■予告
■あらすじ
かつて「100歳になっても、きみのことは絶対に忘れない」と約束を交わしてプーと別れた少年クリストファー・ロビン。月日が流れ大人になった彼は、愛する妻や娘とロンドンで暮らしながら、旅行カバン会社のウィンズロウ社で多忙な日々を送っていた。しかし、忙しすぎるゆえに家族との約束も守ることができず、思い悩んでいた彼の前に、かつての親友プーが現れ……。
■Review
『プーと大人になった僕』(原題:Christopher Robin)は、
A・A・ミルンによる児童文学が原作であり、ディズニーの大人気キャラクター「くまのプーさん」を実写映画化した作品。
今回の映画では元々の作品とは異なり、子供だったクリストファー・ロビンが大人になって親友だったプーとその仲間達に再開するという作品です。
プーさんはとても大好きな作品ですし、大好きなキャラです。ディズニーランドに行くと「プーさんのハニーハント」に乗ったりしてますし、家にもプーさんのぬいぐるみが置いてあるくらいです。昔テレビシリーズが放送されてましたがそれも良く見てましたね。
で吹替を見た人が「プーさんの声変わった?」「プーさんの声優タレント起用なの?」とか思ってたより声優のことで知らない人がいるので補足すると、みんなが聞きなれてるプーさんの声って八代駿さんか亀山助清さんかもしれませんが、この二人はどちらとも他界しており、今はかぬか光明さんという若い声優さんが吹き替えてました。あとイーヨも変わってましたね。ほかはナレーションも含めアニメ版と同じです。
ここ最近のディズニーは実写映画に挑戦していて今までの古いアニメ作品を実写にしています。『シンデレラ』『美女と野獣』『ジャングルブック』など数多くの実写が撮られてきましたが、どれも個人的には微妙です。ただこのプーさんの実写化に関しては今まで以上に驚きがあったし、何より傑作だと思えた作品でした。
今までの実写は映像が華やかで綺麗です。ただこの映画に関しては今までのカラフルで華やかで豪華な映像という今までの常識を取り払ったような選択をし、ファンタジーなんだけど何処か現実的で暗い映像が多くありました。舞台が1945年から50年くらいだろうし、持ってきた題材も大人向けでどんよりしたものだから世界観にはあっていると思います。
映像のひとつひとつ特に「100エーカーの森」の時の映像なんかはカラフルではないんだけど、すべての映像が繊細で儚くって幻想的だったし、大人になった時だとめちゃくちゃ暗くってどんよりして、夢のようなフワフワした雰囲気だったと同時にひとつひとつの映像全てがクリストファーロビンの心情を映していたようにも感じました。
あとプーとかのぬいぐるみはCGなんですが、そのリアルさが凄いです。実際に本当にありそうだし動いても可愛いです。なんか年を重ねるたびにぬいぐるみのあの汚れた感じとか、毛が乱れていたりっていう細かい描写も素晴らしかったなと思いました。
ディズニーの実写で大抵あるのは歌うシーンをアニメ版と大きく変えてきたり、実写オリジナルの歌が追加されたりします。けどこの映画はそんなことはしませんでした。何年たっても自分たちが変わらないっていう表現でもあるように感じます。
今回のプーさんの実写はどちらかというと社会派です。さっきも言った通りディズニーに似合わないような暗い雰囲気はありますし、一日中働く大人になったクリストファー・ロビンが忘れてしまった大切なものを見つけるという話です。
正直この映画を見るまでセリフにもある「何もしないをする」っていう言葉がよく分からなかったんです。けどこれを見て思ったのは大人たちは固く考えすぎて子供のころのような創造力やふと思いついたひらめきや発見が失われてるんじゃないのかなと思いました。プーさんも考えるのは苦手と言ってますが、その考えないからこそ見つけられる発見やそこから生まれる行動力が大切なんじゃないかと今の大人に言ってるんだと思います。
今年公開された『ペンギン・ハイウェイ』でも考え過ぎたら一度考えるのをやめるとかそんなセリフがあったように、実際人間に大切なのは考えすぎないというのが大切かもしれません。だからクリストファー・ロビンは目の前の大切なものが見えなくなっていたんだと思います。
そういう子供のころに培ってきたものや大切なものが大人になると消えていくという悲しみと辛さを映像で見せていたんだと思います。大人になってプーたちを忘れていったのってそれは同時にそれらも忘れていってると思いました。実は子供の純粋な考えと行動力を具現化したものって実はプーたちなんじゃないのかなと思いました。
プーって見た人なら分かりますが、何年たってもその時々の純粋な考えだったり唐突な行動をしてきたりします。ほかのキャラも変わらず自分の個性を前面に出して今でも変わらない姿を見せてくれます。だけどクリストファー・ロビンは大人になるとそれをやらないし、変わり者と思われたくないから世間に流され普通の大人になってしまいます。
