■予告
■あらすじ
武装要塞都市「メカゴラシティ」を起動させてゴジラ・アースに挑んだハルオたちだったが、その過程でガルグやベルベらビサイルドたちと人間たちとの間に亀裂が生じる。また、ハルオはゴジラ・アースに勝てる唯一のチャンスを捨ててしまい、かつてない敗北感に襲われる。その一方で、エクシフの大司教メトフィエスは、ある秘めた目的のため信者を増やしていた。やがてゴジラ・アースに太刀打ちできるものがいなくなった地球に、金色の閃光をまとった「ギドラ」が降臨する。
■Review
『GODZILLA 星を喰う者』は、
『ゴジラ』シリーズ初のアニメーション映画となる『GODZILLA』三部作の最終章になります。やっと終わるよ。
本当は劇場で見るつもりはなかったんですが、第一章と第二章を立て続けに見たのでその幕切れをせっかくだから映画館で見ようと思い鑑賞しました。つまらないとつまらないで並んだこのシリーズ。果たして最終章はどうだったのか?
最終章プラスこの映画の総括をして今の映画の感想を言うなら、これがゴジラ映画でいいのか?これがゴジラ映画でなくてはいけなかったのか?もう終わりも終わりでなんか勝手に終わってた感じでしたね。
相変わらずキャラの掘り下げはされてないし、アニメーションもゲームみたいでアニメ映画としてのレベルまで達していないと思うし、今回も説明は多く、なにより色々手抜きしてる感半端ないです。
これが東京国際映画祭で先立って公開されたのが謎ですよね。まあ、日本の映画で今年のこのシーズンパッとしないものが公開されないからこれになったのだと思うんですが、それでも世界で見ている方々もいるのに良く公開させましたよ。恥さらしです。
物語をざっくり言うとメカゴジラシティが崩壊してその絶望からほとんどの人間が宗教に心つかまれ、もうゴジラを倒せるのは神しかいないということでギドラを召喚し戦わせようという話。そもそもこのギドラそのものも悪いですよね。
今までのギドラとは別のものにしようとしたのも分かりますし色んな科学的な攻撃もそんなに大きな表現はありませんでしたが結構好きなところもありました。ギドラに殺されそうになる前センサーの生命反応が無くなっていてもう死んだことにされてる、この後死ぬとかかなり良い表現方法だと思いますよ。
ただそれだけなんですよ。ギドラが三本の長い首しか出てこなくって体が出来ないもんだから三本で一匹と言うより一匹ずつ違う怪獣にしか見えなくって、一つの単体での恐ろしさっていうのがそこまで味わえません。
それだけなら100歩譲って、ゴジラとギドラの戦いも正直つまらないです。最初噛みついてその後どうなるんだろうと思い見たんですが、10分くらい噛みついたままなんですよ。それ以外のことはしてきません。次なにかしてきてもまた噛みつくんだろうなとは思いますが。
ギドラもギドラでなんでもありすぎて恐怖を与える怪獣というより、チート能力を持った改造ゲームキャラにしか思えなくって見ていて冷めます。ある弱点があるんですが、その弱点も怪獣自身そのものの弱点じゃないから、ゴジラがそれを理解していって弱点を突いていくっていう戦い方もできたはずなのにそれもしてきません。
怪獣もののアニメで、しかもアニメなのに全く絵の動かない怪獣アニメ映画を見せられた私は本当この時間は何だったんだろうと考えてしまいます。別に観客の期待とは的外れでもいい映画はありますが、これに関してはもうゴジラそのものの敬意も見られなかったし、話の内容からもゴジラを使う意味があまい理解できませんでした。だからそんなにバトル描写も少なかったんですね。
別に言いたいことは分かります。水爆実験のことでゴジラを生み出したり、終わりこそが本当の幸せとか、人間は何回も過ちを繰り返すとか。ただその伝え方がべらべら喋って話すだけで何も響かないし、こういうメッセージは本当にゴジラを使わないと伝えられなかったんでしょうか?
