■映画情報
公開日/2015年7月25日
上映時間/122分(2時間02分)
監督/ダミアン・ジフロン
製作国/アルゼンチン・スペイン合作
■予告
■あらすじ
人生において決して押してはならないスイッチを押してしまったがために、絶望的な不運の連鎖に巻き込まれていく男女6人のエピソードを姿を描いた。
■Review
『人生スイッチ』(原題:Relatos salvajes)は、
スペインの名匠ペドロ・アルモドバルがプロデューサーを務めた暴力と復讐という共通のテーマを持つ6つの短編を描いたオムニバス式のブラックコメディ映画。
第67回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品され、第87回アカデミー賞ではアルゼンチン映画として外国語映画賞にもノミネートされました。
この映画は6つのバラバラな短編ストーリーをまとめた2時間の映画。共通する部分はどの物語も人の感情の一部である「怒り」だったり、負の部分である「復讐」や「暴力」をテーマにしたことでしょう。
そしてなによりもこういうオムニバス形式というのはひとつや二つはつまらない話が混じっていたりします。特にひとつの到着点に進むオムニバス映画より、こういうひとつのテーマでバラバラの話を詰め込んだ映画は何よりその確率が高いです。
ですがこれに関しては6つの作品のどれもが面白いというのには驚かされました。どの話も興味深く、恐ろしく、途中からブラックジョークに笑えてしまうという2時間があっという間に感じた作品でした。これを見終わった時改めて自分はオムニバス形式やブラックコメディが大好きなんだなと思いましたねw
そして素晴らしいのは俳優人の演技も上手いという事。特にこのキャラがいらないという人もいませんでしたし、下手だなと思った俳優もいませんでした。勿論言ってしまえば有名な俳優なんていませんがそれでも演技は上手いというのは保証します。
では今回はこの作品の6つの話を簡単ながら話していきたいと思います。ちょっとネタバレを含みながらでないと話せないのでネタバレありで話していきます。
◇おかえし
ある飛行機の乗客たちにはある共通点がありました。それはパステルナークという人物とかかわりを持っているということ。あるものは浮気をして別れ、あるものは彼の音楽の評価をボロクソに言い、またある者は同級生で彼をイジメていたと会話の中で次々彼に関連性のある話が出てきます。
しかしその内容は良いものではないです。そしてなんとその飛行機の操縦士はそのパステルナーク自身だった。彼の精神科医の訴えも虚しく過去にひどい仕打ちをされた人々を道ずれに墜落しようとします。
この精神科医の人は「君がそうなったのは君の親御さんのせい!」と言います。その飛行機が墜落すところはある老夫婦の住宅なんですがもしかするとその老夫婦はパステルナークの親御さんでしょう。墜落するより、迫ってくる飛行機で死ぬほうが嫌ですね。どっちも嫌ですが。
ちなみにこのパステルナークの素顔は見れません。少しだけ体とか見えますがそれでも正体の分からない彼の隠れた復讐心を見ることの出来るスリラー映画になっていたなと思います。これは一番好きなエピソードでしたね。
◇おもてなし
あるレストランで働くウェイトレスのもとに母親を誘惑して父親を自殺まで追いやった政治家の男がやってくる。それを調理担当の女性に伝えると「ネズミ殺しを料理に入れろ」と言った。ウェイトレスは反対するも女は黙って料理にネズミ殺しを入れる。しかもその後政治家の男の息子も来店していしまいます。
これは復讐というテーマで間違いないですが、この料理担当の女性は前に犯罪を犯して刑務所まで入ってるやつなんですよね。最終的にネズミ殺しは効かなかったのか政治家の男は女性に包丁で滅多刺しをしてころしてしまいます。
ウェイトレスの復讐という部分ではありながら復讐するために人を殺すのはいけないと思い、女性は殺しを提案してクズな政治家を殺しせめてもの善行で悪を殺します。
