■あらすじ
姉・未咲の葬儀に参列した裕里は、未咲の娘・鮎美から、未咲宛ての同窓会の案内状と未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるため同窓会へ行く裕里だったが、学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう。そこで初恋の相手・鏡史郎と再会した彼女は、未咲のふりをしたまま彼と文通することに。やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出をたどりはじめる。
■作品紹介
福山雅治の曲に『はつ恋』という名曲があってだな・・・
どうも、KOUTAです。
今回はこちら。
『Love Letter』『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』などで知られる淡い人間模様や青春映画ならなんでも後戯れな岩井俊二監督による最新作。
『Love Letter』のアンサー作品と言われているがその意味とはなんなのか?豪華俳優人が集結した令和最初の岩井俊二ワールドが今始まる…!!
そんな『ラストレター』を今回は紹介していきます。
岩井俊二監督はかなり有名な監督でもありますし、素晴らしい作品を作っているのも十分に知っています。ただ俺が岩井俊二監督に詳しいかと言われたらあまり詳しくないし、恥ずかしい話実はそんなに監督の作品は見たことありません。はい、すいません
一応公開される前に『Love Letter』を鑑賞しようとはしましたが、仕事などで忙しくて見る時間がなく結局見れないままこの映画を鑑賞しました。一応続編ではないらしいので安心はしましたが、今回レビューする俺は「岩井俊二監督作品は無知」「『Love Letter』を見たことはない」という情報を頭に入れてレビューを見てくれたら嬉しいです
今回の映画の注目ポイントはやはり神木隆之介が大人になった姿を愛は今も愛のままの福山雅治が、広瀬すずの大人になった姿をありのままの姿で松たか子が、さらに広瀬すずと森七菜がひとり2役を演じるということでしょう。
さらにあの『新世紀エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』を製作した庵野秀明も松たか子演じるキャラクターの夫役として登場!
さらにさらに『Love Letter』にも登場した中山美穂と豊川悦司もキャラクターは違えど監督作品に24年ぶりに登場とかなり豪華な俳優人が勢揃い!
果たして手紙を通じて出来上がった映画の物語はどんな物語なのか?そして庵野秀明は劇中で暴走せずにいられるのか?庵野秀明は一体第なん形態まで姿を変えるのか?!早速レビューをしていきましょう!!
■ネタバレあり感想
短評というわけではありませんが、少し短めのレビューになりますのでご了承ください。
正直岩井俊二監督作品は全部は見れてませんし、彼の空気感に着いていけるか心配ではありましたが個人的にはかなり良かったと思います。傑作とまではいきませんがここ最近のラブロマンス映画と比べたらクセがあるというわけでもないので、かなり誰もが見入りやすい作品かなと思います
川村元気もどうやら携わっていて彼が言うには「岩井俊二のアルバムのようなものを作りたい」と言ってはいましたね。ただ俺は岩井俊二の『打ち上げ花火(以下略)』を見たことはありますが、そう言ってる割にはそれと比べるとあまりクセが強くはなかったですね。見やすいけど、たぶん岩井俊二監督ファンは少し物足りなさを感じるとは思います
岩井監督ファンではないけど確かに約2時間見ていて何か強く印象に残る部分はあるかと聞かれたら数は少ないし、言い方を悪くすればかなり薄いです。ただ悪い方向の薄いというより広い草原に流れる風がいつの間にかフッと消えてしまうような少し儚い感じではありましたね。うん、何言ってんだろうね
ただその薄さが続く中なぜ2時間飽きずに見れたのかと言うと、たぶん『映画のテーマがしっかりしていた』ことと『俳優の演技が素晴らしい』ということだと思います。
あれだけ濃いメンツとカリスマ性溢れる俳優人が揃うなかひとりも悪目立ちした人はいないし、松たか子が松たか子とか福山雅治が福山雅治とは個人的には全然思えなくて、この地球上に本当に存在しているんじゃないかという自然的な演技をしていましたね。
個人的には広瀬すずと森七菜はMVPだし、たぶん今年の日本の女優の中では素晴らしい演技と役作りをしたんじゃないのかなと思います。
俺はあまりこの映画の情報を知らないまま見ました。広瀬すずと森七菜が神木隆之介と昔の裕里と未咲と鏡史郎の学生時代を演じていることは知っていました。
ただ裕里と未咲の一人娘も演じていることは知らなくて、知らなかったからかもしれない可能性はありますがまさかこの二人がその一人娘を演じていたのは驚きでした。
だってあんな大人びた広瀬すずが現代だと少し子供っぽさある広瀬すずで、妹の裕里演じた森七菜はしっかりした妹ではあるけど現代だと元気がある女の子を演じたりって純粋にスゲーよ。
なにより森七菜は昔と現代で恋をしますがその恋の捉え方が違くて、大袈裟な演技でそれを表していなかったというのは素晴らしいです。裕里版だと鏡史郎に憧れを抱いてはいたけど姉が好きだと知ってるからなかなか想いを言えない。現代版だとクラスが同じ男子に恋をしていて夏休み明けに久々にあったらなんか気まずくって恥ずかしいという感情を持ってます。
それをまだまだ若い森七菜が上手く繊細に伝えて演技をしていたのはかなり感服でした。
映画のテーマがずれていないとは言いましたが、実際映画のテーマが何なのかはたぶん人それぞれの解釈になるから人によって受け取り方で変わるのかなとは思います。ただ『淡い恋愛/ラブロマンス』という点については常に突っ走っていましたね。
途中でDVの話だったりDVのせいで自殺をしてしまうという話もありましたが、特にそれが前面で押されたら説教臭くならなかったのは良かったです。
個人的に見ていて思ったのは「人が忘れたものを呼び起こしてくれた作品」のようにも見れました。スマホが流通する時代に手紙を書いたりしたり、子供たちも最初はスマホをいじったりはしてましたがあることをきっかけで手紙に興味を持つようになります。そのせいなのか後半からはスマホが劇中ではあまり出てきてないんですよね
あとはゲームばかりしている子供が外へ遊びおばあちゃんを尾行したり探偵や警察気取りの遊びをしたりとか、知らないおじいさんと関わることで仲良くなったりとか、今の時代で昔あった何かしらの大切な繋りだとか体験などが失われていくというのに気づかせてくれた作品でもありましたね。
ただこれらも「昔はこうだった。昔は良かった」と押し付けがましい説教臭いものではなく、なんか優しく「こういうのも悪くないんじゃないかな」と教えてくれるんですよね。それがこの映画の良い部分のひとつでもありますが。
少し不満点を話すなら、中盤で子供たちが鏡史郎に送った手紙の返信で昔の話に入る部分がありますが、そこのましゃの台詞が説明的だったなと思いました。
仮にも鏡史郎は未咲に送ってるつもりだから、これが子供たちが書いたが分かったならこれで良いんですが、未咲に対して話すならちょっと説明的でしたね
あと映画では夏くらいの季節らしいですが、なんか皆「熱いね」とかいう割に汗とかかかないから見ているこちらはあまり夏の雰囲気は感じられませんでしたね。見ているこちらが1月だからというのもありますがね。
全体的には素晴らしい映画でした。ただ本当に演技は見る価値のあるものでしたし、こういう映画がもっと多く出たら良いのになと思いましたね。ちょっと来年の日本アカデミー賞はこの作品の名前がひとつでも上がればいいんですけどね。なんせ今年は……ねぇ?