クリストファーが皆の前でズオーを倒す(フリ)所を見せて、最初大人になったクリストファーを疑っていた彼らもそれを見てクリストファーだと確信します。それは倒し方を知っているから確信したっていうのもありますが、子供心を忘れたクリストファーがここでついに大人と言う殻を破りあの頃の純粋で楽し気なクリストファーが見れたからって言うのもあると思います。
ちなみにここで暗かった100エーカーの世界が段々と明るくなってきてるんですよね。これってもしかすると100エーカーの森がクリストファーの大人の殻を被った汚れた心で、プーたちが心の奥底に眠ったクリストファーの子供心を具現化した映像の演出をしていたのかもしれません。
ベンチでクリストファーとプーが一回同じ動きをしてたんですが、それは似たもの同士とか親友だからというのありますが、一人の人間の大人と子供の変わらない部分を映していたのもそれを表した表現なのかもしれません。
あくまでこれは私の勝手な妄想と考察ですので、当たってるかは分かりません。
そしてこれが公開してたまに聞く感想が「プーの前半の行動がウザい」という感想です。ちなみに「パディントン2」と比べてそっちのほうが可愛らしいという意見も聞きますが、個人的には「パディントン2」のクマの方がウザかったし、この映画のそういう行動にはちゃんとした理由があったように感じます。比べてスイマセン。
さっきも言いましたがプーの行動は純粋で突拍子もない行動を仕掛けてきます。そしてプーはこの映画では子供心を具現化したものではないかとも言いました。子供って本当に何を仕出かすか分からないんですよね。ご飯も散らかすし、どんな家具も遊び道具にするし、少し目を放したらどこか行くし、大人にとっては子供のわがままをそんなに聞く暇もないし。
察しのいい方なら分かりますがこの前半は男性目線の育児に悩まされる姿を映してるようにも見えるんです。クリストファーの娘さんは勉強もしてしっかりしてわがままも言いませんが、正直子供らしくはありません。だって外で遊ぶ時も「頑張って遊んでくる」って言う人ですからね。
そんなしっかりした娘とその育児をする母親に甘え、仕事ばかりしてきた父親がプーのような何をするか分からない子と一緒になると大変になります。この映画の隠れたメッセージは「仕事一筋な男性は時代遅れ。男性もしっかり育児をしないといけない」と言いたかったのかもしれません。
けどこれを前に出し過ぎるのも映画の根本的なメッセージ部分を外しているので隠れた形で見せてきたのは良かったですし、今の時代ならではのメッセージ性なんだと思います。
もしこの前半のシーンで少しでも察した方ならまだ良いんですが、苛立ちやウザいってだけ思った人は子育てをしたとしても育児には向いていないと思います。個人的なアレですが。
後半から娘ちゃんとプーたちの冒険が始まります。お父さんが忘れていったものを届けるという日本の「はじめてのおつかい」のような事をします。娘ちゃんの行動は頭がいいから電車やタクシーのも乗れて、子供ならではの冒険心を取り戻したからすべての行動に納得いきます。
ただこの後半はどちらかというと子供向けに作られたドタバタしたコメディなんですよ。私こういうドタバタコメディってあまり笑わないんですがこの映画は終始笑ってました。いい大人が笑ったりニヤニヤしていましたね。
自分の大好きなキャラが動いてドタバタしてるからというのもありますが、プーに教えてもらって「何もしない」という事を知ったからこうして普段映画位に対して固く考えずに子供の用に純粋に終始笑ってたんだと思います。言い方は悪いですけどある意味テストですよねw 本当にこの映画のメッセージが分かっているかどうかのw
『スターウォーズ/フォースの覚醒』くらいじゃないと思いますが、映画で久々に子供心を取り戻し映画を楽しんだかもしれない。
あと最近の映画って映像とか綺麗で凄いものが多いけど、人生の格言になるようなセリフを聞いていないような気がします。ただあえて今回の映画はそういう自然光とかで映像を映し心に刺さるセリフを言ってくれたりして、そういう意味では最近の映画と言うよりひと昔前の映画を見てる気分にもなれる。
社会派ではあるけど人生を助けになってくれる映画です。子供は子供で楽しめると思うし、その子供が大人になって忘れたころに見るとまた良い作品だなと感じるそんな映画なのかもしれません。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺☺☺
10/10です。
( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆
ディズニー映画では久々に傑作だと思った作品です。本当ディズニー、プー、クリストファー・ロビンそして仲間たちに「ありがとうございます。」と言いたくなる作品でした。人によって好き嫌いが分かれる作品かと思いますが、こういう見方もあるんだと思って見てくれたらまた違った発見があるかもしれません。まだ見てない方はぜひ見てみてください。
はい、そんな感じで!
それでは!