■予告
■あらすじ
自由奔放でちょっと風変わりな笹木美代は、クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、いつも明るく元気いっぱいな中学2年生。思いを寄せる日之出賢人には毎日のようにアタックするが、全く相手にされていない。それでもめげずにアピールを続ける彼女には、ある秘密があり……。
■ネタバレあり感想
『泣きたい私は猫をかぶる』
コロナの影響で映画の被害というものは凄まじく、公開延期になる映画は多数あります。『ワイルドスピード』や『名探偵コナン』も来年公開に持ち越したりするくらいですからね。
そんな中で劇場公開を避けて苦肉の策でNetflix配信を決めたがこちらの作品。『ペンギン・ハイウェイ』を手掛けたアニメ制作会社スタジオコロリドの最新作、その『ペンギン・ハイウェイ』の絵コンテを担当した柴山智隆と『魔女見習いを探して』の公開も控えてる安心感満載の佐藤順一の共同監督、脚本が岡田麿里とアニメファンからしたら劇場で見たかったはずの製作陣によるアニメ映画だったでしょう
そんな作品ですがとりあえず正直
な感想を一言いうなら「良いんだけど、かなり惜しい作品」だなと思いました。
配信開始されてからは一応観てはいましたが出勤の時に観てたりして、2~3日かけて観てたから、観てたときの環境とかが悪いというのもありますが全体的な個人的意見はこんな感じ
良い部分をあげるなら志田未来の演技はかなり良かったです。結構志田未来は声優業もこなしてはいますが、彼女の声優演技の中では一番好きな演技だったし、彼女の今後の声優業にもきたいが高まる演技でしたね。
一番好きなのがムゲが好きな人の台詞を自分でリピートして恥ずかしがって部屋で暴れるシーン。あのシーンはアニメーションの動きも素晴らしかったというのもあるけど、「うひゃひゃひゃ」と笑う志田未来の演技はかなり素晴らしかったです。劇場で観てたらたぶんお客さん全員があそこで爆笑するんじゃないかな
ムゲに関してもかなり良いキャラだったなと思います。たぶん賛否は分かれるし嫌いな人は嫌いなキャラなんじゃないかな。正直中学生で好きな人に対してあんなことをしたり、冒頭から世界が滅びれば良いと思ってた子が次のシーンで元気ハツラツなんですからね。オロナミンCを飲んでもあんなにはなりませんよ
ただそうしたメチャクチャ元気な所はたぶん家族や学校で悲しい部分を見せないためだったり、好きな人の前だと恥ずかしいからあんなことをしてるんじゃないかと思うと、結構そのへんには共感できてしまい好きになります。
義理の母に無理に明るく振り撒いたりする演技も素晴らしいというか、リアリティーありましたね。
映画のテーマとしてはたぶんだけど所謂表面的な性格の仮面をつけたがりな若者たちがいかに自分の本音と向き合い、それを外に出せるかっていうのが肝なんだと思うんですよ。
ムゲに関してもいつもは元気で明るく振る舞っているけど複雑な家庭環境に嫌気がさしてたり、日之出もムゲに対する気持ちを隠したり自分が本当にやりたいことを隠してたりだけどそれがなかなか母親に言えなかったりする。じゃあそれら本音を心を開いて言えるのかって作品だし、かなり共感しやすいものなんですよ
ただこのテーマの使い方が普遍的だったというか、ありきたりというか早い話よくあるし見たことあるんですよ。
別に衝撃的なものを用意しろとは言いません。けど自分がこれからどうやって本音を仮面をつけず言えるのかという、そこまで辿り着く道筋があまりにも地味というか、キャラクターの成長も見ていて感じれなかったし、なんか気づいたら答えを発見して解決していた感じはしましたね。ちょっと置いてけぼり感はあります
これからキャラに関してや終盤の残念な部分について少し話します
というのもまずムゲの家庭に何があったのかっていうのもあまり説明はされないんですよね。義理の母親も父親と結婚してるのかしてないのか分からないし、本当の母親と何があったのか、なぜ本当の母親が家を出なくちゃいけなくなったのか、そこら辺大切な部分を話してはくれないんですよね。
猫の世界である元人間の猫が「子供の目線が怖いから」という理由で母親としても人間としても離れた話をしてます。それにムゲが「じゃあ私の母親も出ていったのかな」みたいな気持ちを顔に表すんだけど、この猫がムゲの本当の母親であれば話しは分かるけどさ赤の他人な訳だから、それと同じ理由で出てったわけでもないわけじゃない
だからムゲの家庭環境の説明もやはりしてくれないと、ムゲがこれからの家族をどうやって受け止めるのかの成長も感じられないんですよね。
それからお面屋が今回の敵キャラポジションになってて、彼が猫の仮面をムゲに与えた張本人です。ただこのお面屋も残念なキャラでただ悪い奴のような感じではありますが、何が悪い奴なのかそこら辺吹っ切れてませんでしたね
人間に猫の仮面を渡して寿命奪い取ってたりしてましたが、寿命を奪って何がしたいのか。長生きしたいのか、はたまた別の理由なのか。そこも明白ではないですよね
猫の世界ももう少し描いてほしかったし、元人間の猫たちも結構興味深いの奴ら多いのに説明やらされないのは勿体ないですね。声優の三木さんが演じた猫キャラなんて特に気になるもん
ラストの戦いも……あれを戦いと言って良いか分からないけどさ、盛り上がらないし爆発力に欠けますよ。元人間たちの猫が助けにくるけど、映画があと30分で終わる辺りで現れた特に好きにも嫌いにもなれないキャラが助けに来ても観てるこちらは嬉しくはないし、助ける前の戦いも高い所行ってるか、お面屋を掴んで放されるの繰り返しだったからね
だから個人的な案ではあるけど、もう少し高い場所へ登って合流するシーンも何かしらが邪魔したり危機的状況になる緊張感は欲しいし、
ムゲの人間のお面が皆目当てならそれをドタバタ演出を加えて皆で取り合うみたいなシーンを入れたらたぶん終盤の盛り上がりは違ったのかなと思う
個人的に見えたのは脚本家の岡田麿里は人間ドラマまたはちょっとしたファンタジーを加えた人間ドラマは得意だけど、ガッツリとしたファンタジーは苦手なのかなと思いました。
それが前半少しなファンタジーな人間ドラマと後半ガッツリなファンタジーを見せられたためそう思いました。
ただそれが悪い訳じゃないし、逆に言えば子供とかがみた場合にはかなり楽しめる作品なのかなとは思いました。実際久々のアニメ映画鑑賞というのもあり、個人的には時間を忘れて見ることはできました。
けどこれが劇場で見た場合「劇場で見てよかったな」と思えるかは疑問だし、アニメーションや観客と一体となって感動したいという意味では劇場で観たいかなという気持ちが右往左往してますね
ようはまぁ人間やめたければ猫になるより石仮面被って吸血鬼になれってこと。(ここで無理矢理なタイトル回収。オチは決めてなかった)