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映画『いのちの停車場』シンプルオブザお涙頂戴映画(褒めてない) 評価&感想【No.719】

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■作品紹介


公開日/2021年5月21日

上映時間/119分(1時間59分)

監督/成島出

製作国/日本

■予告


■あらすじ

長年にわたり大学病院の救命救急医として働いてきた白石咲和子は、ある事情から父・達郎が暮らす石川県の実家に戻り、在宅医療を行う「まほろば診療所」に勤めることに。これまで自分が経験してきた医療とは違うかたちでの“いのち”との向き合い方に戸惑いを覚える咲和子だったが、院長の仙川をはじめ、診療所を支える訪問看護師の星野、咲和子を慕って診療所にやって来た元大学病院職員の野呂ら周囲の人々に支えられ、在宅医療だからこそできる患者やその家族との向き合い方を見いだしていく。

引用元:いのちの停車場 : 作品情報 - 映画.com

■ネタバレあり感想

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『いのちの停車場』


吉永小百合主演の医療ドラマ映画。西田敏行広瀬すずとかなり豪華なメンツで繰り広げられる感動ドラマ。脇役とかでも泉谷しげる伊勢谷友介などかなり豪華な俳優で固めます。ただ良いところは豪華な俳優だけ。料理も豪華な食材が良ければいいだけの話ではなく、料理そのものがクソなら結果クソになります


まず序盤からもうダメだなと感じましたね。交通事故での火災シーンはCGで作りました感はあって、そこから吉永小百合が東京の大学病院の救命救急医として働く姿を描きます。


そもそも吉永小百合事態があまりにも綺麗すぎるから医者として寝る間も惜しまず働く女性という風体には全く見えなかったし、たぶん設定年齢は50代くらいなんだけど50でも吉永小百合の実年齢の70でもかなり救命救急医としては無理があり序盤から違和感を覚えます。


そこからある人物がやらかしてしまい責任者だからと吉永小百合はそこの大学病院を辞めて、地元の金沢に戻り在宅医療の仕事をします。この映画で唯一「いい決断だな」と思えたシーンですが、謎にキャストの名前を映すタイミングが吉永小百合を前面に出したわざとらしい演出をしていたのでこの約10分くらいでこの映画は吉永小百合吉永小百合の為の映画なんだなと分かります。もうこの時点で色々あって吐き気がしてきたので医者を呼ぼうとしましたが我慢しました


その金沢に帰った際に迎えに来たのが田中泯です。田中泯に対して吉永小百合は「お父さん」と呼びます。
夫婦で呼び合うお父さんではなく、親子関係のお父さんです。俳優女優ファンなら分かるかもですが田中泯吉永小百合は70代の同い年です。吉永小百合が若く見えてもかなり無理があります。


ちなみに田中泯が絵を描いていて自分の妻の絵を描きますが妻の顔が思い出せないといいます。これ最初は認知症の類いで後々病気になり記憶が薄れるのかなと思いましたが、病気にはなりますが脳神経の病気でしたし、その後妻のことや絵に関する話、最終的に妻の顔を思い出して絵が完成することも劇中ではないのでこの序盤の話しは映画を見る際忘れて大丈夫です。


そして西田敏行が院長の在宅医療「まほろば診療所」に入り、看護師の広瀬すず、そして序盤でやらかした松坂桃李と共に様々な人の医療に携わるドラマになります。


と言って良いくらいその後の話しは本当に様々な人と携わり、医療をしなから観客にお涙頂戴演出を披露します。特にその後大きな発展があるストーリーは起きないし、あったとしても広瀬すず松坂桃李は運転免許と医療免許を取るくらいで、吉永小百合に関しても田中泯演じる父親が病気になるというのは大抵予想はついていたので、ただただあっという間に終わるショートストーリーを見せられて「泣いてくださいお願いします!」とぶつけてくるだけです


