■映画情報
公開日/2012年8月11日
上映時間/103分(1時間43分)
監督/吉田大八
製作国/日本
■予告
■あらすじ
田舎町の県立高校で映画部に所属する前田涼也は、クラスの中では静かで目立たない、最下層に位置する存在。監督作品がコンクールで表彰されても、クラスメイトには相手にしてもらえなかった。そんなある日、バレー部のキャプテンを務める桐島が突然部活を辞めたことをきっかけに、各部やクラスの人間関係に徐々に歪みが広がりはじめ、それまで存在していた校内のヒエラルキーが崩壊していく。
■Review
『桐島、部活やめるってよ』は、
早稲田大学在学中に小説家デビューを果たし、第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウの同名小説を実写映画化した作品。
この映画で第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞しました。最近の邦画だと今でも名前が上がる有名な作品ですよね
今さらレビューとかなんだよと言われてもしょうがない作品。あまりにも有名すぎて語り尽くされた感がある映画でもあります。今回は概要部分でよかった所と悪い部分を話ながら私がこの映画で思ったことを話していきます。
皆が傑作と言うほどの作品ではありませんでしたが、それでも良かったと思えた作品です。良い意味でどういう方向に進むか分からない作品だったし、元々短い作品ではありますがより短く感じた作品でした。
スクールカーストという学校のピラミッド社会を良く映した作品でその映し方がとても良かったです。キャラクターの外見とか部活動などでもそういう部分を映していますが、映像の光加減とかで例えば映画部がどれだけ根暗なのかも分かります。
俳優の演技も素晴らしいですよね。しっかり演技指導が行き届いているのが分かります。脚本も高校生が言いそうなセリフばかりで大人の私でも「そういえばこんな事言ってるやついたな」とか「女子は影でこそこそ話してたな」とか色々共感できる部分もあります。
ただこれが高校生が見たときに「共感できる」「私はこのタイプだな」と見ることができますが、大人がこれを見ても共感したりする人もいればそこまで共感できる人もいないで高校生のそこまで大きなことが起きない一つの青春を見ているような気分になると思います。
キャラクターが見ていてリアルなのはリアルなんですが外見以上の内に秘めた深いキャラクター像っていうものが特に描かれてないように見えます。逆に桐島がほとんど出ないことで逆にどんな奴なのかっていうものは興味は湧きます。
結局映画の良いたいことは部活を嫌々やってたり、外見だけの人間関係や友人関係を描いているリア充より、みんなから笑われても好きなことを真っすぐやれてる人が人生を充実してると言いたかったのでしょう。
さてここから短いながらも私がこの映画に関して思ったことを考察という堅苦しい所まではいきませんが話していこうと思います。もしかすると、私の考えが全然的外れの事もあると思いますが、こういう意見もあるんだよって感じで見ていただけたら幸いです。
もう公開して数年たってるから色んなブログで考察とか見てきてます。そうなると大体が「実はキリストを題材にした作品なんじゃないのか」「なぜこの映画はゾンビなのか」などの考察が出てきます。ただ皆がみんなではありませんが、実はある部分に関してはそこまで解説はしていませんでした。それは「なぜ桐島が部活をやめてしまったのか」
「は?そんなの普通過ぎて考察する必要ねーじゃん」と言う人もいるかもしれませんが、とりあえず聞いてください。実は私が見た感じこの映画には桐島と心情とリンクしてるような人が一人だけいました。それは桐島の親友で野球部の菊池です。
なぜそう思ったのかというハッキリとした理由はありませんし桐島が出ていないので明確ではありませんが、実は意外とこの菊池の状況で桐島は部活をやめてしまったのかなと思ってしまいます。
菊池は野球部であり部活に行ってないけどキャプテンから信頼され、カッコいいいこと言いながらバスケにシュートをして、彼女もいるというパーフェクトな人間です。桐島もそういう人間でしょう。
しかし菊池はその置かれてる状況にどこか不満を持ってるような学校生活を送っているように見えます。これも憶測でしかありませんが、もしかすると自分の置かれてる完璧な人間という姿だったり頼られる事というのにプレッシャーを感じていたのかもしれませんし、もしかするとその逆もあり得ます。そういう状況から逃げ出したかったように野球部から逃げたんじゃないのかなと思ったりします。少しでも苦痛を和らげるため。
けど桐島はもっと苦痛だったのかなと思います。英雄のように信頼されるも部活の影で悪く言われてたり、どこか愛してなさそうな彼女と付き合ったり、スクールカーストがハッキリしてる人間関係を見ていたり、それが苦痛でそしてバカバカしくなってその状況から逃げたんだと思います。
いやもしかすると桐島は逃げたんじゃなくって一歩大人になったのかもしれません。高校生、子供ならではの人間関係とはオサラバして本当に自分がやるべきことや、本当の人間関係を築く為そのバカバカしい子供の遊びから手を引いたのかもしれません。現に屋上の争いの私は正直バカバカしい争いだなとも感じてましたからね。
それが菊池がそうだったかは分かりませんが、何かしら人間関係に悩んでいたと思います。ラストに神木隆之介と話をした時本当に数分の間ですが新たな強い絆が見えたように感じました。そして菊池が泣いたのはもしかすると「カッコいい」という言葉だけでなく、ちゃんと心の底から言われた言葉をやっと聞けたように感じて、そして何より「自分は皆が言うほどの人間ではない」という信頼できる人間だけにしか見せない本心の涙だったのかもしれません。
高校生がピラミッドの人間関係を作りあげたとしてもそれは社会に出るとほとんど通用はしないし、結局子供の遊びに過ぎない。本当の人間関係は底辺もリア充も関係なく本心を話してみればきっといい関係を作れるという事も教えてくれた作品だったと思います。
全部が全部私が感じた憶測や直感みたいな大して説得力もない解説でしたが、こういう見方もあるよってことで紹介しました。もし桐島も神木隆之介とか同じように本心をぶつけてくれる人間と出会ったら部活をまだやめてなかったのかもしれませんね。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺⚫⚫
8/10です。
傑作ではありませんが素晴らしい作品だと思います。たまにレビューサイトで「この映画を理解しないやつは映画を見るな」っていう意見もありますが、それは流石に酷いですよね。だって映画を見る見ない、どう感じたかなんてなんで勝手に決められないといけないんでしょう。何様ですか。
はい、そんな感じで!
それでは!