■予告
■あらすじ
人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。
■ネタバレあり感想
『映画 キャッツ』直訳して『映画 猫たち』!!
猫というのは自由気ままで最近では人に飼い慣らされてる猫もいるけど、結局は我が道を行く動物。そんなワイルドな正確なはずなのに見た目が可愛いというなんとも俗に言うギャップ萌えはズルい。
人間と猫は切っても切れない関係で昔は猫を神として崇めたり妖怪として恐れたり、最近では海外だとワカンダの王様のスーツになったり、日本だと「猫使えば感動するんだろ。どうせ」と映画界に猫を沢山登場させ、最悪なときはジャニーズアイドルに猫の着ぐるみを着せて感動を煽ったりもした。
そんな猫をメインにし、演者が猫に扮して演技やダンスをするミュージカル『キャッツ』の実写映画化。俺はスーパーアルティメット大劇団『劇団四季』の『キャッツ』を鑑賞したことはあります。もう何年も前だから記憶は薄いけど「楽しくて面白かった」というのは覚えてます。
先に言っておくとアメリカでの評価は一応目には通していてどうやらそのビジュアルの悪さと悪いビジュアルから酷評されたり、日本でもそれをネタにはしてますね。確かにビジュアルはどちらかというと猫に近づけようとして気持ち悪さはありますよ。
気持ち悪さはあるけど見慣れたら別に怖くはないし、そもそも予告で何度か見てるからもう恐ろしさはなかったし、正直この猫のビジュアルで映画を酷評するのはいかがものなのかなというのが個人的な感想です。
ただやはりビジュアルとしては舞台版と比べたらあまりにも猫に近づけようとして気持ち悪さは増したし、猫の擬人化として見てみても無理はあります。正直舞台版はなぜそう感じないのかと言うと、単純に似せつつも人としての形を崩していないし、服装や髪型とかも言いすぎかもだけどジョジョみたいでカッコいいからなんですよね。
映画版も服を着るやつはいるにはいるんだけど、なぜかその服を脱いでダンスしたりと勿体ないことをしたり、あと基本的に皆毛のついた全身タイツのようなビジュアルだから見た目の個性がなくて、中盤まで誰が誰だか分からないときはありましたね。
なんだかんだビジュアルに文句は言ってるけど、ビジュアルよりもっと言わなければいけない箇所はあるし、俺は正直「ホラーファンタジー」として見てみたら意外と楽しく見れましたよ。用は見方を変えたら意外と楽しかったってこと。
個人的にビジュアルよりも一番見ててしんどかったのは映画としての楽しさだとか、物語とかのつまらなさです。舞台版は知っているからというのもあるからなのか対して驚きもなかったし、見ていなくてもたぶん「なんでミュージカルなのにここまで興奮しないんだろう」と不満は漏れていたと思います。
舞台版のストーリーの無さがあったのか映画だと多少ストーリーは加えられてましたがそのストーリー自体にも多少ツッコミところはありました。
例えば今回の敵キャラクターであるマキャヴィティ。彼は天上を自分で独占しようとして同じ目的の猫を誘拐していきます。
その誘拐した猫がトロそうだったり年老いた猫を狙ったのは良いのですが、最終的になんかめんどくさくなったのか会場にいた猫たちにマタタビをかけて動けなくし長老猫を誘拐します。だったら他の猫を誘拐するよりかはマタタビ作戦の方が手っ取り早いです。
それにマンゴジェリーとランペルティーザという泥棒カップルが協力していましたが映画だとなぜこの猫たちが彼に協力したのか分からなかったです。特に二人にメリットがあるわけでもないですし。最終的にマキャは力付くで気球に乗ろうとしますが失敗します。頭良いのか悪いのかよく分からないキャラでした。
今回の主人公枠として白猫のヴィクトリアがいます。彼女を中心に様々な猫と出会います。舞台とは違い映画は映像という名の線引きはされてるからヴィクトリアを観客目線のキャラにして視聴者を映画の世界に入れさせようとしてたのでしょうが、少しそれが失敗してましたね。
最初はそれが上手く出来てたんですが、だんだんとヴィクトリアも知らないはずの舞踏会とかでダンス踊れたり、知らないはずの歌を歌ったりとお客さんとヴィクトリアの心の距離が離れていってなんか悲しい気持ちにはなりました。知らないはずのダンスとかなぜ踊れるんだというミュージカルあるあるにツッコミを入れてる自分はもうミュージカルを純粋に楽しめないんでしょうね
ヴィクトリア自信の成長も描いているのかなとは思ったんですが、ヴィクトリア自信に何か成長する部分があるかと言われたら微妙です。ただ映画の中では一番ヴィクトリアのビジュアルはエロ可愛くッて良かったです。はい、ここは気にしないでね
あとなんで長老は女性にしたんでしょうね。女性にするのは構わないんですが女性にしたならしたで何かしら理由があるはずなんですが、それすらも見えてこない。ただ単に男性の長老でいい人がいなかったとか?どちらにせよラストの「猫とは何か」「猫対する礼儀」とか言い聞かされますが、余計ここのシーンは説教臭く感じましたね。
あとツッコミ部分をあげるなら猫のCGに力を入れすぎたのかゴキブリやネズミや背景がCG感丸出し、特にゴキブリとかは映像が浮いてて違和感、舞台なら分かるが映画では無理にゴキブリやネズミを擬人化しなくても良かった、ダンスは良いのに所々CGで編集したり明らかにワイヤーを使ったダンスも目立ってて逆に気味が悪かった、服を着ている猫がいちいち脱いでダンスするのは笑った、音楽のアレンジがクソなどなど結構あります
個人的に一番勿体ないなと思ったのは舞台版で良かったところを映画で無くしているということです。個人的な見解なんですが舞台版のセットは常にごみ屋敷で、そんなごみ屋敷の中でも人に飼い慣らせずに懸命に生き、ごみ屋敷の中で一匹一匹が歌いダンスをする様は「誰しもが光輝ける場がある」というメッセージ性も込められてて、同時に彼らの力強く生きる様に感動できます。
ただこの映画は背景が分かりやすいというメリットはありますが、ごみ屋敷は序盤だけで結構他の場所に転々します。これがスラム街や朽ち果てた町なら良いんですが、イギリスのロンドンで結構良い町並みだし、なぜか猫サイズのミルクバーがあったりと、どちらかというと結構楽しそうに生きてます。
だから彼らの「生きていくなかでの力強さ」はあまり感じられなかったし、「天上へ生き転生する」という目標も「今回ダメでも次があるか」という軽いノリに見えちゃうんですよ。ひとりひとりのダンスも歌も輝くものがなかったし、なんかすべての事柄が説得力に欠けます
色々と言いましたが個人的には『キャッツ』を見たことない人には是非見るにはちょうど良い作品なのかもしれません。その次に海外版や劇団四季でもどちらでも良いので舞台版も見て欲しいですね。
不満は沢山言いましたけど、別にクソではないです。皆が言うほどそんなに悪くもありません。ただ無理に褒め称えるような作品でもありません。監督の作品が好きな人には少しショックかもしれませんが、わりかし普通なミュージカル映画でした。