■予告
■あらすじ
妻と温泉地を訪れた初老男性が硫化水素中毒で死亡する事件が発生した。捜査を担当する刑事・中岡は妻による遺産目当ての計画殺人を疑うが、事件現場の調査を行った地球化学専門家・青江修介は、気象条件の安定しない屋外で計画を実行するのは不可能として事件性を否定。しかし数日後、被害者男性の知人が別の地方都市で硫化水素中毒により死亡する事故が起きる。新たな事故現場の調査に当たる青江だったが、やはり事件性は見受けられない。もし2つの事故を連続殺人事件と仮定するのであれば、犯人はその場所で起こる自然現象を正確に予測していたことになる。行き詰まる青江の前に謎の女・羽原円華が現われ、これから起こる自然現象を見事に言い当てる。彼女は事件の秘密を知る青年・甘粕謙人を探しており、青江に協力を頼むが……。
■Review
『ラプラスの魔女』は、
東野圭吾のベストセラー同名小説を三池崇史が実写化したミステリー作品です。取り合えずこれだけは言わせてください。三池崇史、またお前かよ。
ちなみに東野圭吾は大好きな小説家ですがこの『ラプラスの魔女』の小説は読んだことありません。純粋にひとつの映画としてレビューします。
三池崇史監督作品なので彼について話すとあまり好きじゃない監督です。…いや嫌いです。あまり彼の作品でいいものを見たことないです。勿論全部見たことはありませんが彼の『ジョジョの奇妙な冒険』は大嫌いだし『無限の住人』はアクションは良かったし、『妖怪大戦争』『テラフォーマーズ』は嫌いですがB級映画として見るとなかなか見れたりします。
今回の『ラプラスの魔女』はその作品達に比べるともうなんの感情も沸き上がりません。怒りや悲しみと言うよりただつまらなく、駄作な作品でした。言ってしまえばクソ……いや違うかな…?…ゴミ?………………はい、クソでした!
で今回はすこしいつもの形式とは異なり、5個のカテゴリーに分けて紹介していきたいと思います。そして今回はネタバレありでレビューします。
そしていつもよりめちゃくちゃ長いです!
まだ公開して間もないので本編の内容を知りたくない人はブラウザバックをおススメします。まあ、大丈夫だとは思うけど・・・では行きます。
■キャラクター
映画にとって脚本と並び大切な存在はキャラクターだと思います。キャラクターが良くないと映画の盛り上がりに欠けますし、好きなキャラがいるからどんな試練も応援したくなったり共感出来たりもします。ですがこの映画においてはそういうキャラが一人もいません。
たいして特徴のあるキャラもいませんし、少し個性があるようなキャラも特に必要なかったり表面上だけのキャラだったりとどうでもいいような奴らが多かったです。
特に櫻井翔演じた青江修介はいる存在すら不思議などうでもいいキャラでした。一応この映画だと主人公の立ち回りではありますが特に主人公らしいキャラでもないし、あまり好きになれる要素が見つかりません。東野作品で有名な『ガリレオ』シリーズの湯川学と比べると、湯川は物理好きの変人で、現象には必ず理由があると実験をしては仮説をたて、心理学とか否定して少し冷たい部分はあるものの、美人には弱く迷ってる人には助言をしたりと良い部分もあり生徒にも人気です。
しかし青江の場合は良い部分があまり見つかりません。オカシイと思う所には科学の大学教授なのに実験をしないし、特に生徒からの人気も高くはなく、なにかこれと言った面白い性格とかもあるわけではないです。「若い目をつぶしたくない」からほとんどの生徒にも良い評価をあげてますが、それってめんどくさいと言ってるようなもんです。湯川は事件の解明を先にはしますがしっかりと生徒のレポートも見たりします。
そもそもこの青江がどうしてそこまで事件に関わる動機も分からないし、彼の地球科学の専門知識が全然生かされてないんですよ。湯川は事件や犯人捜しは興味ないけど奇妙な現象には興味をしめしそれを知りたいから参加していますが、青江の場合仕事以外でのそういう動機もないからただの普通の人で終るんですよ。
あと青江は特に何もしないです。円華の運転手になったり、勿論事件について深く追求するわけでもないし、頭の悪い私でも分かることを彼が閃いて話したり特に彼がいなくても物語は進めることはできます。ほかの方の意見だと「青江は視聴者目線のキャラ」「彼はストーリーテラー」と言ってます。言いたいことは分かるけど、もうどうでも良くて好きになれないキャラに一緒に共感しようと言われても難しいです。
いい例で『ファンタスティック・ビースト』のジェイコブというキャラがいます。彼は魔法使いではなく普通の人間ですが、キャラクターとしては愛嬌がありとても面白く興味が湧き、彼を通して同じように魔法の世界に入り込むことができます。
しかしこの映画の世界観の作り方の問題もあるでしょうが、青江のキャラに共感や関心が持てなく特に一緒に世界観に入り込むのは難しいです。
