■映画情報
公開日/2018年8月17日
上映時間/119分(1時間59分)
監督/石田祐康
製作国/日本
■予告
■あらすじ
毎日学んだことをノートに記録している勉強家の小学4年生アオヤマ君は、通っている歯医者のお姉さんと仲良し。お姉さんも、ちょっと生意気で大人びたアオヤマ君をかわいがっていた。ある日、彼らの暮らす街に突然ペンギンが現れる。海もないただの住宅地になぜペンギンが現れたのか。アオヤマ君は謎を解くべく研究を始めるが、そんな折、お姉さんが投げ捨てたコーラの缶がペンギンに変身するところを目撃する。
■Review
『ペンギン・ハイウェイ』は、
『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』などで知られる作家の森見登美彦の日本SF大賞を受賞した同名小説をアニメーション映画化した作品。
数々の短編アニメを作ったスタジオコロリドの第1回長編作品となっており、新鋭の石田祐康が監督を務める。
情報が入ってきた時からとても期待していた作品でした。原作は知りませんしたが、ペンギンは可愛いしこれがどんな方向へ向かうかも気になっていました。特にアニメが予告からでも素晴らしいと感じてました。
観た感想は期待通りの作品だったのは間違いないです。子供は純粋に楽しめるし、大人も笑えたりする部分があり考えさせられる部分もありました。
個人的にアニメーションが素晴らしいですね。アニメがとても綺麗だったというのもありますが、ひとつのジャンルに絞らないアニメだったなと思いました。ほかの作品だと画風によってキャラクターと映画のジャンルが全く合わないという事はあります。
しかしこの作品は、こどもが楽しめるような少し子供向けの画風をベースにしながら時にファンタジーが入ってもあってるし、SFぽい要素が加わってもなんも違和感はないです。終盤辺りの現代美術のようなアニメーションも素晴らしかったし、これも違和感はないです。
あとこの映画はお姉さんというキャラクターが魅力的でした。キャラクターそのものもそうなんだけど、胸を強調的に描いてるのに見ていて恥ずかしいなとは思いませんでした。去年のクソ映画『打ち上げ花火・・・』もそういう描写はありましたが、アレは製作者たちの性癖を映し出していた感じがしてみていて恥ずかしいし、気持ち悪かったです。
ただこの映画のお姉さんのおっぱいの描き方はどれも自然的に描かれていて、少年がそれに夢中になるのも分かります。なんか見るだけで本当ありがとうございますって言いたくなるような感じw
けど少年の気持ちも分かりますよ。あの年頃の男の子って同年齢の女の子を好きになるっていうよりかは、少し年上の女性を好きになるんですよね。私もそうでした。
じゃあおっぱいを大画面に映してどうなの?とは思うでしょうが、アレはただ単に少年の思春期の性的描写を映していたんだと思います。けど前半はお姉さんよりもおっぱいに目を向けがちですが、後半からはお姉さんのそのものに目を向けているんですよね。現に後半からそのおっぱいの大画面に映す描写は全然ないですから。ちゃんと理由がある描写は良いと思います。
キャラクターも素晴らしかったですよね。特に小学生のキャラクターは本当に小学生のように描かれていたと思います。勿論アニメですからアニメのような個性的なキャラではありますが、好きな人にちょっかい出したり、歯医者や虫歯を嫌ったり、小学生あるあるが結構盛り込んでいました。
主人公の少年のアオヤマ君は最初ガリ勉過ぎるからどうなんだろうと思いましたが、結構彼にも子供らしく小学生らしい部分が見つかったりして、とても愛着が湧きましたね。
お姉さんもさっき言った通り魅力的ですよね。今年の映画ヒロインナンバーワンは彼女でしょう。だって少しガサツだけど優しいし、少年の実験に付き合ってくれるし、おっぱいは魅力的だし、料理は出来るし、見ていくうちに愛おしくなるし、おっぱいは魅力的だし・・・。
それで私がこの映画で思ったのは、なんかこの作品去年公開されたドゥ二・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』によく似ているなという事。方向性とか伝えたいことは違いうと思うんですが、どこからともなく現れたペンギンや、謎の球体を調べる。だけど何かしらのメッセージを残しているそんな匂いは似ているなと個人的には感じました。
終盤で色々とは答えは出ていましたが、結局球体はどこからやってきたのか、お姉さんは何者でどこから来たのか、そもそもなぜペンギンだったのかという部分は答えは出ていません。アオヤマ君のノートに「考察」という言葉が出てきたので、解釈や考察が少し必要になってくる作品にはなってくるのかなと思います。
けどこの映画は変に難しいテーマではなく、誰でも簡単に色んな考えを生み出せることが出来るいわば「考察映画の入門編」のような作品になっているんじゃないのかなと思います。だから子供も飽きずに共感し、考えさせられる作品になってるんです。
まあ考察が苦手な私が出てきたものって単純に「命の始まりと終わり」と読み取ることも出来るんですよね。ちょっと一回見ただけでは何とも言えませんが、海は命の始まりであったり、少年の妹が「母が死ぬ」という唐突な子供が死の描写を意識したり。
ペンギンが消えるシーンも普通なら幻想的な消え方でも良いのにかなり残酷な消え方をしましたよね。あれも目で死という怖さを見せていたのかもしれません。
あと少年が書いた球体の絵やグラフ、ペンギン号が入った時の球体の動きなんかがなんとなく胆のう見たいだったなと思いました。それに付け替えてお姉さんが雨の日に調子が出ないとか、急に調子が悪くなったり、あとご飯を三日食べなかったりという描写も、妊娠している人の描写によく似ています。
あと町の周りに川が一周しているというのも生と死、始まりと終わりのループを表しているのではないのかと思います。・・・うん。やっぱそう思ってくると『メッセージ』に似てるね。
だから私がこの映画で思ったのは『スタンド・バイ・ミー』みたいな子供の探求心と夏の思い出という限られた大切な時間の物語でもあり、小学校4年生という精神的にもバランスが右往左往する時期にその子供が見た生と死の物語ではないんでしょうか?
勿論この考えが正しい訳ではないです。色んな人の意見を聞いて色んな発見をする、そんな皆と楽しめる作品になっています。真実はひとつじゃないという部分ではコナンくんもビックリですよ。勿論考察が嫌いな人も十分に楽しめますが、出来たら少し考えてほしいかなとは思いますね。
あとコーラ缶ばかり出したのには何か理由があるのか、お父さんの袋の解説は何を意味していたのかなど色々考えさせられることが膨らみますが、ちょっと今の段階では分からないので、また見てみて描けたらいいなと思います。
あと、ペンギン可愛い
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺☺⚫
9/10です。
今年見たアニメ映画の中では1、2位を争う面白さでした。夏の終わりの寂しいさに似合った作品だと思います。ぜひ、見てみてください。
はい、そんな感じで!
それでは!