■予告
■あらすじ
江戸時代を舞台に、隠密ミッションをめぐって繰り広げられる10人の男たちの腹の探り合いと、1人の女をめぐる恋の行方、そして謎の猿将軍が明かす驚がくの真実を描き出す。
■Review
『パンク侍、斬られて候』は、
芥川賞受賞した町田康による原作小説を、監督石井岳龍、脚本宮藤官九郎により実写化された異色の時代劇映画。
予告でかなり気になってましたが正直DVDでもいいかなとは思いました。しかし時間も出来たのでせっかくだから鑑賞する事になったので今回レビューさせてもらいます。
さきに言うとこの映画は好き嫌いが分かれます。特に原作ファンはこの映画に対してあまり良い印象はないのかなと思います。ちなみに私は原作未読ですが、この映画は映画館で見れてよかったと思ったし良い作品だったなと思いました。
まず俳優人が本当演技もキャラクターも素晴らしいです。どの俳優もそのキャラクターに見えたし、なんか前面に俳優としての顔を出していなかったというのも好感です。誰がどのキャラをやるのか調べてませんでしたが、浅野忠信が出るとは聞いてましたが正直エンドクレジットまで分かりませんでした。
あと邦画にしてはセットが素晴らしいです。時代劇は基本セットは凄いんですが、この映画はまた次元が違うからよりそれが進化した感じだったし、あと衣装デザインもいい仕事してましたね。時代劇ぽいんですけど、なんか今風なデザインに仕上がっていたし、キャラクターが解禁されたときの服の色彩とかも芸術性があるなと思いました。
さっき芸術性と言いましたが、この映画は本当に芸術性にあふれた時代劇です。服装は勿論だし、映像の撮り方、戦闘シーン、ラストの綾野剛のある人物を斬るシーンの映像演出など全てのものが芸術性の高いもので「邦画もやるじゃん」とつい思ってしまったし、鳥肌が立ちました。
なんか猿の大将もリアリティあって偽物には感じませんでしたね。猿の動きの演技も素晴らしかったし、このキャラ結構好きでした。あの特殊メイク凄いですよね。凄さ的に昔の『猿の惑星』を思い出しました。
原作を読んでない人たちが見てもこの映画を好きと嫌いで分かれそうですよね。なぜならかなり読み解くのに難しいし、序盤は普通の時代劇かなと思ったら気づいたら別世界のような展開になってくるんですから。
この映画の面白い所は時代劇でありながら、共感できる現代の風刺を感じ取れます。悟り世代でハキハキしない若い新人、どっしりとし過ぎてる上司と普通とはかけ離れているのではないかと思ってしまうキャラクターが多くいます。
そんな中自分は普通で正気だと思い込んでいるのは主人公であり、私たちでもあります。いつしか可笑しな世界に生きてると感じ、自分が生きてきた世界が正しいと感じたらぶっ壊される。要はこの世界は茶番劇なんだよと。
目上のサルの大将も普通に感じれば変ではありますが、サルから見れば人間が生きてる世界、物語、生き方なんて茶番劇。だから最終的にサルの大将は飽きれて帰るんですよ。
そして腹ふり党は、今でいうワールドカップの渋谷で大騒ぎするサポーターたちそのもの。とにかくこんな汚い世の中だから誰かと騒いで、時間を共有したい、感動したいと言ってるのと一緒。それがどんな人かというと他人の気持ちを考えないでその場の時間を楽しむ人。
そしてなんか映画に対しても風刺してた感じはしました。第四の壁を突破する人物は現れたし、ナレーションも「お前ら結局キャラの心情とかナレーションないと分からないんだろ?」と言われてるみたいでした。私だけかな?
とにかく語学力がない私がこんな事ダラダラ言っても仕方ないのでまとめると、時代劇でありながら現代社会の風刺を訴えてながらも物語の芯はしっかりとしている映画。さらに時代劇、邦画の新しいエンタメと芸術にあふれた作品だったなと思いました。
この映画をより知りたいという方は私とは違い考察が上手く語学力のあるレビュー記事を見た方がいいでしょうw
少し不満点を言うなら、やはりCGがチープに感じることはありましたね。途中までは良かった部分もありましたが、ラスト辺りは明らかにCG感は出てました。もしかするとこれは非現実的な世界の演出だったかもしれませんが、それでも気になってしまいました。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺⚫⚫
8/10です。
好き嫌いは分かれますが、この映画の伝えたいこと訴えたいことが分かればかなり面白い作品だなと感じられると思います。ちょっと私も途中トイレに行ったし作品で少し掘り下げたい部分もあり、また見たくなるような作品だったので、DVDが出たらまた見ようと思います。
はい、そんな感じで!
それでは!