他のキャラクターに関しても表面上だけの中身が薄っすらな人物だらけです。広瀬すず演じる円華や福士蒼汰演じる謙人の過去もそこまで掘り下げていません。円華に関しては過去に竜巻で吹き飛ばされた母親の映像を何度もみせ「彼女にはこういう過去があったんだよ」と無理矢理下手な演出で頭に叩き込まれます。私たちはそこを見たいんじゃなくて、そこからどうやって生きてきたか、どんな葛藤があったのかが知りたいんです。
謙人もそうですね。彼が動けない間どんなことを想っていたか、過去の家族の暮らし、能力を得るときの葛藤を見たいのに重要なところを見せてはくれません。そういう重要な過去を見せるからキャラに応援してり出来るんじゃないんでしょうか。
こうしたどうでもいいキャラたちのどうでもいい物語を二時間ゆったりたっぷりのんびり見せられます。まずキャラの作りこみが三池崇史は弱いのでここはこれからどうにかして欲しいです。ホテル三日月久々に行きたいなあ・・・。
■俳優と演技
俳優については・・・まあ特に多くは言うことはありませんがやはり三池崇史監督作品だなと思いました。三池崇史監督の作品に出る俳優、特に上手い人はなぜか彼の映画に出るとその映画の演技は急激にへたくそになります。
この映画ではどうだったかと言うと突飛としてそういう人はいませんがやはり大体の俳優の演技は酷いです。というのも皆あまりやる気ないように感じたり、セリフを覚えてキャラが言ってるのではなく俳優その人が台本通りに行ってるだけに聞こえます。要は「予定調和」になってるなと思いました。
広瀬すずに関しては去年の『三度目の殺人』から少し期待はしていたんですが、なんか吹っ切れていませんでしたね。なんか上手くいってないというか。そこは少し残念です。
主演の櫻井翔に関して。彼の演技を今まで上手いと思ったことは一度もありませんが、この映画はただ櫻井翔が櫻井翔を演じてるだけです。とくに大学教授にも見えませんし、この映画の演技もお遊戯レベルの物です。
この映画の唯一の救いであろうリリー・フランキー。なんか今回ね、彼眠そうなんですよね。凄い眠そうな顔で、眠そうな声でぶつぶつ喋るんですよ。『アフター・アース』のウィル・スミス見てる気分。
富川悦司も上手い俳優なんだけどこの人が三池崇史の犠牲者になった人だと思う。彼の演技結構下手でした。後半から水木一郎が着てそうな赤いロングコート着て、なんか脅威的で恐ろしいキャラにしたかったんだと思いますが、そこまで恐ろしさは感じられなくどちらかというとエキセントリックなキャラクターだったなと思いましたね。
あとは志田未来がなんか老けて大画面で見ると正直絵的にきついし、TAOも演技が微妙で活舌が悪いなと変なところ気になったりしました。うん、あとは普通かな。
あと基本皆棒たちだったり、あまり動かないんですよね。特に大きな動きもそこまで多くはないですし、動かないでそのまま会話してるだけなんできっとこの映画に出ている俳優人の何人かは演技楽だったのかなと思いました。本当にそう思ってるか分かりませんが。
■カメラワークと映像
三池崇史監督の作品ではあまりカメラワークとか映像の良し悪しはあまり気にはしてきませんでした。どんなにクソな作品でも映像技術は最低基準は満たしていると思っていました。
ただこの作品のカメラアングルに関してはかなり酷い出来でよくこんな物を完成品として認め世の中の映画館で放映することが出来たなと、その謎の精神にはあっぱれとしか言えません。
特に調べてみても三池崇史とよく映画を作っている人達でかなりの実績はあるので本当にどうしてこうなったか分からないし、もっと言えばこの映像やカメラワーク、編集で製作陣のやる気のなさも感じてしまうのも無理はないです。良いものを作ろうという気持ちが伝わりませんし。
まぁなにがそんなにダメって絵が動かない。俳優が棒たちで話しているのもそうなんでしょうが、とにかくひとつの画を5分くらい長回しで録るんですよ。新たな挑戦をしたかったのかは知りませんがその長回しは下手クソだし、芸術的じゃないです。
例えば『ラ・ラ・ランド』はミュージカルシーンがあるというのもありますが、長回しをしてても映像は美しいし、しっかりカメラは動き、いろんな角度から映像を撮っています。そのどの角度も芸術的な映像を見せてくれます。
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は長回しが素晴らしい作品です。カットはしないでキャラに焦点を当てて物語が進んでいきます。
あるキャラを撮り終えたら、そのまま隣にいるキャラを撮してその物語を流れを悪くしないで撮る。常に緊張を切らせないし、芸術面も高く、より映画が素晴らしいなと感じさせられます。ひとりのキャラに焦点を当て続け長回しをするというのは『サウルの息子』も同じかな?
