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映画『わらの犬』これは「怒り」ではなく、「聖域」の物語。評価&感想【No.453】

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■映画情報


公開日/1972年4月29日

上映時間/115分(1時間55分)

監督/サム・ペキンパー

製作国/アメリ

■予告

■あらすじ

暴力が横行する現代アメリカから平和を求めてイギリスの片田舎に妻とともに逃れてきた若い数学者がたどる宿命を描く。

引用元:わらの犬(1971) : 作品情報 - 映画.com

■Review

わらの犬』(原題:Straw Dogs)は、
イギリスの作家ゴードン・M・ウィリアムズの『トレンチャー農場の包囲』を原作としたクライム映画。

2011年にはロッド・ルーリー監督によるリメイク作品がありますが、今回は70年代に製作されたオリジナル版をレビューしていきます。





特に多くは語らないから短くなるかもしれません。といつもこんなことを言っておきながら長くなるというね。


タイトルの『わらの犬』と言うのは元々中国の思想家老師の語録の中から取ったもので、超人的な存在の天から見れば、人間の護身はわらの犬のようにちっぽけな存在であると言うことらしいです。わらの犬はどうやらあっちの国では祭儀に用いられるとか。


要は何が言いたいのかと言うと、全知全能の神からしてみたら君たちのやってることはちっぽけだし、人も物も平等なのに自分たちが特別だと思うなよ。と言いたいのかもしれません。


これがそういう意味合いの映画なのかは見た感じだとそうは思えませんでしたが、ただこれを人間の目線で見るより何か動物や植物でもいいから別の目線で見たときに、結構人間と言うものはくだらない事で人を殺したりできるのんだなと感じてしまいます。


主人公は暴力嫌いの都会育ちの男性。70年代の当時のアメリカが嫌で静かな田舎の村に引っ越したわですが、村の人間たちはそれを受け入れられないのか、映画前半は彼に対するイジメが降りかかります。


この映画は終盤の激しい暴力が魅力的と宣伝していますが、どちらかと言うと個人的には前半の村人達の影に隠れた静かなイジメが人間の負の部分を表していて好きでした。だからと言っていじめが大好きという訳ではないですが。


とりあえずジワジワと攻めてきたと思ったらどんどんエスカレートして、主人公の妻をレイプするまでに至りますからね。最初のそれっぽいイジメである車が中々動かないシーンもきっと彼らがイジッたせいかもしれないし、バーでの主人公に飲ませる飲み物もきっと唾や痰でも入れたんでしょう。


そして終盤の主人公の家に押し入ってきた村人たちを殺戮するシーン。これ宣伝だと「物静かな男が怒り狂って人を殺す」という静かな人ほど怖いよと言ってるよな感じですが、本当映画見れば分かりますがそういう作品ではないし、主人公も自己防衛でやってる感じですよね。


しかし主人公は「ここは俺の家だ」とか「仕事の邪魔はしないでくれ」と妻に言ってるくらい、自分のテリトリーや聖域に入られたくないという人間の心を映した作品でもあったように感じます。どんな人間でも舐めてはいけないし、その聖域に誰も踏み入れてほしくないという気持ちはあります。


私の大好きな福山雅治の『聖域』という曲がありまして、その歌詞の一部の「だけどね あなたね 勘違いしないで わたしを支配するのはわたしです」という歌詞がとてもこの作品とリンクしてるなと見終わった時に思いました。自分の聖域は自分しか分からないし、他人に操作されるのはデリカシーがないと言ってる感じがします。


主人公は妻に対してもきっとそう思ったに違いないです。黒板を勝手にいじられたことに苛立ったり、何より妻がレイプされてるシーンがそれを物語っています。


村の人と狩りに行き、自分は狩りに夢中になるシーンと妻がレイプされるシーンが混合するというシーン。これって村人が中々帰ってこないから主人公は察することは出来るはずなのに、そうはしないで妻をほっておいて狩りに夢中になっていますよね。主人公はいい意味でも悪い意味でも自分が大好きで、自分の以外の人間は聖域に踏み入れなければどうでもいいという人間なのでしょう。


とりあえずこの映画はただ単に怒り狂う殺人映画ではなく、「傲慢な人間がいかに見にくいか。」「人間の聖域に勝手に踏み入れたらどうなるのか。」「それで怒りを表す人間はバカらしいな」とそんな作品だったのかなと思いました。そして最初にも言った通り記事が長くなりましたとさ。


■評価


最終評価は・・・





☺☺☺☺☺|☺☺☺☺⚫

9/10です。



素晴らしい作品ですが人には少しおススメしづらい作品かな。そこまで残酷なシーンは無いですが、見ていて気持ちが暗くなるような作品だし全員が好きになれる映画かと言われたらそうでもないので、興味のある方だけ見てくれたらいいかなと思います。





はい、そんな感じで!

それでは!

福山雅治 聖域 歌詞 - 歌ネット