■予告
■あらすじ
ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは認知症により記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配した介護人を拒否してしまう。そんな折、アンソニーはアンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる。しかしアンソニーの自宅には、アンと結婚して10年以上になるという見知らぬ男が現れ、ここは自分とアンの家だと主張。そしてアンソニーにはもう1人の娘ルーシーがいたはずだが、その姿はない。現実と幻想の境界が曖昧になっていく中、アンソニーはある真実にたどり着く。
■ネタバレあり感想
『ファーザー』(原題:The Father)
アンソニー・ホプキンスが今年のアカデミー賞主演男優賞に選ばれた作品。
元作品は日本でも上演された『Le Pere 父』という舞台作品を元に作られた認知症になったある男性とその家族の物語です。
先に言うならとりあえずこの映画を見る前にある程度のあらすじや予備知識は必要になります。特に映画ファンじゃない限りフラッと休日に適当に映画を観るような作品ではないとは思います。
その知識無しでフラッと入った作品がこれだとたぶん上映中は何が起きてるのか分からないし、ただただ主人公が幻覚もしくは妄想をしているホラー映画として捉えてしまいます。実際俺が観た時間帯なんかも上映後困惑してた人はちらほらいました。(あと「こいつ絶対ライターか評論家だな」って人もいた)
映画はとりあえず認知症とはどういう物なのか、認知症になった人の世界はどうなっているのかそれを追体験できる映画です。認知症を題材にした映画はなん本かありますが、こうした体験型の映画はありそうでなかったので興味深かったです。
先に言った「何が起きてるか分からない」「ホラー映画みたいだ」というのは間違いではないと感じてます。本当に何が起きているのか、時間軸がどうなっているのかも見ている自分は分からなくなるし、遠慮無しに記憶が書き換えられるような感覚になったりかなり下手なホラーより怖いです
それにただ認知症の人が記憶が薄れているだけとかではなくて、認知症の人事態も記憶が薄れていたり可笑しな幻覚を観てしまうことに関して悲しくなったり恐ろしくなったりするというのが改めて感じられます。勿論人それぞれだけどやはり本人も怖がり苦しんでいるというのはこの映画で分かるし、この映画の肝になっているとは思います。
それにその世界観も大胆な演出や大袈裟な演出ではなくかなり静かな感じだったのもこの映画にはあっていて、いつのまにか娘の顔が変わってたり、気づいたら知らない人がいたり、ふとしたら時間が巻き戻ったりと結構静かにいつの間に現れるから余計怖いというか本当特に時間の概念が壊れそうになります
日本も介護だとかが多いイメージはあるから今現在介護してるとか過去にそうした経験がある人やそうした仕事をしている人にとってはかなり突き刺さる映画だとは思います。
実際ちょいちょい娘目線の話もあったりはするし、認知症を患ったアンソニー・ホプキンスを第二目線でも見ると、突然怒ったり、介護の人を泥棒扱いしたり、人に暴言吐いたりするから介護している人も辛いしラストの展開に関してもやはり共感はしてしまいます。
ただ結構傑作の声が飛び交うなかで個人的には「思ったより傑作ではないかな」というのが見終わった時の第一印象。一応演出や俳優の演技、台詞などは好きな部分はありましたがたぶん1年くらいで忘れてしまうような印象もあったりはしました。
まずめちゃくちゃ個人的なんだけど認知症の世界を知っても「興味深い」とは思っても共感とかはあまりできなかったんです。これは申し訳ないです。
というのもまだ自分が25だからそういした介護するという経験がないというのもあるし、自分の祖母や祖父もボケてはいたけれど認知症やアルツハイマーとは言われてはいなかったからそうした苦しさに関してはあまり共感はできなかったのかなと。
ただひとつの勉強という意味では観られた映画だけど、今現在認知症の介護やらをしている人に「これ観てみな」とオススメできるかと言われたらかなり難しい。
あと元が舞台だからなのかも知れないけど絵的に変化がないのも少し飽きが来たなというのもあります。元々そこまで舞台が好きではないから余計そう思ったのかもしれないけど、基本ひとつの部屋で物事が行われているからあまり絵的には面白くないし一瞬だけどウトウトしてしまった部分もあった
という部分を含めて俺個人としては良い作品なのは分かるけど傑作ほどの作品ではなかったかなぁと思った映画ではありました。
■評価
最終評価は・・・
😀😀😀😀😀|😀●●●●
6/10です。
80歳であの演技が出来るアンソニー・ホプキンスもかなり凄いので映画そのものを観るのも良いですがアンソニー・ホプキンスの演技を堪能するのもいいかもしれません。
はい、そんな感じで!
それでは!