■作品紹介
公開日/2020年2月7日
上映時間/115分(1時間55分)
監督/HIKARI
製作国/日本
■予告
■あらすじ
脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ)は、異常なほどに過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして空想の世界を描き続けていた。自立するためアダルト漫画の執筆を望むユマだったが、リアルな性体験がないと良い漫画は描けないと言われてしまう。ユマの新しい友人で障がい者専門の娼婦である舞は、ユマに外の世界を見せる。しかし、それを知ったユマの母親が激怒してしまい……。
■ネタバレあり感想
『37セカンズ』
2月に公開された作品でSNSでその作品の良さで話題になった作品。今回はコロナの影響なのかは分かりませんが、公開してからすぐにNetflixで配信されてたのでこの機会に鑑賞しました。
そういえばある映画館で別の作品を見に行った際にこの映画の予告が流れてましたね。ただこの映画の主人公の喋り方が気にさわったのか、同じ劇場内にいた女学生が「キモい」と笑っていましたね。今思うとああいう人が障害者も含めて他人に優しくできない人なんだなと感じましたとさ。
それはさておき、今作は脳性麻痺で足が不自由な為車椅子生活の障害者である女性が自立と性に目覚める物語を描いています。
有名な女優とか注目の新人女優を使わずに実際に脳性麻痺の障害を持ち演技未経験の素人を起用したのはかなり挑戦的でこの時点でかなり好感が持てます。
佳山明さんが序盤からの入浴シーンでの入浴シーンでのヌードの時点でこの映画の本気度が伝わり、たぶん人によっては映画ファンはこの序盤5分から10分くらいは語れるんじゃないんでしょうか?
しかしただただエロイとかアダルトな映画かと言われたらそうではなく、えいがそのもの事態が「障害者は普通の人とはそんなに変わらない」というメッセージ性は伝わるし、男の俺がこれいうのもアレだけど性に不向きだった女性が性に目覚める瞬間なんかは自然だったし、しっかり作られているんじゃないかというのも分かりますね
さらに障害者映画はかなり暗くてジメジメした感じがするし、障害のある主人公をこれでもかと不幸のどん底に陥れる作品が多いですが、この映画はどちらかというと明るめでそんなに不幸な部分がないから、映画全体がかなりポジティブで観やすいです。
だから主人公のユマも明るくポジティブだからこそ、彼女の選択した道には終始不安は感じられないし、彼女の人生の選択の道にもユマの喜びが伝わるしこちらも喜びたくなる映画になっています。ジメジメして不幸ばかりで泣かせに来る障害者映画に見飽きたとか、そういう映画がヤダという人にはオススメだと思います。
それからちょっとした映像表現も素晴らしいですね。アシスタントとして手伝いをする漫画家の友人のきらびやかなサイン会をガラス越しで見つめることしかできないユマの姿だったり、ユマ視点で下からのカメラアングルでユマを観る人たちがどれほど障害者に対して上から観ているのか映像だけでわかる表現とか、かなりこだわりが感じられますね。
ただ色々褒めたけど、俺個人としては皆が言うほどそこまで傑作とは思えませんでした。たぶん序盤の「障害者の仕事の辛さ」「性の目覚め」「そこからの彼女の漫画家としての道のりの第一歩」をテーマに進んでいければたぶん俺はこの映画を傑作と呼べてたし、10点中10点はあげてたでしょう
残念なのは終盤辺りから急に路線変更したことなんですよね。
母親と喧嘩をして家出をして自分探しの旅に出る。別にそれ事態はいいんだけど、自分探しの旅というか自分のルーツを探る旅に出ているというか。それに途中から父親を探す旅になったり、挙げ句の果てには双子の姉を探す旅に出たりしますからね
ここら辺の物語がもうファンタジーぽくなってるし、離婚した母と父がそれぞれ双子の姉妹を一人ずつ引き取り姉はタイで学校の先生をして、父親は数ヵ月前に亡くなった。だけどユマは父の死どころか自分に姉がいたことすら知らなかったなんてなんか都合が良すぎるんですよね。
ユマ演じた佳山さんが実際に姉がタイにいるということらしいからそうなったのかもしれませんが、それでもあれだけリアリティーのあった物語が急に路線が変わりリアリティーがない話になったのは残念ですね。正直あのタイのシーンでユマが漫画家になりたいとか、アダルトなことをしていたとかの話を忘れてたもん。
それを100歩譲ってもタイに行くための料金をどうしたのかとか、パスポートは一体どうやって準備したのかとかのツッコミところはあるし、介護士の人もユマを担当してる訳ではないのに仕事を放棄してユマと共にタイに行ったりしてましたからね。
あと失礼な話だけどなんであの介護士はユマに着いていこうとしたんだろう。介護士は介護士でもユマに対して恋心がなかったらタイまで着いていこうとは思わないし、なんならタイで一緒に寝たなら介護士は抱けば良かったのに。ユマが嫌なら嫌でそれでいいけど
あそこで介護士とユマのセックスシーンがあれば話全体が繋がるし、ユマが前のシーンである女性に「いつか好きな人と結ばれる日が来るんでしょうか」という台詞も伏線として使われるのにかなり勿体ないですね。
それにユマが家に帰ってきて母親に謝りもせずに逆に母親が泣いて抱き締めるシーンも良いシーンなはずなのになんかモヤッとするんですよね。別に母親は過保護なだけで家出した件は悪くはないし、なんであそこで謝るのかな
「障害者は普通の人と変わらない」という割には言い方は悪いけど「健常者は障害者を神のように接しないといけない」みたいな感じがして、なんかそれは違うなと感じたりはしましたね。
だから台詞も台詞で言うだけ言って、それがあまり生かされてない感じもしましたね。
全体的にまとめると序盤や前半の流れはかなり大好きではあるものの、終盤から路線が変わりただの障害者の感動ポルノになってしまったのが非常に残念な作品でした。
ただ残念とは言いつつも、観やすくて時間があっという間に感じるくらい面白い作品だとは思いますので一度は観てみてはいかがでしょうか?
■評価
最終評価は・・・
😄😄😄😄😄|●●●●●
5/10です。
今ならNetflixで気軽に観れますので自粛中に見れるチャンスですね。
色々言いましたがこだわりは感じられる作品ではありますので今後のHIKARI監督の活躍と次回作に期待したいです。こういう監督が邦画界を動かしてくれたらなと思いますよ
はい、そんな感じで!
それでは!