■予告
■あらすじ
都内で発生した犯人不明の殺人事件を担当することになった、東京地検刑事部のエリート検事・最上と、駆け出しの検事・沖野。やがて、過去に時効を迎えてしまった未解決殺人事件の容疑者だった松倉という男の存在が浮上し、最上は松倉を執拗に追い詰めていく。最上を師と仰ぐ沖野も取り調べに力を入れるが、松倉は否認を続け、手ごたえがない。沖野は次第に、最上が松倉を犯人に仕立て上げようとしているのではないかと、最上の方針に疑問を抱き始める。
■Review
『検察側の罪人』は、
雫井脩介原作の同名小説を昨年公開された『関ヶ原』を監督した雫井脩介監督によって手掛けられたミステリー映画。
主演は木村拓哉と、アイドルグループ嵐のメンバー二宮和也のジャニーズタッグ主演になります。あまりジャニーズ同士が主演するっていうのは、なかなか見られないんじゃないでしょうか?
原作は未読です。あまり期待はしてませんでしたが私が思ってたより良い成績は残してるし、せっかくだからどんなものか見ようかなと鑑賞しました。正直な感想を言うと映画を観てる気分にはなりませんでした。
確かに映画の根本的な部分は良いと思いますし、ミステリーがどういう流れでどんな方向へ行くのかも気にはなりました。「正義とはなにか」というテーマも魅力的ではあります。ただ今年公開されて同じようなテーマの『スリー・ビルボード』や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』よりインパクトは弱いかなと思います。
それがなんで弱くなったのか。その問題はとても簡単でキャラに魅力はないし、脚本や構成にも問題が目に見えたということでしょう。この映画はとても豪華な俳優を使っているんですが、誰がどのキャラで名前はなんだったか忘れるくらい全体のキャラに魅力は感じません。
例えばキムタク演じた最上は松倉を犯人にしようと仕向けます。それは過去に松倉の仲の良かった女性を松倉に殺され、事件は解決しないまま時候を迎えたからです。その恨みで犯人にしようとするのは分かりますが、最上の過去が曖昧な描写で写し出されたり、最上と女性がどれくらい仲が良いのかも分かりません。その為最上がやっている行為もあやふやに見えたし、そういう絆も見せてくれないから見ているこちらは同情はできません。
松倉に至っても「あいつはモンスターだ」とは言われてますが、やってきた殺人を誰かが口にするくらいで、彼がどれだけ恐ろしいか目には見えないです。サイコパス感出そうとアニメみたいなキャラ作りをしていてそれも可笑しかったし、なんか恐ろしさを演出するのって上部のキャラ作りをじゃなくて中身もしっかり作られ雰囲気も危険な香りを漂わせた方が怖いんだなと改めて思いましたね。
私は小説を見たことありませんが、かなりの分量だと聞きました。そういう理由もあってか、結構カットしてるなって感じはあったしカットしすぎて話がチグハグしてる部分もありました。
あと次の話題に移るのが早いです。ジャンルは違いますが『レゴバットマン』は笑わせて次のシーンですぐにまた笑わせたりと観客に笑ってもらう時間や余韻を与えませんでした。この映画でもそうですが次の話題、次の話題と間を空けずどんどん進むからミステリーなのに観客に余韻や考える時間を与えない優しさはないんですよ。
テンポは良いとは思いますが、キャラが話すスピードも『シン・ゴジラ』並みに早口だから疲れるんですよね。てか、『シン・ゴジラ』でもそうだけどひとり二人ならまだしも、全員早口で喋るとかありえないでしょ。もうそれでキャラ全員平坦に見えたし、なんか台本覚えて頑張って喋ってるなとしか思えませんでした。
あとこれはジャニーズファンに怒られる覚悟で言います。今回の主演は木村拓哉と二宮和也でジャニーズ映画になりそうかなとは思いましたが、そこまででもないのかなとは思いました。木村拓哉は相変わらず木村拓哉を演じてましたが、ただ最近見た木村拓哉の演技の中ではかなり良い方なんじゃないかなとは思ってます。
二宮和也は確かに演技は上手いんだけど…かなり個人的な事を言うと最近彼の演技に飽きてきましたね。今回それを充て確信しました。ちょっとここ最近二宮和也の演技が同じようなキャラを演じてるというのもありますが、全部同じなんですよ。だから木村拓哉とか藤原竜也ポジションになりそうではありますよね。
今回も良く叫びますが、この叫び方にも工夫すればまた違った形にできます。しかし二宮和也の叫び方は全部一緒でキャラが叫んでるというより、二宮和也が叫んでるようにしか見えないんですよ。
だからファンが「ニノの叫ぶシーン凄い」とか言ってますが、結局『二宮和也が演じたキャラを観てる』訳じゃなく、『二宮和也をただ観てる』ということにもなるから前々から思ってましたが一体何を観てるんだろうと毎回悲しくはなります。
ちょっと話の路線はズレましたが、二宮和也は演技のプランを変えるとか、まだ演じたことのない奴を演じてみたら良いのかなとは思います。
問題はここからなんですが、この映画はミステリーや正義の話の他にサブとして民主主義の話や戦争の話も出てきます。正直言いましょう。無駄、邪魔、やる意味ない
別にこういった政治とか戦争とか訴える映画なんて沢山あるし、やっても良いと思います。ただ問題はこの映画に必要あったのかという事です。民主主義の話や、インパール作戦の話、あとアパホテルを思わせる描写もあったのかな?それらを外してもこの映画は十分に進めることはできます。
例えばこれらの事を理由に最上が一線を越えることをしていたっていうんだったら分かりますが、そうした理由で動いたって訳ではないし、後半からそういうのがかなり唐突だったからきっと途中で脚本に付け加えたようなストーリーになっていました。
どうやらこの描写原作には無いらしいですね。監督自身が訴えるものであれば、なんでこの作品を使ってわざわざ訴えようとしたのかも分からないし、これってある意味原作を汚してるようなものだし、だったら最初からそういうテーマのオリジナル映画作れよって言いたくなります。
勿論『シャイニング』など原作とは異なる映画を作って名作になった作品はありますが、これはあまりにも雑さとか訴えたいものが外れてたし、もうちょっと丁寧に作れなかったのかなとは思いました。
まあ、これは名作にはならないでしょう。なんか日本アカデミー賞とか海外の映画祭に出品したりノミネートさせようとしている作りにも製作者の変な思惑が見えて嫌でしたね。あからさますぎだろ。
■評価
最終評価は・・・
☺☺⚫⚫⚫|⚫⚫⚫⚫⚫
2/10です。
ちょっとこれも低めの点数になってますが、一度くらいは見ても良いんじゃないのかなとは思います。けど映画好きが見るというより、キムタクとニノを大画面で見たいという人には大変おススメです。
はい、そんな感じで!
それでは!