■予告
■あらすじ
物理学の天才として将来を期待される青年スティーブン・ホーキングは、ケンブリッジ大学在学中、詩を学ぶ女性ジェーンと出会い、恋に落ちる。しかし、直後にスティーブンはALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。余命2年の宣告を受けてしまう。それでもジェーンはスティーブンと共に生きることを決め、2人は力を合わせて難病に立ち向かっていく。
■Review
『博士と彼女のセオリー』(原題:The Theory of Everything)は、
実在した理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士の半生を描いた伝記映画。原作はジェーン・ホーキングの「Travelling to Infinity: My Life with Stephen」をもとにしています。
アカデミー賞では作品賞、脚色賞なのがノミネートされ、主演男優賞では受賞した作品でもあります。
この映画で素晴らしいのはまず何と言ってもエディ・レッドメインの演技力でしょう。アカデミー賞で主演男優賞を受賞したのもうなずけるし、だれもこの演技に文句を言う人はいないはずです。もしいたらその人は眼科にでも行ったほうがいいかもしれません。
映画の主人公であるスティーヴン・ホーキングは体が自由に動かなくなる病気ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患います。私はこの人の歴史については映画を見るまで知らなかったので生まれつきなのかなと思いました。
映画では大学在学中に突然倒れてこの病気になり医者からは余命2年と言われます。ですが突然病気になり倒れるという日本の泣かせるような映画の安易な演出ではなくしっかりと倒れる前に何かがおかしい雰囲気を醸し出していました。そうした雰囲気を作れたのもエディの演技力が光ったのかもしれません。
倒れる前に少し歩き方が段々と可笑しくなったり、黒板の文字が汚くその書き方も怪しくなってきたり、あとコップを落とす時もアレは寝ぼけていたのかそれとも掴めないで落としたのかそうした微妙なラインも作るので「彼の中で今ヤバいことが起きている」という緊張感を作っていました。
そしてそこからのスティーブンが体が段々と動けなくなる恐ろしいことが起きます。この体が動けなくなる演技や歩き方など本当にそういう患者だと思えるし、会ったことはないですがエディがスティーヴンにずっと見えて下手したら彼の人生を密着したドキュメンタリーじゃないかと勘違いします。この映画を見ていて一度もエディが演技しているという気持ちにはなりませんでした。
そしてこのスティーヴンがどれだけ辛い病気を持っているのかと言う見せ方も素晴らしいです。スポーツもろくにできなくそれをイライラやりながらやるスティーヴンなんかは本当にかわいそうだなと軽い言葉ではあるんですがそう思ってしまいます。
しかしこれで彼の人生は全く暗いものになるわけではないです。2年の余命も難なく過ぎて長い人生を歩みますし、彼の仕事も上手くいき、彼は彼なりに自分の人生を楽しく生きているそんな感じですから、逆に見ていて彼のように頑張らなきゃなと思ってしまいます。
伝記映画ではありますがロマンス映画とか恋愛映画その部類に入る作品でもあります。個人的に前半のスティーヴンと奥さんの出会いの話というよく見るような恋愛より後半からの恋愛劇は良い描き方だなと思います。
奥さんなんかやはり夫の介護に疲れはあるし、自分の自由とかもないから他の人に恋をするというのもリアリティーがあります。長く一緒にいると言ってもやはりそこに行き詰まりは感じるとは思うし、劇中でもしっかりスティーヴンに気持ちとか伝えてないから色々溜まっていたのかもしれません。
奥さんは教会であったジョナサンという人と恋に落ちやがて結婚はしますが、スティーヴンは彼らの事をそう思ったのでしょうか。嫉妬だったのか?もしくは「自分はこういう身だから彼女が別の人に恋をするのも無理はない」そう思ったのか。こうした現実味のあるキャラクターの気持ちを読み取るのもこの映画の面白い所かなと私は思います。
ただお互いが結婚していて言ってしまえばお互い浮気している関係なのになぜか見ていて嫌な気分にはならないんですよね。まあ人によるかもしれませんが。
もしかするとそういう関係性であったとしても、お互いがなんとなくつらい部分が分かっていてそれがあって本当の幸せを手に入れたいという気持ちが分かっている感じがするんですよね。浮気と言う行為ではあるもののこの二人には奇妙でとても強い絆があるなと感じました。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺⚫⚫
8/10です。
もしこの映画が好きな人や好きになった人は主演のエディ・レッドメンの映画を見てみてください!特に個人的には『リリーのすべて』を強くおススメします。あの映画の彼の演技も素晴らしかったです。
そして2018年3月14日にスティーヴン・ホーキング氏が亡くなられました。日本でもニュースになり話題になりました。お悔やみ申し上げます。
はい、そんな感じで!