■あらすじ
第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。
■作品紹介
(観賞後)「スゲーッ爽やかな気分だぜ 新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ~~~~~ッ」
どうも、KOUTAです。
今回はこちら。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』で神話をモチーフにしたヒーローであるソーの少し暗めの雰囲気をぶち壊しコメディ色にして成功したタイカ・ワイティティ監督の賞レース向けのコメディ戦争映画。
波紋もなければスタンドも黄金の回転もない、ましてや吸血鬼でも柱の男でもない普通の兵士を目指す10歳の少年ジョジョと、彼の空想という名のスタンドであるアドルフの愉快痛快戦争ムービー!果たして10歳のジョジョが見た戦争の背景とは?!「勇気とは一体なにか?!恐怖を克服することだ!」
そんな『ジョジョ・ラビット』(原題:Jojo Rabbit)を今回は紹介していきます。
10歳と言えば小学校4年か5年くらいですよね。それくらいの年になれば純粋な子供の気持ちはありながら、大人になりたいとか、恋やら愛にあやふやながらも少しずつ体で体感する微妙な年頃です。俺もそんな年がありました。
10歳の子供ならまさに『震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!刻むぞ血液のビート!』になる年にもなりますよね。まぁ10歳で燃え尽きないでほしいものですが。
そんな事は置いといてタイカ・ワイティティと言えばマーベル映画の『マイティ・ソー バトルロイヤル』でその面白さに一気に有名監督になった監督ですね。俺も監督の作品は大好きです。(『バトルロイヤル』じゃなくて『ラグナログ』だろ!といううるさい輩がいますが、俺はもうなんかどうでもいいです。)
そんなタイカ・ワイティティ監督は今回は笑いありのナチス(ドイツ)が舞台の戦争映画!アカデミー賞では作品賞にもノミネートされた本作は果たしてどんな作品になったのか?!早速レビューしていきましょう!!
■ネタバレあり感想
2020年は様々な作品が出まくり特に一月なんて注目作品なんてめちゃんこ多いわけで。そんな中見た今作『ジョジョ・ラビット』は正直に言うなら神作でした。最近出来るだけ多く良い作品を見つけてはいますが、少し自分でも早いかなとはおもうのですが大好きになった作品なので仕方ないです。
俺は戦争映画は結構見てきました。勿論話題の作品やマイナーな作品も含め戦争映画を全部見てきた訳ではないです。ただこの『ジョジョ・ラビット』は今までの戦争映画と比べたら、ここまで笑えて、ここまで泣けてしまい、改めて考えさせられる作品というのは個人的には初めてです。
予告では10歳の兵士を目指すナチスの少年ジョジョが兵士になるためのキャンプをして兵士を目指していき、妄想上の友人であるアドルフ・ヒトラーと共に駆け抜けるという感じだとは思いました。
ただ予告以上の物語が待ち受けていたし、「これ本当にソーの3作目作った人?」と驚きはあったし、なんか常に観客の考えよりも一枚上手の演出や展開を持ち込んできたりと、簡単にまとめるなら何もかもが素晴らしくて狙ったことが全て成功していたような作品でした。
この映画の特徴のひとつがキャラクターの魅力さです。ジョジョなどの子役は脚本も演技も子供らしくて可愛いし、ユダヤ人のエルサも可愛くて彼女とジョジョの深い関係の描き方も素晴らしかったです。ディエルツ大尉などのナチス軍の人々もかなり個性があったし好きになれましたね。
こういう戦争映画もそうなんだけど他の映画でも言えることでやはりキャラクターに魅力がないと誰も応援できないし映画は見ていてつまらないです。応援できないキャラがいないと死んでもなにも沸き上がりません。
ただこの映画はキャラクター全員が大好きになれたし、ナチスが負けるという歴史上の真実から逃げられない緊張感もあるから誰も死んでほしくない気持ちになり皆応援できます。ここは個人的には素晴らしい作りだと思います。
さらに言うとあまり死というもので感動の押し付けがなかったのも良かったです。大抵こういうのは押し付けがましく悲しませますが、ちょっとこれに関しては言葉が出てこないのでアレですが、とりあえず自然的だったと言っておきます。すいません。
ジョジョの母役のスカーレット・ヨハンソンも素晴らしい演技をしていて、彼女の死もやはり悲しいものでした。あの首吊り死体を足だけ見せて、それを見たジョジョが抱き締める。この口で説明しないで「母が死んだ」という演出はもう………ズルい!