特に何も感情が湧かないんですよね。ひとりひとりのエピソードが短すぎて、そのキャラクター描写に深堀しないんですよ。色々様々な理由で口にはしますが口にするだけで「なぜそういう気持ちか」「どんな気持ちで闘病し病気と立ち向かってるのか」がいまいち伝わらないです。だから沢山のエピソードが無駄に散りばめられているだけで、映画見てから1日経ちましたがなんの話があったっけともう忘れてしまうくらい印象が薄いです。


西田敏行がナレーションで名前と年齢と職業とどんな病気かを患者ひとりひとりに話すんですが、なんかそのナレーションの仕方がテレビ朝日の『人生の楽園』みたいな感じがしちゃって。たぶん本人はその気はないんだろうけど、もう言い方がそうしか聞こえないから結構緩く感じます。


まだそれはそれとしてとりあえず酷いのはもう泉谷しげる演じる夫と病気になった松金よね子演じる妻の話も5分で終わります。
二人が登場して、泉谷しげるが色々乱暴なこと言ってて、ごみ屋敷だから何故か医者の吉永小百合達がゴミを片付けたら妻が死にます。そしてその後は二度と出ません。かなり扱いが酷いし雑です。


他にも舞妓さんが病気だけどそれでも踊らないといけないと言ったっきりその後どうなったかもよく分からないまま出てこないし(ちょくちょくは出てたが小さいし誰でも良くね?ってレベルの出演シーン)、
伊勢谷友介演じる社長も「最先端の医療を探してくれ」と吉永小百合にもう医者じゃなく何でも屋みたいなことをやらしてそれを何故か受諾してその1分後に見つかって「やったぞ!」と叫ぶ


これで何を持って共感して涙を流せと?


ただここまではまだ準備運動に過ぎないし、てかここで終わってくれたらまだ普通に微妙な作品だなって終われたんですよ。ここからがこの映画のヤバイところ




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吉永小百合の昔の友人が現れた時も癌だけれど何か色々やってて、その後吉永小百合と金沢を散歩して喋ってたりして、その後吉永小百合の仕事仲間と食事をしたら何か「私たちは仲間だよ」的な急に医療ドラマから少年ジャンプの思想に切り替わってもうここからこの映画が何を伝えて、何を言いたいのか分からなくなります。


まぁ結局このエピソードも数分くらいですぐに終わって結局その友人も死んでしまい、娘さんが良い感じに説明キャラクターとして目立ってましたね。
というか医療ドラマだから死が隣り合わせなのは分かるけど、死を使って泣かせに来てること多くないか?それを使っている割にはキャラクターの深堀浅いし


その後のある政治家キャラが息子が家に出ていったきり会えてないってエピソード。これはヤバかった


何がヤバイってもう政治家キャラの人が死目前という際妻が息子に電話をかけるも出ないんです。その後遅れてやってきた松坂桃李がなんとその息子を役をなんの躊躇なく熱演するんです。「あのときはごめんな」とか「父さんありがとう」とか。しかも涙流しながら


もう新手の詐欺師だよ


そもそもの話この映画に出てくる医師のキャラクター達が個人的には患者の気持ちに寄り添いすぎるような気がしてその後何かしら鬱にならないか心配だし、在宅医療をする医者をまだ人生で観たことはないからあまり言えた口ではないけど結構リアリティーがないというかあり得ないようなことばかり起きてて


この松坂桃李が息子役を全力で演じるシーンもそうなんだけど、ある子供が癌でかなり一緒に遊んでたんですが、その子に色々気持ちが寄り添いすぎたのか彼女は「抗がん剤治療したくない」って言っているのに自分の車を売りさばいて「これで最先端の治療してくれ!」と吉永小百合にお願いするんですよ


