■予告
■あらすじ
名医ではあるが変わり者で、動物と話せるドリトル先生は、世間から遠ざかり、さまざまな動物たちとひっそり暮らしていた。しかし、若き女王が重い病に倒れたことを耳にしたドリトル先生は女王を救うことができる唯一の治療法を求めて、頑固なオウム、臆病なゴリラら個性的な仲間たちと伝説の島へと出発する。冒険を続ける中で、先生の過去、国を揺るがす陰謀など、さまざまな事実が明らかとなっていく。
■ネタバレあり感想
『ドクター・ドリトル』(原題:Dolittle)
児童文学の実写化作品。十何年前にはエディ・マーフィ主演で映画化されたことでも有名な作品。実際自分もエディ・マーフィ版の方はテレビで何回も観てて、ゲラゲラ笑ってたのは思い入れがあります。
そして本作の日本語吹替版のロバート・ダウニーJr.の声を担当するのがお馴染み藤原啓治さん。
かなりの方が存じてるとは思いますが、藤原啓治さんは2020年の今年に亡くなられて、この作品が現時点では遺作という形にはなりました。改めてお悔やみ申し上げます
自分は藤原啓治に憧れを抱いたり、アニメや映画で彼の演技を楽しんだりとかなり思い入れのある方ではありますが、だからといって大好きな藤原啓治の遺作だから今作は10点中10点の満点にするとかそんなあまっちょろい評価はしませんので悪しからず。いつも通りいきます
良い部分をあげるなら全体的にはかなり面白くて分かりやすく誰もが楽しめる娯楽作品になっていたことでしょう
特にギャグに関してはラストを除いて終始笑えました。普通に良い意味で馬鹿馬鹿しいギャグからブラックジョーク、パロディネタなどふんだんに使ってましたね
それから日本語吹替の声優人の豪華さは圧巻です。どの声優がどの動物の声をやってるか楽しめるし、声優人の演技力でより笑いが盛り上がったと言ってもいいかもしれません。海外だと「日本の声優の演技は素晴らしい」とはよく聞きますが、それがまた改めて証明された映画かなと思います。
それに配役も素晴らしいですよね。ロバート・ダウニーJr.は藤原啓治、海賊王のラソーリはONE PIECEの黒ひげを演じてる大塚明夫、大塚芳忠演じるブレアも船でロバート・ダウニーJr.と戦うので『パイレーツ・オブ・カリビアン』のデヴィン・ジョーンズに聞こえてしまったり、『しろくまカフェ』にも出てた中村悠一が白熊やったり(実際の『しろくまカフェ』のしろくまは櫻井孝宏で、中村悠一はグリズリー役)
とにかく声優ファンにはご褒美過ぎる映画なのかなとは思いました。
タレント枠のオウム役の石田ゆり子を下手だと言う人はいますが皆をまとめるサブリーダー的ポジションの安心感ある女性という意味では演技も配役も素晴らしかったです。逆に林卓は15歳で声変わりの時期でもあるから仕方ないんだけど、少し無理して演技してるなって感じはしました。ハリー・コレットの幼顔と声があまり合わなかったんですよね。
八嶋智人は相変わらず上手かったです
ここからは不満点に入ります。普通に喋ってもまとめきれないので何点かにどこが不満だったかを話していけたらなと思います。
その① ドリトル先生の過去と成長
ドリトル先生は昔は人々にも評価された動物のお医者さんで、冒険家の奥さんと幸せに暮らしてましたがある日奥さんがひとりで冒険にいきます。そして奥さんは嵐で波に飲まれてしまい亡くなってしまうことがわかり、そのショックでドリトル先生は病院の扉を閉めて人間とは関わらない人間不信の状況になります
この話でショックで病院を閉めたのは分かりますが、人と関わらなくなったというのが正直路線がずれてるしあと付けの設定に見えるし、なぜそうなったのかが明確にわかりません。
もし何でも治せてしまうドリトル先生の奥さんが事故をおこしてしまい、ドリトル先生が手術をしても治せなくて(手術失敗で)奥さんを亡くしてしまう。自分の腕に自信を無くしてしまうし、それを知った住人たちがドリトル先生に誹謗中傷を浴びせ人間不信になって病院の扉を閉めたという話ならまだ話しは分かりますよ
そうした細かい設定や説明もないから、なぜ途端にリスを救おうとしたのかとか、なぜ女王陛下が知ってるレベルのドリトル先生を兵士とかは知らないような感じになってたり毛嫌いな目で見てたりしてたのか、色々と可笑しかったり辻褄が合わなかったりはしましたね。
それに劇中ドリトル先生事態が成長したかと言われたら別にそうでもないんですよね。あのドラゴンの医療で何かしらドリトル先生が成長に繋がるシーンになるかなと思ったりもしましたが、別にそうでもなかっですね。
それにあのシーンまだドラゴンの腹の中に赤ちゃんがいて命の大切さを改めて感じさせるベタな展開でも良かったのに、兵士の防具とかを食べ過ぎて便秘になってしまったと笑い話に走るのは可笑しかったです。悪い意味でね
どちらにせよあまりドリトル先生の過去があとから付け加えられた感満載だし、成長もあまり見られなくて最近あるちょっと調子に乗ってるラノベの主人公みたいな感じでしたね。ああいう奴らって成長物語とか嫌いなのかね?
