼の心身に心配かけたりする部分は見れます。
実写だと刀は抜かないけど未来を切り開く為ならなんでもやるというようなちょっとした闇の部分もあるキャラはアニメと変わらないんですが、実写だとそれがより強かった感じはします。それはいいです
ただ巴の事を少し疑ったり、剣心の近くにいると剣心の腕が鈍るからあまり近づくなと言ったりします。だけれど京都から離れる際に桂は巴に「緋村を頼んだ」と言っていて、緋村剣心を支えるひとりである桂が少し気持ちがグラグラしてるなとは感じました。
緋村剣心は大人びてるけど精神がまだ未熟で不安定であるし、今後の未来どうなるか分からないから巴という隣にいる存在で鞘になってくれる人がいれば精神も安定するのではというのがアニメ版の桂の考えではあるんですが、アニメと違う解釈なら良いんだけど真逆の方向へ行っちゃってるから結局桂は緋村を心配してるのか微妙だったし、その鞘になる発言も巴自信自ら出た言葉で言っちゃうから、これ緋村剣心を支えてくれる人や気にかけてくれる人がほぼ零の状態なのが少し可哀想ではあるんですよねw
高杉晋作も出るけれど序盤しか出なくて、実写版だとただ緋村剣心を紹介した人みたいな扱いになってましたね。アニメだと結構緋村剣心のことは勿論桂のことも気にかけてる人だし、原作の話し置いといて幕末の時代って高杉晋作はかなり重要な役割を果たしている人ではあるからここら辺ひとつの時代劇としても描かないのは幕末好きな俺からしたらかなり個人的な不満
あと個人的にアニメで良かった所がなんで実写でしっかり描かないのかなと思った部分も結構あります。いろんな人が最初の頬の傷から血が流れてくる部分はなくなっていたのもあります。あれかなり重要な演出なんだけど、他の人が結構言ってるので俺はあえて割愛。
だから俺は別の部分について不満をぶつけます。
それがお酒のシーン。「追憶編」だと個人的に頬の傷の演出に次いで、このお酒に対する演出はかなり印象的ではありました。実写だとこれがなくなっていて、なくてもたぶん伝えられるのかもしれませんがやはりあるとないとではかなり違いますよ。
るろ剣の名言のひとつに緋村剣心の師匠である比古清十郎の台詞でこんなのがあります。
「春は夜桜 夏には星 秋には満月 冬には雪 それで十分酒は美味い」「それでも不味いんならそれは自分自身の何かが病んでる証拠だ」
酒に対する心構え、対して剣客として、そして人としての心構えが表される奥の深い台詞で俺もかなり大好きな名言です。
そしてこれが「追憶編」だと回を重ねる事に酒をただただ飲んでいた剣心が酒の味に美味を感じるようになり、そして巴と飲むことでより酒の美味しさ素晴らしさが分かってくる。
ここでの台詞は「美味い」や「こんなに酒が美味かったとは」というシンプルな台詞なんですが、それと同時に剣心の心に不安定さがなくなり、暗殺や人殺ししか知らない剣心の視野が広くなり、そして巴と一緒にいることがどれだけ剣心に安心感と人間らしさを与える存在か分かるシーンなんです
ちなみにこれ巴とまだ出会う前に剣心が酒を飲んでいるシーンもありましたが、最終的に徳利を三から四提ほど空けてましたからね。最初は「剣心意外と酒豪だな」と思いましたが、よくよく考えたらこの時点で酒の美味さは関係なくただ飲んで何かを紛らわしたい心理描写を表してたのかなと。つまりやけ酒というレベルまで酔ってませんがアルコールの力で精神を保ってたのかもしれません
現代社会でもストレスや過労でお酒を飲んでそれで嫌なことを忘れたり、病んでいる心や不安定な心を安定させるというのはよくある話しで自分もそうです。だから剣心はその頃から酒の美味さを分からずただただ飲んでいて、だけどだんだんと酒の美味さを知っていき剣心の精神の修復を表しているんですよ
それを何故実写版でやらなかった!
かなり映画でも表現できる部分ではあるし、十字傷から血から流れるシーンがダメでもこれはまだ行けただろ!
なんだ?酒もレーティング的にアウトになるのか?全年齢にできないのか?いやもう血みどろ見せてる時点で年齢あげようぜ!そしたら酒のシーンも十字傷から血が出るのも表現できたはずや!
それにそれがOKになればあの名言を放つ福山雅治も観れたはずやろ!(そこかよ)
もしくは映像だけでは伝わりきれないとでも思ったのかな。だとするならば剣心と巴が京から離れて一緒に暮らすシーンもダイジェストに流すなって話ですよ。
そもそもこの映画事態結構脚本が弱い印象で。いや実写版のるろ剣は脚本が少し弱い印象ではありましたが、本作もその印象はかなり強かったです。
伝えるべきキャラ描写やキャラの関係性はしっかり描かれておらず、特にその剣心と巴の関係性も重要なはずなのに全くは言い過ぎですが全然描ききれておらず、彼らがどれくらい関係性が深まっているのかもわかりずらいです。
それこそ京に出てからのシーンもダイジェストにしない方が良かったかも。畑仕事をやろうというシーンや、一緒に薬を売りに行くシーンも二人の関係を描く中で大切なシーンなんですよ。追憶編に無駄がないシーンが多い中、実写版だと確かにこちらも無駄はないけど奥行きはない感じがします。
奥行きがない分その日その日に起きた出来事を映像に流してそれを見せられている感じがあり、ひとつの映画としてひとつの時代劇としてひとつの実写版としてはかなり物足りなさはあります。
それに「追憶編」はかなり勝負したようなアニメだったのに、実写版はそこまで勝負してないというか、全て筋書き通りに進んでる感はありましたね。だから全てが予想通りの展開だったし、実写版だからこそ!っていう部分があまりなくかなり物足りなかったです。
そうして全体的にまとめていうと最後なのに観ている自分は不完全燃焼なんですよ。そういう意味でもFinalの方が綺麗な終わり方するからこっちの方をラストにした方が良いし、完全燃焼で終わるのになと思いました。
■評価
最終評価は・・・
😀😀●●●|●●●●●
2/10です。
世間では好評だけど俺はあまり合わなかったしオススメはしないです。もし順番が変わった状態で観てたら点数は上がってたかもしれませんが、どちらにせよ満足度は追憶編を越えられないかなと思いました。
はい、そんな感じで!
それでは!