■予告
■あらすじ
売れない漫画家でありながら、身の程知らずに酒とギャンブルに溺れるポジティブ男・高畑寿々男。競輪で大勝ちして喜び勇んだ帰り道、交通事故であっけなく死んでしまう。死んだ人間が面接を受け、次の命が決められる「関所」にやってきた寿々男は、自分の本当の心を見つめ直すため、1カ月間限定で家族のもとに戻される執行猶予の判決を受ける。しかし、それには「猫の姿」でという条件が付いていた
■Review
『トラさん 僕が猫になったワケ』は、
板羽皆による同名人気漫画を実写化した作品。原作は未読の状態で鑑賞。
主演はジャニーズアイドルのKis-My-Ft2の北山宏光主演。これが彼の初主演映画作品にもなります。
今回ネタバレありで話しています。
この映画特に期待はしていませんでした。まぁポスターがポスターですから。ただ映画のレビューサイトを見るとヤフーレビューだと4.5くらいだったり、フィルマークスだと4.2とかそんくらいで実は化けた傑作なんじゃないかなと思い鑑賞しました。
この映画で得た教訓を言うなら「レビューサイトの点数は当てにするな」ということです。つまり私から見たら駄作でした。
泣けるとか笑えるとか色々な感想は飛び交ってるし、泣いてる人も勿論いました。別に他人の感情にケチはつけませんし勝手なんですが、私からしたら一体どこで笑えてどこで泣けるのか教えてほしいくらいです。90分真顔でメロンソーダすすってたので。
色々話すことがあるから順番に話していきます。まず寿々男は家族持ちで家族を愛しているけど、ギャンブル中毒で酒を飲みまくり、職業の漫画に手付かずな人物という設定です。設定事態問題ないんだけど、もっとダメ男らしさとかクズらしさを表してほしかったです。いまいち彼をクズだなとは思えないです。
確かに妻のへそくりを勝手に持ち出して競輪行ったりする描写はあるんですが、絵的に見せていたのはそれくらいなんですよ。寿々男がどれくらいのクズかを演技下手な子役たちがご丁寧に説明口調で「お前の父さん漫画書いてねーだろ!」と言ったりします。さらにこの説明台詞またまたご丁寧に漫画が連載してから休載までの流れ、さらに今なにやってるかまで言葉だけで説明します。ガキ共どこから情報仕入れた。こわっ!
転生する際の裁判でもバカリズムがどんなことをしていたか説明していたし、パチンコやるシーンも別に普通だから何をどうみたら彼をクズとして見せるかの工夫がなされてないんですよね。家族にたいして悪い態度を取ってた訳でもないし、それがなくても妻に金をせがんだり、友人に金を借りるとかの描写を撮していいと思います。
あらすじに書いてる酒をたくさん飲む描写ありませんでしたね。それも酒癖が悪いとして良いクズ人間を撮すチャンスなのにそれもやらないのはどうかと思います。ジャニーズだから酒を飲んだら体格変わるとか、クズの描写を荒くしたらイメージ悪くなるとかまたジャニーズという会社が裏で動かしてるイメージが浮かび上がります。
そうした言葉だけで説明された情報量が足らない人間を見せたとしても、私から見たらクズ人間ではなく「普通の人間」なんですよね。この映画はクズ人間がどれだけ転生して改心するかの映画なのに、それが強く反映されていませんでした。
確かに仕事放棄はしていましたが、仕事が嫌いというわけではなかったし、なにかアイデアが浮かばないから休載していたんじゃないかと思ったりはしたので特に漫画家という仕事に目を背けてる訳ではないですよね。
そんなクズに見えないで、一応漫画家という仕事には誇りを持ち、収入はとりあえずありそうだし、家族を傷つけずに愛していた彼がたまたまの交通事故で死んで、「あなたの人生ダメだったから1ヶ月猫ね」と言われたらどうでしょう。
なんの罰ゲームだよ。もう笑い話に近いです。けどターニャ・デグレチャフだったらブチキレてましたよ。
転生して猫になった寿々男。けど猫になったからどうだということもないです。別に犬でも鳩でもいいくらい猫になる理由がまったく見当たらないです。例えば小さい頃彼がやんちゃで猫を苛めてたらとかだったらまだ話はわかります。
ただそれらしい結び付きがなくただ「猫って可愛いし、皆大好きだし話的にもみんな盛り上がるよね」くらいの感覚で考えたとしか思えないです。まさにビジネスのために猫を使ったと映画の台詞そのまま表したやつです。
寿々男が猫嫌いの描写は確かにありました。ただ猫アレルギーだとか、猫に嫌な思い出があるだとかじゃなくて、ただただ猫の性格が嫌いなだけなんですって。なんじゃそら。
かなり惜しいのは猫本来の姿と猫コスプレをうまく組み合わせた見て面白いシーンがなにひとつないこと。コスプレ事態も笑いものなんですが、ほとんどコスプレをしている北山の猫っぽい部分とか、猫あるあるを撮すだけで絵的になにひとつ面白くないんですよ。
本物の猫とコスプレをした北山の映像を交互に撮したりして「北山くんは今こんな動きをしていますが、他人から見たら実は猫はこんなことをしていますよ」とか工夫できたはずです。
