■予告
■あらすじ
甘えん坊の4歳の男児くんちゃんと、未来からやってきた成長した妹ミライの2人が繰り広げる不思議な冒険を通して、さまざまな家族の愛のかたちを描く。とある都会の片隅。小さな庭に小さな木の生えた、小さな家に暮らす4歳のくんちゃんは、生まれたばかりの妹に両親の愛情を奪われ、戸惑いの日々を過ごしていた。そんな彼の前にある時、学生の姿をした少女が現れる。彼女は、未来からやってきた妹ミライだった。ミライに導かれ、時を越えた冒険に出たくんちゃんは、かつて王子だったという謎の男や幼い頃の母、青年時代の曽祖父など、不思議な出会いを果たしていく。
■Review
『未来のミライ』は、
『バケモノの子』『サマーウォーズ』などを世に送り出した細田守監督による最新長編アニメーション作品。前回に引き続き監督、脚本は細田守が勤めてます。アヌシー国際アニメーション映画祭2018では長編部門コンペティションに選出されてます。
正直楽しみでもあり不安でもありました。細田監督は好きな作品は産み出しますが、前作『バケモノの子』の脚本が細田監督自信でつまらなかったというのもあるからです。果たして今回はどうだったかレビューしていきます。
まぁそんなこと言ってもタイトルで私がどんな気持ちでレビューするのか皆さんには分かっちゃうんですけどね。今まで細田監督の最低映画は『バケモノの子』だと思いましたが、それが見事更新をして『未来のミライ』になりました。ここまでくると細田監督の未来が心配になります。
良い部分から話すなら、まず前作のまでの今までの作品達を比べるとアニメーションが圧倒的によくなったということ。たまに雑な作画が見られた過去の作品達とは違い、アニメーションは綺麗だし、丁寧に作られたんだなと分かります。
それが分かるのはキャラクターの動きや表情が素晴らしいです。くんちゃんはいちいち可愛い動きや表情はするし、未来のミライちゃんも今までのヒロインと比べて可愛らしい女の子に仕上がってるように感じます。色彩も変わってたし、少し色の塗り方変えたのかな?
あとタレント起用の声優人。細田監督の映画のタレント声優は3割くらい下手なやつが混じってましたが、ひとりを除いて全員素晴らしい演技していました。黒木華は慣れてるだけあって上手かったし、星野源や吉原光夫も個人的には良かったなと思いました。
なにより圧倒的に驚かされ素晴らしかったのは我らが福山雅治!ファンだから強く好評している訳ではなく、彼の声質や演技が声優向きだったというのもあり、アニメのアフレコは2回目だと思いますが、2回目とは思えないくらい素晴らしく自然な演技をしてくれてました。
どこの訛りか分からないけど、福山雅治演じた青年が特攻隊で鹿児島辺りの話になるから、たぶん青年も九州の訛りだと思います。だからファンにとっては福山雅治の九州方言が聞けたのは嬉しかったです。
もしかすると間違えてると思うので、是非間違えてたら教えてください。
ここから不満点になります。まず先程の声優の話ですが1名アフレコが上手くないみたいな話しましたが、それはくんちゃん役の上白石萌歌です。上白石萌音の妹ですね。別に演技は悪くはないんですよ。悪くないけど、4歳のくんちゃんのキャラと声が全然合ってないです。
普通の女性が無理して子供の声を出すと、やはり4歳の男の子の声には聞こえません。ここは素直に男の子声を出せるプロの声優にするか、下手でもいいから子役にやらせるべきでした。
そういう意味では無理して子供の声を出し、子供台詞を吐きまくるからただただ可愛い子ぶる女性にしか聞こえません。「好きくない」という台詞もそうじゃないかもしれませんが声優自信がぶりっ子に聞こえたし、個人的にぶりっ子が嫌いなので尚更好きくないです。
仮にそれが無く上手く演じられたとしても上白石萌歌自信に特徴のある演技が聞かれません。声だけの演技だけだから100%暫定できませんが、お姉さんとまったく声や演技もほぼ同じだし、どちらかというと声優ならお姉さんが上手いから「別に上白石萌音でも良くね?」と思います。
姉妹だから仕方ない点もあるとは思いますが、けど影にならない為に芸能界で生き残る為にはやはりお姉さんと違う能力は必要です。広瀬すずが有名になりすぎて姉の広瀬アリスが影になったようにならない為にも、彼女にはもっと頑張ってほしいものです。
映画の内容は今回も家族ものでしたね。しかし今作は伝えたいことは分かるけど、それがあまり伝わりきれてなかったり空振りしていたように感じました。くんちゃんが色んな時間軸を飛び回り、家族を知り、自分が少し大人になるという事をしたかったのでしょう。