ただこの『ラプラスの魔女』に関してはどういう意図で、どうして長回ししたのか分かりません。特に画的にも芸術性は見られなかったし、長回しをして何を伝えたかったのかも分かりません。無駄に長回しをしても緊張感のないストーリーですからただ眠くなるだけです。その映像での意外性も見られないし、ずっと固定だったから……うん。ただ監督が「やってみたかったからこの映画でやってみた」としか見れませんでした。
あとカメラの顔に近づけ過ぎ。どんだけアングル近いんだよ。このアングル無駄に近いのも特に意味はないし。
ちなみにキャラの顔にズームインした後に停止するときが毎回あって、この停止って『ジョジョ』でもありました。ただ今回の場合顔にアングル近づけて停止するので勿論リズムは良くないし、「こういう人が映画に出ますので覚えてください」と目で無理矢理見せられる安い手法のキャラ紹介をします。
あとこの映画を見ていた人が同じ気持ちかどうかは分かりませんが、この映像で笑ってしまった部分があって、まぁそれが豊川悦司と福士蒼汰が終盤対峙するシーンなんですが・・・
なんか豊川悦司の顔にカメラが急にズームするんですよ。ズームミスするんですよねw ズームし過ぎるから顔近すぎるし、「あ。やべズームし過ぎたわ」とカメラマンは思ったのかな?
離そうとはするんだけど、映像はブレまくりだし結局なにも離さないで変わらないまま顔がどアップの状態で話していくし
そのあとも二人が話してるときカメラはブレまくるわ、ピントを合わせるの下手だわ、フォーカス定まってないわ、またズームミスするわ。そこに狂気も感じない豊川悦司の演技が加わるから私その時唖然もしたし、最終的に可笑しすぎて笑いましたねww
まぁ笑ってたのは私くらいでしゅうが、たぶん大半の人はこのズームミスに謎を覚えたと思います。映画のミステリーより、なんでズームミスやら撮影ミスしてこのまま世に出したのかがミステリーですよ。
■時間と時系列
この映画を見た後にこれに関して指摘するや気になる人も多いはず。いやこれには気づいてくれと願うばかりこの使い方や伝え方が可笑しかった。
とりあえず言うならたびたび過去の話つまり回想に入ることが多いんですが、その見せ方が微妙で。例えば円華と謙人が出会うシーンに謙人が「40秒後に雨が降る」と円華に傘を渡します。その後次のシーンで円華が傘を返すんですが、それが翌日なのか数時間後なのか見てて分からないんですよ。
例えば夕方や夜なら数時間後だと分かるし、服も変われば数日後かなと分かるんですがそれがない。傘を渡された時と返すのも昼間だし、服装も全く一緒だから時間の流れが感じられないです。
あと「○○日前」とか「○○年前」「○○年〇月」とかのテロップも出したほうが良いと思います。過去の回想に入っても過去の出来事には見えなく、すべてが今行われていることじゃないかと思ってしまいます。そうなると映画全体が平坦になります。もしくは映像を黒白とかにして過去を表現するとか。『無限の住人』の序盤に黒白映像は好きなんですがあんな感じ。
ここまで時系列をバラバラにしてるのにその表現が下手で平坦になったなら最初から時系列順にすればよかったし、それが譲れないなら『パルプ・フィクション』や『人生スイッチ』みたいにオムニバス形式にすれば良かったんです。
最終的な到着点を決めて、キャラそれぞれの物語を見せてラストに到達すれば映画としての面白味は出来るし、考察したい人は考察しがいはあるだろうし、まだ時系列の見せ方としては面白い方だと思います。
■不明確なストーリーと脚本とその他諸々
不明確というよりツッコミ所満載です。いつもですが。その中で私が気になった部分を紹介していきたいと思います。
まずミステリーに関しては特に意外性はありません。俊才が考えようとバカが考えてもどちらにしても誰か犯人かは何となく分かります。
特に捜査していく中なんで甘粕という人物に注目するかがよく分からない。基本的なミステリーの醍醐味である捜査や聞き込みやアリバイ探しはなく、なぜか使われるのは甘粕のブログ記事です。
実はブログの記事は偽りで甘粕が犯人だと分かるんだけど、その時櫻井君は「あのブログにはそんなの書いていなかった」と言うんですよ。
・・・アホか
確かにブログも証拠とかにはなるだろうけど、ブログなんて結局100%正しい事は書かないし、特に芸能界とかなら尚更で、それを真に受ける教授と警察はアホだなと思いました。これ日本のゾンビ映画『アイアムアヒーロー』で富士山行けば感染しないと2ちゃんねるの記事を真に受けるのと一緒ですよ。
ミステリーで重要な動機とかは皆棒立ちでぺらぺら喋ってるから流れるし、俳優もきっとそこら辺気持ち入ってない演技してるし、そもそもキャラ深堀してないからコイツらの言うことどーでもいいしで…なんかミステリーとしての大事な部分を怖して腐らせてるような気がする。
あと細かい部分言うなら、例えば宿で広瀬すずが櫻井君にある人物を探してほしいとお願いするシーン。「この男は何者?」みたいな台詞を櫻井君が言うと急に「お願いします。協力して」と広瀬すずが言います。いや、質問返せよ!これ相手が吉良吉影ならブチキレてるぞ!!