このコスプレバージョンと猫バージョンで可笑しな部分は他にもあります。寿々男が自分が猫だと気づいたのは道路に駐車してる車ガラスを見て気づくシーンがあります。コスプレした人間なら車のガラスを見るのは分かるんですが、本来の猫が近くに上れるものがないのに自分の顔をガラスで覗き込むことができるのか?車と猫の高さなんて歴然ですから台か何かしらなければ無理です。
葬式のシーンとかスーパーの裏とかそこはなんか本物の猫使えって思います。コスプレした北山宏光が通ると体事どいたり、みんなの目線が高かったり、もうここまで来ると「猫に転生」じゃなくて実は「猫の着ぐるみ着た寿々男」として転生させられたんじゃないかのかなぁ。ある意味ファンタジーですよね。
でやっぱり予告でも思ったんですが、着ぐるみにする必要ありましたか?例えばこれが舞台なら本物の猫使えないから着ぐるみにしないといけないのは分かります。ただこれ映画だし、別にファンタジー映画でもないファミリー映画だから本物の猫で北山宏光が吹き替えとかできなかったんでしょうか?そこも彼の顔を撮さないといけなかったんでしょうね。
あと一万円札を拾うおうとして猫の手じゃ拾えない演出をしておきながら、唐揚げやガリは普通に手でつかんで食べるというガバガバ設定も笑い物です。口で行けよ。
そしてラストに自分が残せるものとして自分が連載していた漫画の最終回を書くことを決意します。ただ猫の姿では流石に書けなくってじゃあこれをどうするか見物な訳ですが、バカリズムと相談して最終的に朝まで人間になります。
これにあまり納得いってないんですよ。というのも漫画を描くために人間になるのは仕方ないですよ。仕方ないけどただ人間に戻ったら、「じゃあ今までの猫の時間はなんだったの?」ってなります。それこそ猫にする必要性はなんだったんだって話ですよ。
「猫の目線だから気づくこともある」とか猫仲間に言われて、そこからなにかアイデア浮かばせるかなと思ったら別にそうでもなく、その台詞も最後まで意味なかったし、結局最後まで何をしたかったんだと。
まぁなんだかんだで最終回を作りあげ残せるものを残して彼は旅立ちます。その最終回の漫画に家族に対するメッセージでもあるのかなと思って見てたら全然そういう描写もないです。
じゃあこれだけかなと思って考えてふと思い出したのは、実は映画のなかで寿々男が休載してる漫画があと1話あれば新しいコミックが販売できるという話がありました。そのコミックが発売されればまた新しいお金が入るという話もあります。
つまり自分の漫画の最終回を描き、コミック販売すればお金が入るよと。彼は財産を残した訳ですね。はい。
結局金かーーい!!!
いや確かに妻がひとりで小学4年生の娘を育てるのは大変よ?赤ちゃんができる予定もあったりしたから金が必要なのは分かるよ?
ただ私的にさ、家族の愛を語るなら金で解決するのどうなの?結局人間って金なの?人の愛って金で解決するほど安易なものなのと思うわけですよ。
確かに現実的だけど、現実的過ぎて逆に泣くというより笑うし、愛もクソもなにもねーなと。なんか漫画の中に家族のメッセージだとか、主人公の大切なものを残すとか、言うなれば休載していた漫画を最終回にしないで娘が引き継ぐようになにかするとかなかったのかな?金で解決する部分見ると彼なにも成長してませんよ。何が「愛してるにゃー」だよ、笑わせんな。
細かい点をいうなら俳優の演技はみんな基本下手です。北山宏光は常に一本調子な演技で笑わせる演技も上手くないです。子役も久々にわざとらしい演技をする子役を見ましたね。第二の芦田愛菜でも目指してるんでしょうか?
多部未華子の演技は唯一救いですが、彼女の泣く演技があまりこの映画の雰囲気にあってなかったように感じます。
そして北山宏光が父、多部未華子が母なんですがどちらも父と母という役にハマってなかったし、あまりひとつの家族には見えませんでした。容姿が若いからどちらかというと北山宏光は兄貴で、多部未華子は近所のきれいなお姉さんの雰囲気なんですよね。
まとめるとアイデア事態は良いのに、アイデアを生かしきれてなくて、中身も薄くボロボロ、最終的に愛の形を金で作った大人のクズさが味わえる正に可愛いファンタジーという名の着ぐるみを被った大人の汚さ満載の作品でした。
あまりこんなことは言いたくないんですが、溜めちゃうとストレスになりそうなので正直に言うとこれで泣ける人はきっと幸福者だし、色んな場面で泣ける人だとある意味羨ましいですよ。ただ金を残してくれた主人公に対して泣くというのは、なかなかだと思いますが。はい、すいませんでしたm(__)m
■評価
最終評価は・・・
☺⚫⚫⚫⚫|⚫⚫⚫⚫⚫
1/10です。
北山宏光ファンは見て喜ぶ作品かなと思います。
あと言っておくと私はアンチではないです。キスマイは普通に好きなアイドルグループだし、たまにですが彼らの番組「キスマイBUSAIKU!?」は見ています。大好きな番組です。
正直な感想を言ったまでで、ジャニーズやキスマイが嫌いだからこの映画をわざわざ見て酷評したわけではないことは分かってください。
はい、そんな感じで!
それでは!