元々水爆の話は初期のゴジラからあるのでまだ良いですが、人間としての在り方とかそれをこの映画でゴジラを使わないといけなかったんでしょうか?『シン・ゴジラ』はゴジラが今日本に現れたら人はどうするかという内容ですが、この映画はゴジラで何を伝え何を訴えたかったのかそれすらもしっかり発信できてなかったです。
じゃあこの映画のゴジラはなんのためと言われたら、「もう監督が自分の訴えたいメッセージをオリジナル映画にすると売れなさそうだから皆が知ってるゴジラを使えばいい感じに客も入るし自分の伝えたかったことも伝えられるだろう」としか思えないんですよ。まさにゴジラが制作人に供物にされた作品だったなと私は思っています。
最終章まで見てきましたが、結局主人公のことを好きになれませんでしたね。特にこの最終章では。後輩ちゃんとキスしてそれなりにいい関係だったのに脳死状態になったから、別の女にすり替える。その女性から誘ってきたとは思うんですが、ただそれでも受け入れるの早すぎだろ。あの出来事から見ていてもそんなに日は立ってないだろうに。
そして最終的にはもう子供が生まれそうな女性を置いて、脳死状態の後輩ちゃんを一緒にバルチャーでゴジラに向かって突撃し無理心中をするというなんとも自分勝手な野郎だったことが分かる。置いてかれた女性とその子供はどうなるのか。今のご時世だと女性に色々言われてないか心配です。してないけど
まあ、やることは分かるよ?バルチャーが再起動してまた同じ過ちを繰り返さないためにも自らそれに乗りゴジラに挑むって。ただね?ただね?!
今までの行動を見ると自分のせいで仲間を亡くしていって、無駄にリーダー気質ある割にしっかり報連相ができてないやつが、人類を背負うという正にそのままの形を見せて「自分がこの戦いに終止符を打つぜ!」って思いあがるんじゃねーよと。
そしてこの映画は宗教映画でもありました。別にそれはいいんだけどさ、もうダラダラ喋ってるだけで何言ってるのか全然理解できないし、その信仰心を持ったキャラたちがいきなり神を信じる辺り唐突だなと思いました。こういうのってちゃんと戦いに絶望して落ち込んだキャラたちにメトフィエスが手を差し伸べる絵を見せても良かったかも。
こいつらゴジラを倒したいだとか、化学ってスゲーけど怖いなとか、ほんで今回は神ってスゲーってなって。なんかちゃんとしたキャラクターと言うよりその場の流れや空気を読んで合わせてる良いように使われてるキャラだから死んでも悲しくは無いんですよね。
この映画もテーマがテーマで「生存と繁栄こそが勝利」と言います。まあ分からなくはないですし少子高齢化について言いたかったのかもしれませんが、ただこんな世の中で果たしてそれを理解しすぐに行動に映せるのか?そのメッセージも勿論うまく伝わってないし、こんなご時世にそれに期待している時点で可笑しいです。
そして終盤の怪獣バトルも見ものではないし、さっきも言った通りゴジラがギドラに噛みつかれてるだけです。それと同時にハルオが精神世界的なところに行ってる描写もあります。もうここらへん手抜きにしか感じられませんのよ。
怪獣のバトルをやって精神世界に行っての繰り返しで、怪獣バトルも精神世界もほとんど同じ絵か絵の使いまわしだし、それで絵が動かないもんだからキャラクターのだらだらしたセリフのオンパレードだし。
私は紙芝居を見てきた訳ではなく映画を見に来てます。しかもそれなりの予算はあるものの色んな動きを可能にするのがアニメーション映画です。アニメだからこそ絵で伝えられるものがあるのにそれをセリフだけで話したとしても勿体ないし伝えきれてなく、普通の人だったらこのダラダラしたセリフで眠くなります。だったら朗読劇で良いです。
私の総合的な評価は、アニメだからゴジラだからアニメでしか味わえない戦いや表現を見れると期待したのにそれを裏切られ、そしてゴジラじゃなくっても伝えられるものを一ミリもゴジラのことを理解してない監督のせいで集客として使われてしまったアニメーション映画でした。
そういうゴジラでしか頼れない所は監督の力量不足だし、こういうゴジラもそうですが何かしらをリブートしたりするのならば少しでのその作品に理解のある人をちゃんと選んでほしいものです。
■評価
最終評価は・・・
☺⚫⚫⚫⚫|⚫⚫⚫⚫⚫
1/10です。
ちなみにこの監督コナンの作品も制作してるんですね。私コナン映画を全部見てる訳ではないですが、この監督の作るコナン映画もそんなに面白くない記憶があります。なんかすべてがどうでもいいというか。
ちょっと今後この監督の映画に関しては注意深く鑑賞しようと思います。別にまだ嫌いな監督という訳ではないですが、その一歩手前に来てる感じです。
はい、そんな感じで!
それでは!