口だけの説明だけでなく政治家のクズっぷりは目でも見ることができます。こんなこと言うのもアレですが殺された時のスッキリさは半端ないです。
◇パンク
都会住みの男が新車を走らせるとその付近に住んでるであろう田舎のボロい車に追い越しを邪魔されます。都会の男は田舎の男に暴言を言い追い越した後、タイヤがパンクしてしまいます。
道は一本道なのですぐに田舎の男は追い付きさっきの復讐として車をボコボコにするは殴り会いになったりするお話。
この二人のバトルを見るという中身のないものではありますが、2回3回見直すと結構そのアホさ加減に笑ってしまいます。車内のシュールな喧嘩もそうですが、たった一言の言葉やどうでもいい事でここまで喧嘩をするとなんか恐ろしいを越えてバカらしいなと思っちゃいます。人間て不思議。
◇ヒーローになるために
駐車禁止じゃないのにレッカーに移動され、駐車違反でお金を払われ、妻には呆れられ、お役所の態度に激怒し大暴れをしたら仕事はクビ&家族を失ったビル爆破職員は爆弾を入れた自分の車をレッカーにわざと移動させ爆発させます。
しかし刑務所に入りますが刑務所内はその反感が称賛されてたり、役所の暴動もそこにいた人々が賛成していたりしてます。これは国民を代表した一人の男が社会に対する怒りをぶつける話でしょう。
しかしこれは大いに笑いました。社会や役所の態度に関しては共感する部分があり、爆破計画している時は「お!やっちゃうか!」と思い、爆破した時はその勇敢な行動に拍手を送ってました。…まぁいけない事ですが
ただこれは怒りや復讐とかは置いといてなにか行動をすればあっちも少しは変わるよと言いたかったのかもしれません。勿論爆破はいけませんが。
◇愚息
息子が妊婦をひき逃げをしてしまった。その裕福で金持ちな父親は使用人に大金を払う変わりに、息子に変わって犯人になってくれないかと頼む。そこから担当弁護士、買収した検事、大金を払うと約束した使用人がさらに大金を要求。それに対し父親は激怒してしまうという話。
これはまた社会の話、金の話だったりでもありますね。欲がでかくなると相手側もそれは「いいかげんにしろ!」とはなりすよ。しかかも普通の商談ではなく人の命もかかわってますからね。ちなみにその妊婦は胎児もろとも死亡してしまいます。
この作品は少し好き嫌いが分かれるかな?けど個人的には到着点が見えなく、ラストは藤子不二雄作品のような感じで面白かったです。結局使用人が犯人代わりになりますが、妊婦さんの夫がやってきて使用人を殺します。この夫の方がこの話より怒り度合いが高いですよ。何とも言えない良い意味で後味の悪い作品です。
◇Happy Wedding
披露宴の最中に花嫁が、花婿は実は同僚の女と浮気をしていたことが発覚しかもその女を披露宴に呼んでるんだかさあ大変。起こった花嫁は初対面のコックとあんなことはするは、夫を苦しめる発言したり、浮気女をぐるぐる回して大鏡にぶつけて血だらけにしたりと悪い意味でどんちゃん騒ぎ!
要はこの作品は「喧嘩するほど仲がいい」を何倍にも過激にした作品。結局怒りを通り越して精神的に疲れこの新郎新婦は仲直りします。怒りを通り越すと疲れてちゃうし、我に返るとなんか自分のさっきまでの行いが恥ずかしくなりますよね。
ただこの物語の真に怒りたい人たちは披露宴の参加者ですよ。こんな地獄絵図のようなグダグダな披露宴に参加させられたら嫌ですよ。楽しいはずなのに。後半から新郎の友人も呆れてましたからね。まあ、けど見ていて笑ってしまった作品でした。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺☺⚫
9/10です。
短くといながら結構長くなりましたね。すいませんm(__)m とりあえずオムニバス作品としてはかなり完成度の高い作品です。見ることを強くおススメします!
はい、そんな感じで!