結構この映画はあまり口にしないで状況を説明することが多かったです。例えばジョジョが貼ったポスターが途中から剥がれ落ちてたり、だんだんと町全体が灰色や崩壊していたり、戦いにいった兵士が無言で血まみれで帰ってきたり、序盤で「今ナチスは負けそうだ」のような台詞がありましたが、それ以降からはそうした台詞は使わずにだんだんとナチスが敗けの方向へ言っているのが分かります。
じゃあ結局これはただの戦争映画なのか?俺はそれだけじゃないとは思います。勿論10歳ならではの「大人になるとはなにか?」とかもそうだし、何が正しいのか分からないという葛藤、10歳の目線から見た戦争の姿など結構バランス良く盛り込んでます。
ジョジョはナチスの兵士になりたくて愛国心もあります。憧れのアドルフに認められて友人になりたいと願います。しかし母親はナチスの考えに反対でありながらも絶対的にジョジョの意見を反対はせずに、自分の考えも押し付けずに、どちらかというと「自由の素晴らしさ」を教えてくれます。
たぶん母親の育て方が良かったからユダヤ人のエルサに対しても「とりあえず交渉をしてみる」という攻撃的な考えではなかったし、エルサの話を聞き話していくという素直さを兼ね備え、相手を理解しようとする考えを持ったりしました。
だからこそ、そのどっちかの考えで何が正しいのか悩んだりはしたんでしょうね。もし親もアドルフのような考えであれば、子供に押し付けてそうした考えを作り逆らえないようにする。ある意味これも洗脳ですよね。そして出来上がった子供が終盤町の戦火にダイナマイトを持った子供たちだと思うと余計悲しくなりますよ。
子供って大人の影響は受けやすいんですよ。昔は「大人がポイ捨てしたら子供もポイ捨てしまうよとCMで流れてましたね。」
実際自分もやはり親の考えが正しいとか、親の設計した未来図が正しいとか思ったりはしましたよ。ただやはり年を重ねるごとに色んなことを知ると「あれ。もしかして俺は何かを間違えてるんじゃないのか」と思ったりはしました。勿論親の教えがあったからこその部分もありますが。
用はこの映画は「子供には教えるよりも、考えを与え理解させる」と言ってる映画でもあるんですよ
たぶん。
アドルフのような答えを押し付けたり教えたりするのではなく、母親のような答えではなく何かしらヒントを与え考えさせる大人の方が子供の影響も分かれるのではないのか。
だから映画事態も「戦争はいけないよ!」という押し付けがましい説教臭くない映画になってるんですよ。様々な皮肉、様々な演出、そしてラストのスローの中での戦場。見ている私たちも改めて考えさせられて「戦争とはこんなにも悲しいものなのか」とジョジョと同じ気持ちになります。考えたりそこから得た結果さえも。
あとは「戦争で愛が失っている」とか「ナチスもユダヤ人も同じ人間なんだ」とか色々と考えさせられる物がありました。ラストのダンスもあれは母親もダンスを踊っていて劇中での「自由」をダンスで表現しているのではないのかなと思います。少し『ジョーカー』とここは似てますね。
あと個人的に好きだったのは靴紐ね。あれは子供から大人になるという小さな表現なんですけど、母親に結んでもらってたジョジョがエルサの靴紐を結ぶんですよ。で、その靴紐の結び方もぎこちないし形も綺麗じゃないんです。ただその靴紐がだんだんと綺麗な形になっていくと思うと、あの汚い靴紐の形はジョジョが大人の第一歩を進んだと思うと……あぁ、目頭が…!!
全体的には賛否は別れます。てか分かれてます。ただ俺が個人的にメチャクチャ作品と愛称が良かっただけだし、嫌いなら嫌いで良いと思います。ただ一度この映画は見てほしいなという気持ちになる映画でもあります。
たぶん2回目見に行くかも。知らんけど