その②:動物たち
動物たちのキャラクターとか、個性的な性格に関しては正直な話文句はないです。冷え性な白熊とか、メガネを掛けたご主人第一な犬や、メンタルが弱いゴリラとか、かなり個性的で俺が動物が好きというのもありますが結構皆好きになれました。
じゃあなぜ不満点にあげたのかと言うと、この動物たちも彼らなりの物語があるのにそれを描かなかったということ。序盤でドリトル先生とメイン動物の出会いがアニメーションで描かれてただけで、劇中で説明はあまり明かされません。だからドリトル先生が動物たちにとってどれだけ偉大な存在か、なぜついていこうとしたのかが分かりにくい
メンタルの弱いゴリラに関しては劇中で成長は見られますが、その前に「なぜメンタルが弱いのか」「なぜ怖いのか」「何があったのか」などの話をされないから成長してもあまり嬉しさはないです。
料理番組で材料の紹介や分量を説明されずにいきなり料理が始まるような感じなんですよ
それから白熊がダチョウに「よう!親友」と言った後ダチョウが「誰が親友」だという序盤のシーンがあり、最終的に親友になります。これもダチョウはなぜ白熊を親友と思わないのかとか白熊はなぜダチョウに突っかかるのかも分からないまま親友になるし、親友になった割には彼ら二人が協力するシーンはあまりなかったんですよね。
なによりCGのクオリティーの差がヤバかったです。メイン動物のCGは良かったんですが、あるシーンの白熊のCGが雑だったり、ある動物の動きが奇妙だったり、キリンが良いのにキツネはアニメぽかったりしましたね。
特にアリとトンボ。アリは『アントマン』レベルのCGのクオリティーなのに、なぜトンボはあんなアニメに出てきそうなトンボのデザインにしたんでしょうか?ああいう種類なんですかね?にしてはなんだかリアリティーないですが
それにある島々に訪れる際兵士が槍の矢先を向けドリトル先生を囲むんですが、それは分かります。これがどうぶつたちにもやるんですよ。上からカゴで捕まえるとか、縄で捕獲とかじゃなくてドリトル先生みたく矢先で囲むんですよね。
兵士たちはドリトル先生みたいに動物の言葉がわかって「こいつらは攻撃的じゃない」と分かったんですかね?なんだよ、急に海兵たちも武装色を使えるようになった新世界編のONE PIECEのような感じ。明らかにCG加工前の役者を意識しながらでやってるだろ。相手が言葉が分からない動物って忘れてるだろ
どうすんだよ、あの状況でゴリラや白熊が暴れたらさ。お前らナイフひとつで呂布と本多忠勝を相手にしてるようなもんだぞ
その③:展開の早さ
展開やら色々とテンポが早いのは確かに観やすくてリズムも良いから、正直飽きずに観れますが個人的にはそれはやはり何かしらのキャラの説明とかなどの不足にすぎないなと思ったりはします。
例えば銃で撃たれたリスをドリトル先生が救うシーン。これはなんか動物と喋れるドリトル先生と、子供の「すごーい!君は動物とお喋りできるフレンズなんだね」という会話だけです。その会話中にもう手術が終わってるんですよ
リスのような小さな体から弾を取り出すのはたぶんかなり至難の技で、ドリトル先生がいかに凄腕の医者か見せ所なのにそれをしっかり見せないのはかなり勿体ないですね。
それから中盤の海賊王ラソーリの城と島にたどり着いた時もオウムが口で「なにがあってここへ来た」と説明したり、ドリトル先生と奥さんがラソーリから逃げ出した話もシャア・アズナブルが説明してくれたり、結構大切な部分や見せなきゃいけないところを説明台詞やカットしたりしてましたね
序盤でのドリトル先生が女王の病気を治しに行かないと言ったすぐに行くという展開もかなり早かったんじゃないかなと思います。もう少し「なぜ行きたくないのか」「行かないとどうなるとか」というのを口で説明するだけじゃなくて、もう少し気持ちを伝えてほしいし、溜めを長くしても良かったかなと思います
一応不満はまだ色々とあるけど大まかに気になったのはこの3つです。ただ別にこれらは改善すれば素晴らしい作品にはなっていたはずなので、勿体ないとは思いましたね
ドリトル先生演じたロバート・ダウニーJr.の演技も観てるとガチでやってるというより少し軽くやってる感じなんですよね。これが彼のスタイルなのか、あまり気合いが入らなかったのか分かりませんが、あまり演技が素晴らしかったとは言えません。
ドリトル先生の良いところが演じたのがロバート・ダウニーJr.で吹替が藤原啓治だったという所だけですよ
ただ分かりやすくてテンポが良いという意味では子供なんかは見易いタイプの映画なのかなと思いました。子供が観て面白いと思うかは別ですが、家族で観るにはピッタリですね
■評価
最終評価は・・・
😀😀😀●●|●●●●●
3/10です。
3点なんだけど別に悪くはない作品なのは確かです。ただ不満な部分が目立ってしまった作品でしたね。
久々の映画館の久々の大衆映画を観るタイミングにはピッタリな作品だと思います
はい、そんな感じで!
それでは!