■予告
■あらすじ
シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが……。
■ネタバレあり感想
『mid90s ミッドナインティーズ』(原題:Mid90s)
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などで知られる俳優のジョナ・ヒルの初監督作品。俳優だから様々な映画を体験はしてはいるものの初監督としてはかなりセンスがあり素晴らしい作品を作りあげてたなと思います。この1作目で彼のしたい映画作りや、クセなんかが現れてて今後の監督作はどんなものになるのか楽しみになれる1作でしょう
映画はタイトル通り90年代半ばを舞台にしていて90年代生きてきたわけではありませんが、どこか懐かしくノスタルジックになれる作りでした。
特別懐かしいアイテムが多く出てくるとか、音楽とか出さずに映画の画面の幅を縮めたり画質が少し荒かったり、また俳優の演技など雰囲気から懐かしさを表していた気がします。懐かしいアイテムも出てはいましたがどちらかというとそれを変に主張せずにむしろサポート的なポジションになっていて、この雰囲気を作り出したのは見事だしかなりセンスを感じます
物語はシングルマザーに育てられたスティーヴィーが家庭の居場所に見いだせず、スケボーをやるスケーター達に憧れを持ち彼らと交流して成長していきます。仲間達と交流し、年上の仲間と関わることで大人へと成長していき、彼自信の生きることへの喜びを知る物語ですね。
正直に言えばそんなにストーリーにインパクトはなくて普遍的ではあります。特に大きな事件は起きないし、涙を誘うような映画でもなく、ただただ若者グループがスケボーをしている日常を映した映画であります。たぶん好き嫌いは別れる映画ですよね。
ただそれでも楽しめた理由が台詞やキャラクターの演技で映画のストーリーが進んでいく中で、どこか懐かしさを感じたり共感する部分もあったりするんですよ。
流石に13歳からタバコや酒を楽しんだりするのは一部の人に限りますし、スケボーしたりするのも限られたりはしますが、それ以外の人でも共感してしまうのがこの頃の年代はやはり家族と一緒にいるより友人や仲間と一緒にいるのが居心地が良かったということでしょう
ただのスケボーの映画だったらあんなにずっと最後までスティーヴィーがスケボー下手な訳がないわけで、どちらかというならスケボー映画よりもリアルな青春映画として観た方がいいかもしれません。
皆が家庭内で問題を抱えたり、居場所がなかったり、孤独を感じたりする中でスケボーの仲間達が自分達の居場所なんですよね。そこにしか居場所がないし家に帰っても孤独だから夜遅くまで仲間と遊んだり、仲間に認めて貰いたいとかでそういう部分で自分達の過去と照らし合わせて鑑賞してしまうんですよね。
その中で事故だったり喧嘩だったりあってもそこまで大袈裟な展開にはせずによくありそうな展開にしてたのもリアリティーはあるし、特に最初仲良かった友人が自然と何故か離れてしまったというのは自分も体験してるからかなり共感はしましたね。
それにあのチームはただの不良じゃなくて優しさもあったりしたのは好感持てるし、そのバランスがあったからギスギスした映画じゃなくて優しさだとか温かさがあった映画になったのかなと思います。
個人的には黒人スケーターのレイは良いキャラクターでチャラそうなんだけどかなり優しくて温かいお兄ちゃん的なキャラクターはとても大好きです。スティーヴィーに新しいスケボーを作ってあげるシーンなんて本当の兄弟に見えましたからね。暴力してくる兄を持つスティーヴィーからしたらレイは理想の兄だったんじゃないでしょうか。
唯一の欠点は映画が短かったということですかね。別に悪くはないんだけど、もともと作られてたストーリーをはしょってるなってシーンが多々あってそこら辺の違和感を感じたからかもしれませんし、ここまで面白いならもう少し観てみたいという欲求があったからかもしれません。
けれど淡々とした流れが続くからそういう意味ではこれくらいの短さが丁度良いのかもしれませんね。いずれにしても、ひとつの青春映画として観たらかなり共感できて懐かしさを感じる素晴らしい良作だと思います。スケボー経験者も未経験者もどちらとも楽しめる作品です。
■評価
最終評価は・・・
😀😀😀😀😀|😀😀😀●●●
8/10です。
同じスケボー映画でいうなら、これと同じ日に公開しているドキュメンタリーの『行き止まりの世界に生まれて』も楽しみな作品です。規模が小さいので観れるかは分かりませんが、観れるのであればこちらも観ておきたいと思います。
はい、そんな感じで!
それでは!