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映画『万引き家族』彼らの「普通」を見逃してはならない。評価&感想【No.412】

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■映画情報


公開日/2018年6月8日

上映時間/120分(2時間00分)

監督/是枝祐和

製作国/日本

■予告

■あらすじ

高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという、社会の底辺にいるような一家だったが、いつも笑いが絶えない日々を送っている。そんなある冬の日、近所の団地の廊下で震えていた幼い女の子を見かねた治が家に連れ帰り、信代が娘として育てることに。そして、ある事件をきっかけに仲の良かった家族はバラバラになっていき、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになっていく。

引用元:万引き家族 : 作品情報 - 映画.com

■Review

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万引き家族は、
そして父になる』『三度目の殺人』の是枝裕和による軽犯罪を重ねる一家を撮したヒューマンドラマ映画。

今年の2018年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され日本映画としては21年ぶりとなる最高賞のパルムドームを受賞しました。おめでとうございます!





とりあえず先に言わせてもらうのが今年の映画は素晴らしい作品が多いです。本当に心に残る作品が今年は多く見れてるように感じます。それに反比例してか駄作も多いですがそれは今後また話すとして、そんな今年の素晴らしい作品は日本映画でも多く出会ってるような気がします。


私の点数の付け方や評価が甘くなったのではなく、本当に見て感動し余韻に浸った数が今年たまたま多いという話です。この『万引き家族』もそうでした。アカデミー賞よりカンヌの方が良い作品が個人的に多く出されてる印象なんですが、今回もそうだったし本当にこの作品が受賞したのが納得しました。


とりあえず先に言うならこの映画をタイトルや監督の言葉で見に行かないで批判したりするのはかなり勿体ないです。時間の無駄。そんな時間あるならこの映画を見にいってください。映画を見に行って反論や酷評するなら分かりますがね。


まずとにかく出ていた俳優人の演技とキャラクターは皆素晴らしかったです。もちろん監督お得意の子役の演技指導も行き渡っていました。どのキャラも世間からしたら異端ではあるんですが、けど何故かどこか共感出来て表面上のキャラクターではないです。


『スリービルボード』でもそうでしたがこの映画のキャラは表面的ではなくどのキャラも興味深いです。どういう事かというと人間って複雑だから善悪が混ざり合っているような感じなんですよ。そういう複雑な人間描写を映し出してリアリティーがあり、この映画ではそれを良く映していました。


応援できるかと言われたらそうではないんだけど、彼らのセリフや家族や生活とは何かという訴えに関して否定できない納得のいく部分もあります。だからこそ映画が進むにつれて彼らの生活に前のめりになって見ていたり、よりどんどんこの映画の世界に深い所まで見せられてるように感じました。


俳優の演技も素晴らしく結局全員が血縁関係が無い家族なんですが、最初から一つの家族に見えたしその家族らしいようなやり取りも素晴らしく、言葉では語らないんだけど凄い深い絆があるんだなと感じ取れます。




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音楽とかカメラワークに頼らず映像と何かしらの強いセリフで何かを訴えるというのは良かったです。それこそこの映画の言いたいことが皆と答えは違えどなにか心に来るものはあるし、変に感動させないで出来るだけ自然に見せていました。


だからなのか音楽も今までの監督映画の中でも1、2位を争う印象深さでしたね。しかも意外とスリラー映画に流れるような不安になるような音楽でした。それが何を意味していたかは今の段階ではハッキリとは答えられませんが、ただ今のこの世の中の不安と闇を伝えたかったのかもしれません。


闇とか言いましたがこの映画は「家族とは」という問題提示した作品でもありますが、それと同時に社会の大きな闇を見せているやるせなくて、救いようのないような作品だったなと感じました。


ぜひこの映画を純粋な形で見てほしいのでネタバレはしませんが、この家族は確かにやってはいけないことはしましたがそれが果たして女の子にとっては悲劇だったのかと言われたらそうでもないです。女の子は育児放棄されてリリー・フランキーたちの家族が拾います。それこそ映画を見れば分かりますが時間が流れるにつれて彼女は明るくなりますし、言葉数も多くなります。
そしてそこには家族愛が確かにありました。


そして父になる』のように血縁が本当の家族かと言うテーマは少し似ていますが、この映画はそれをもっと深く見せている作品です。「母親は子供を産めば母親なのか」。そこに愛情が無ければ本当の母親とは言えないと私は思いますし、劇中のこのセリフには共感しました。




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さきのセリフもそうなんですが、今までの常識をぶっ壊されたような感覚になりました。勿論いい意味で。「学校に行くやつは家で勉強できないから行く」「好きだから叩くというのは嘘。好きなら抱きしめる」などそのセリフたちに共感出来、セリフの中にキャラクターたちが過去になにがあったのかなんとなく予想がつきます。


社会の常識という「普通」と彼らの「普通」どちらが正しいか分かりませんが、ですがこれがこの家族の普通の生活で彼らの幸せであったのは間違いないです。その彼らの普通を見届けたからこそ世間の常識が壁になり、やるせなく本当は助けられるんじゃないかと映画なのに悔しい気持ちになります。


昔子供の頃父親と出かけてた時父親がホームレスの人たちを指さし「あいつらは社会の負け組だ」と言いました。小さい頃なので記憶は曖昧ですがそんな感じの事は言ってたはずです。しかし彼らが本当に負け組なのかは分かりません。ホームレスでもしっかりと生きているのは間違いないです。


ホームレスも今回の映画の家族も世間的に見ればマイナスなイメージですが、ただやはり社会とかが本当に救わないといけないのは育児放棄されてる子供や生活が困難な人たちなんじゃないかと私は見終わってそう思いました。それこそ子供の命も危ないし、貧乏な家族は子供教育にも影響が出てしまうというのも映画で分かります。


何回も見るような作品ではないかなと思いますが何故か今書いてる時も「また見たいな」と思えるし、考えさせられるし、余韻が深い作品です。「本当の家族って何だろう」「普通って何だろう」「愛って何だろう」そんな疑問が生まれる作品でもあります。


この監督は映画の中での問題を鑑賞者に委ねますが今回もそうでしたね。特にラストは本当に救いようがない展開でしたし、この問題もかなり重く衝撃的です。実際はなにを問題視しないといけないのか、本当に救わないといけない人や罰しないといけない人は誰なのか、社会的な闇を訴えていた作品でした。


ここまでくるとかなり固く重い映画なのかなと思いがちですが、実際雰囲気的にはそこまででもなかったし、笑えるシーンも何点かあったので見やすいし全体的なバランスも非常によく、緊張感ある部分は本当にこちらも緊張したよく作り込まれた傑作品でした。


さて皆さんはこの映画見終わってどう思ったでしょうか?


■評価


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最終評価は・・・





☺☺☺☺☺|☺☺☺●●


8/10です。






一応もう一度いいますがこの作品を見ないで批判はしないでください。見終わって批判するのは勝手ですが見もしないで変に見たかのような評価はやめましょう。そして素晴らしかったらこの映画をぜひ色んな人に勧めてください!

けど結局この映画を観ないで批判する人って、今まで素晴らしい作品を見てこなかったのか、ただの暇人なんでしょうか?可哀想ですね





はい、そんな感じで!

それでは!