これに関してはもうバカだなと思った。やることは確かにカッコいいかもしれない。ただその患者に寄り添い過ぎたせいで「一緒にいたい」っていう自分の気持ちが先走ってるシーンなんですよ。患者の声を無視して。それで我に帰って泣いちゃう所もバカらしいし、自分の事しか考えてないじゃん。それでよく広瀬すずに「あなたは医者に向いてる」って言われたな


そんでその子供の癌のシーンが他と比べてかなり長い。「お涙頂戴」が渋滞しているこの映画でこのエピソードがあるというのは、「子供が病気で死んでしまうエピソードがあれば皆泣くでしょ?」という安直な考えがかなり丸見えで、もうこの映画がいかに「お涙躊躇作品」なのか結果的に分かるエピソードです。(実際このエピソードが一番多く観客が泣いていた)


とりあえず順番に色々話しましたがまとめると
吉永小百合吉永小百合
●在宅医療でも医療でやらなくていいことを普通にやっている
松坂桃李演じるキャラがバカ
●ひとつひとつのエピソードが短いし、内容が薄い
●それで死を使い泣かせようとか、感動の押し付けが酷い
●そもそも映画全体としてカットや演出にセンスを感じない


ただ褒めるべき点は一応あって映像は綺麗だなという時はありましたね。
あと一部の俳優の演技は素晴らしくて、政治家のキャラを演じた俳優の病気と戦ってる演技はリアリティーあるし、田中泯に関しては一回も無駄だなと思うことがない何も文句なしの演技でした。だからその素晴らしい演技がこの映画に合わなくて逆に浮いていたようにも感じました。


全体としては不満は沢山あります。正直ウザいくらいあります。ただクソではないです。けど2度は見ません。けどクソ映画としてナンバリングされるかと言われたら微妙なんですよね。


とりあえずひとつ言えるのはもう吉永小百合が主演の映画は期待しないで見に行きます。


追記:5月31日

今思い出したことを書いていきます。
映画のセンスがない云々と簡単に書いたのですが、何がセンスないのか説明してなかったので感じたことをとりあえず簡単に書きます


とりあえず全体的にリアリティがないんですよ。ひとつひとつの台詞も「こんなこと普通言うか?」という台詞や、キャラの行動が目立ってましたね。


例えば吉永小百合演じるキャラの将棋士の友人が「自撮りしよ」といいます。今時の若い子でも「自撮りしよ」とはいいません。「写真撮ろ!」と言いますよ。それに無理に年配の方が最近の若者言葉を使うとか別にいいんですよ。普通に「写真とりましょ」で良いじゃん。


それで友人が亡くなった後日に皆で肉まん食べるシーンがあります。料理動画で食材を無駄にベタベタ触るのを見て嫌だなと最近俺が思っているからこのシーンも嫌悪感あるのか分かりませんが、吉永小百合がもうベタベタ肉まんさわったり、握ったりするから凄い見てて気持ち悪い。感動的なシーンだし感動するエピソードなのはわかるけど、早く食えよと思っちゃうしベタベタ肉まん触らないでくれと思ってしまう


そして友人を癌で亡くした際西田敏行が「癌を完治する治療ができたら寿命が平均20歳伸びると言われています。平均寿命が伸びたら日本は飢え死にしちゃいますよ。」と吉永小百合に言うんです

サノスでもそんなサイコパスな発言しねぇよ

慰めのつもりなんだろうけど、言ってることはかなりヤバイし医者としてもひとりの友人としても慰めに使う台詞ではないんですよ。制作者は何を考えてこの台詞を使ったんだ?すげー腹立たしい。
これで泣けって言われる方が泣けるわ。


いや、泣けるか。こんなリアリティもなくアホな言動を考える制作者の怖さに涙流すわ。


■評価

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最終評価は・・・





😀●●●●|●●●●●

1/10です。


世間の評価は結構高いです。とりあえず見に行きたかったら観に行くのはいいのかなとは思いますが、個人的にはこれよりも面白い映画はあるからそっちを観た方がいいかもしれません





はい、そんな感じで!

それでは!