けど色んな不思議な世界や過去を回ってもただその人達の事を理解するというだけで、直接くんちゃんの成長に繋がってるのかと言われたらそうではないです。本当にただ世界を見て、知るというだけです。ひとつだけ成長が見れて面白かったエピソードはひい祖父さんの青年期の話くらいです。
そして何よりいけないのは、この色んな世界を飛び回る際に必ず家で起こるという事です。例え規模のでかいことが起きても、全て家で行われていているのですべての世界の規模が小さく窮屈に感じます。家の庭も閉鎖的ですから尚更そう思います。
そもそもこの不思議な世界の開く性質や発生条件がよく分からないんですよね。くんちゃんのひとつの感情で世界が開くのかなと思ったら怒りや悲しみ、嫉妬と様々なことで起きるし、不思議な男や未来のミライちゃんもなんでくんちゃんの前に姿を現したのかもよく分かりません。なんで不思議な世界が開くのか誰も説明してくれないし。
様々な世界で起こる出来事で何かしらくんちゃんに伝えたいことを言っても何を伝えたかったのかフワフワしてたし、最終的に「家族を大切に」「家族は繋がってるよ」みたいなテーマを言いたかったのかもしれませんが、結局それを伝えるなら今までのくんちゃんの成長もしないエピソードは無しでそれだけ一点に絞って作品を作っても良かったと思います。
もしくは未来のミライちゃんがくんちゃんに「今これをしないと家族の未来が危ないよ」的なことを言って、家族を救う話でも良かったのかなと思います。意味もなく表れるよりはいいかと。
色々言いたいことはあるけど色々ありすぎて、詰め込み過ぎて結局すべてがあやふやな状態になっていた感じでした。本人じゃないんで断定はできませんが、もしかすると監督も結局何を伝えたいか纏まり切れてなかったんじゃないのかなと思いました。
くんちゃんが色んな世界を旅していても応援できないキャラクターになっていました。先から言う通り彼自身が特に成長していないように見えるし、とてもじゃないけど4歳の設定の子供には全く見えませんでした。
なんで謎の男の話が分からないのに、「跪け」の意味を知っているのか。4歳で電車が好きなのはまだ分かるけど電車の「○○系」まで詳しく覚えられる子供はそうそういない。普通4歳ならすぐ忘れるはずの葬式をなぜ覚えてて知ってるのかと4歳にしては不自然すぎます。もし頭がいいなら分かるけど、そういう設定ではないから尚更です。
あと急に犬の歩き方や鳴き声を真似たり、尻尾を尻にぶっ刺す謎の勇気だったり、途中からのドM体質を見せたりと、可愛いというよりアニメでもかなり気味が悪く可笑しかったです。
ここまでくると「じゃあ5歳のしんちゃんはどうなんだよ」と思うかもしれませんが、そもそもジャンルが違い過ぎるし、あれはギャグだからああいう少し頭のキレる発想とか許せるし、それにしんちゃんも難しい言葉や用語はちゃんと大人に聞いたりします。それに比べると心が成長しない同じことで泣いてばかりいる不気味なドMな男の子4歳を誰が応援したがるのか。
まとめると映画のアニメーションは素晴らしいけど、すべてのストーリーのテーマが統一性や一貫性がなく、全体的に起承転結の起承を繰り返してる感じ。もっとシンプルでいいのに色々詰め込み過ぎてる作品です。もっとこういう映画って小難しくしようとしないで、もっとシンプルでも良かったと思います。
あとこれは私のかなり個人的な意見ですが、映画のほとんどがタレントを使っているから声優という専門職の存在に疑問を持ちます。勿論昔は俳優がアフレコしたことくらいは知ってますが、今では世間も知るくらい声優と言う専門職が認知されてるのにこれを使わないのはかなり勿体ないです。パティシエが急に大工になって家を建てるくらい難しいんですよ。
宮崎駿はリアリティーを求めてタレントを使いますが、細田監督は話や画風がアニメらしいので大袈裟な演技をするプロの声優の方が細田作品には向いていると思います。
それにもう細田作品は良いブランド名になってるし嫌でも名前を聞いただけでお客は来るんだから、タレントを使ってお客を集めるという方法はもうしなくていいでしょう。
あともう一つ・・・
折角福山雅治が出てきてんだから、ビールはプレミアムモルツじゃなくてそこはアサヒスーパードライだろ!!
見た人じゃないと分からないネタです。
■評価
最終評価は・・・
☺☺⚫⚫⚫|⚫⚫⚫⚫⚫
2/10です。
2点と付けましたが、3点に近い2点だと思ってください。退屈するほどの作品ではないんですが、全体的にまとまりがないつまらない作品になってしまいました。これから細田監督が新作を出す際は少し期待値を低めにして見ようと思います。
はい、そんな感じで!
それでは!