■予告
■あらすじ
近未来の日本。メガ崎市で犬インフルエンザが大流行し、犬たちはゴミ処理場の島「犬ヶ島」に隔離されることに。12歳の少年・小林アタリは愛犬スポッツを捜し出すため、たった1人で小型機を盗んで犬ヶ島へと向かう。
■Review
『犬ヶ島』(原題:Isle of Dogs)は、
『グランド・ブダペスト・ホテル』のウェス・アンダーソン監督による近未来の日本を舞台にしたストップモーションアニメ映画です。
この映画は第68回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞しました。
『ファンタスティック Mr.FOX』以来のストップモーションアニメ作品で、セット製作には670人のスタッフが携わり4年かけて作り上げました。
物凄いめんどくさいし大変なんだろうなという製作を理解した上でこの作品を観ると最初は確かに「頑張ったな」というのは分かりますが、後から芸術的でストップモーションアニメとは思えないクオリティに驚きます。
主要なキャラは勿論特にストーリーに関わることは無さそうなキャラも見ていて冷たい感覚は無くどれもが命があるように思えます。どのキャラも外見も中身も偽物感はなく、現実で生きていても可笑しくはない出来です。
監督自信が黒澤明をリスペクトしているらしく映像の一部が黒澤明映画らしかったり、黒澤明のようなスケールの大きさを表したような映像を撮っていました。人形だし、作ったセットも小さいはずなんですが全ての世界の規模が大きく見えました。その良さを生かしたチーフ達5人の初登場シーンはシビれました。
それらも含めてかなり日本に対する愛がある映画だっなと思いました。古きよき日本の映画のような演出だったり、序盤の太鼓のオープニング、エピローグの落語のような喋り始め、相撲や歌舞伎など日本の良い部分は全面的に見せていました。
海外が撮す日本の世界って変な漢字や言葉が並んでたり毎度可笑しいんです。けどそういう海外の常識は出さないで、日本の本来の姿でありそうな世界観を作ってくれてたし、きっと未来はこうなるだろうなっていう日本の世界を作ってくれたのは嬉しいです。
だけど日本のちょっとした悪い部分を見せてくれたのも良かったです。政治的な話や大人による陰謀や工作とか思ってた以上に社会的なメッセージもぶつけてきたのには驚きましたね。けど日本もそうですが世界でもこういうのは共通はするし、ブラックな話題でもアニメだからオブラートに包めたのかなと思います。
勿論この映画は人間と犬の関係性を描いている作品でもあります。私は犬は飼ったことはありませんが、飼い主が簡単に犬を捨ててしまう愚かさというのを改めて感じさせられました。同じ命であるのになんで隔離してしまうのか?どうして殺すのか?犬でなくても同じ人でも考えさせられるし、納得してしまいます。
いかに人間と犬が心を通わせるのが難しいのか、それがいかに大切なのかというのも痛感しました。心を通わせるかシーンも言葉は勿論なかったし台詞もないです。
アタリが棒を投げてチーフに取りに行かせるシーンで「気の毒だから取りに行く」と言うシーンはなんか自分達が犬を飼ってるんじゃなくて、人間が可愛そうだから俺たちがいると言われてる見たいで、どれだけ自分達が偉いと思い勝手な事をしているんだろうというのも考えさせられました。
もっと他に色々な事が込められてそうですが私の力量で読み取れたのはこれくらいです。そもそも監督の映画は情報量が多い作品が多いのでそれを理解するのも大変だし、解釈するのも少してこずると思います。言い訳しても仕方ないですが。
映画全体としては情報量が多く、テンポが良いし前に前に行っている作品なので見やすいには見やすいんですが、逆に言えばテンポが早すぎてひとつひとつのシーンの余韻を感じさせてくれないし、キャラの心情の移り変わりも早いから少し彼らの気持ちに着いていけない時がありました。
あと日本人の吹き替えはまだ良かったんですが、アタリとかの人間で日本語を喋るキャラに関しては正直微妙でした。たまになに言ってるのか分からないし、感情的な部分もあまり上手くはなかったです。特にそう思ったのはメイジャー・ドウモ演じた高山明というキャラ。彼は特に字幕がほしいくらいなに言ってたかよく分からなかった。
さっきも言った通り情報量が多く字幕だと読むの大変だと思うのでこの映画はどちらかと言うと吹き替えで見ることをオススメします。それと私が思うに初めてウェス・アンダーソン監督の作品に触れるよという人はあまりこの映画はオススメしません。それこそ『グランド・ブダペスト・ホテル』は見やすいのでそれを見て彼の作る映画を理解してから『犬ヶ島』の鑑賞をオススメします。
そして最後にシンプルな感想・・・。マジ犬可愛いぃぃーーー!!!!!ヒャーーーー!!!
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺⚫⚫⚫
7/10です。
この点数ではありますが監督の作品は好きなので何回か見直すとは思います。好き嫌いは別れそうですが笑えた部分もあったので一度は映画館で見ることをオススメします!
はい、そんな感じで!
それでは!