広瀬すずと櫻井翔が公園で黒服の男達に取り囲まれるシーンでは、特に黒服の男達は広瀬すずに何もしてないのに櫻井翔が「お前達何してるんだ!」と叫ぶ。はい、黒服達は何してるかというと棒立ちしているだけです。カイジの黒服たちでも良い仕事するぞ
この広瀬すずを監視する黒服達もバカの集まりです。結局保護した広瀬すずが車(櫻井翔運転)で逃げられ諦めます。…いや諦めねーでお前らも車で追えよ! そのあと彼らが中々追ってこないことを察するに、円華にGPSとか付けてないというアホさ加減も分かります。
その後別の黒服達に捕まりますが、なんかコイツらが小さいマスクしてる奴等なんですよ。マスクして滑舌悪いから「俺たちは国家◎▽※★」と何言ってるか分からないし、何者かも分かりません。取り合えず小さいマスクでクローズみたいな奴等なんで国家的な物に見えないのは明らかです。まぁよく分からないから国家錬金術師って事にします。
そのクローズ錬金術師達を円華のボディーガード武尾が倒します。どうやって円華の場所が分かったかはさておき、武尾アクションもアングル近いから迫力ないし何してるか分かりません。そもそも武尾がなぜ助けたのか分かりませんし、福士蒼汰の元に行かせたか分かりません。散々逃げられるし、円華に目を潰されそうになってるのに。ボディーガードだからと言っても普通その場で保護するはずなんだが。
ラストの竜巻が起こり洋館が破壊されるシーンとかせっかく盛り上がるのに何であんな短く終わるんだろう。例えばあの竜巻の中で円華が吹き飛ばされそうなところを櫻井翔が助けるとかそういうキャラの見せ場ももっと見せれたはずなのに、それを使わないのは勿体ないです。
そもそもあそこまで櫻井翔を予告とかで前面に出した割りに全く出ないのは詐欺に近いです。ジャニーズを出して喜ばしたかったのか、はたまた会社側が無理矢理主演にしてくれと言われたのか分かりませんが、結局内容で客を喜ばせようという訳ではなく、俳優の顔で喜ばせようとしか思えませんでした。
でさっきも言ったんだけどあまり全体的にやる気がないし、良いものを作ろうという気力が感じられないです。俳優の演技は下手で立って喋るだけなんで楽そうだし、ズームミスしたり洋館や竜巻のCGがチープ過ぎて、製作陣のやる気のなさが見えたり。ちょっとこれで世に出すというのが考えられないです。
で褒める所なんとか探そうとしたけど、ないです。
もうクソ過ぎて怒りとか悲しみとか通り越して、なんにも感じないし何も残らない時間を無駄にした映画でした。
■評価
最終評価は・・・
⚫⚫⚫⚫⚫|⚫⚫⚫⚫⚫
0/10です。
はい、言わずもがな駄作でクソでした。時間と1800円を無駄にしたくなければ、今公開してる映画やこれから公開する映画に使ってください。この映画より何倍も面白いとは思います。
長くなりましたが、ここまでお付き合いありがとうございました
あ。そうだ
なんかTwitterで「アンチはチケットの写真見せてないから映画見てるか疑うよね」と嵐ファンらしき人が言っていたので、
アンチにはなりたくないし映画もちゃんと見たよという証拠で写真載っけときます
半券ではないですが見ました。しかも前売り券で見たんですよ?!
・・・・はい。それだけですw
はい、そんな感じで!