■予告
■あらすじ
67年、夏のミシガン州デトロイト。権力や社会に対する黒人たちの不満が噴出し、暴動が発生。3日目の夜、若い黒人客たちでにぎわうアルジェ・モーテルの一室から銃声が響く。デトロイト市警やミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元の警備隊たちが、ピストルの捜索、押収のためモーテルに押しかけ、数人の白人警官が捜査手順を無視し、宿泊客たちを脅迫。誰彼構わずに自白を強要する不当な強制尋問を展開していく。
■Review
『デトロイト』(原題:Detroit)は、
1967年に起きた黒人たちの不満が爆発したデトロイト暴動を中心に、その暴動中に起きた死人まで出した白人警官の暴力的な尋問を追求した社会派ドラマです。
デトロイト暴動に関しては社会の授業で習った記憶があり興味がありましたが、映画内で取り上げたアルジェ・モーテル事件に関しては今まで知らなかったし、映画で初めて知りました
当時デトロイト暴動に参加したり事件にあった当事者が撮影現場に来て、当時の様子や当時の心境を聞き撮影に望んだらしいですが、この映画で現れる辛さや悲しさがより出ていたなと思いました。
暴動など激しい場面があるにも関わらず映画の雰囲気が悲しくて静かだったのは以外でした。静かなのは少しずつこの暴動が微かに忘れられてる人間の記憶のような感じで勝手な考察ですが好きでした。
セットデザインも凝っていましたね。かなりリアリティがあり本当にその当時その場で撮影されたかのようなドキュメンタリーみたいで、良い意味で映画と現実の区別がつきませんでした。
その良い感じの区別をつけられなかったのは撮影方法にもあると思います。そこまで良いカメラを使ってなさそうな映像に業と画面をぶれさせるなどして、あたかも当時に撮影されたと思わせる技法にはただただスゴいと言うしかありません。
最近の事件に基づく映画で途中で当時の映像とか流れますが下手な人は区切りが悪かったり、心が離れてしまう切り方をしまったりします。それがこの映画ではなくってとても繋ぎ方が自然でした。
映画も映画でとても良い意味でのモヤモヤさや人の心のエグさを見せられます。人とはなにか、人権とはなにか、正義とはなにかなど黒人差別だから難しいと思いきや、今の人や日本でも共感できるメッセージが含まれた映画でした。
特にミュージシャンを目指す人の話は可哀想でしたよね。折角舞台に立てると思いきや暴動で中止になって、歌うことが楽しかったのに尋問の恐怖で「なんで白人が踊るために歌わなきゃならないんだ」と悩まされる様は見ていて興味深かったです。
不満点をあげるなら、色んな人から聞いてた例の尋問シーン。そこまで見ていて心をエグられるくらい辛い映像でもなかったです。色んな人から「エグいよ」と聞いて少し期待しすぎたせいかもしれません。これに関しては個人差があるとは思います。
ただやはり尋問シーンでも「昔の警察はこんな事をしてたの?」「自分の利益のために嘘をつくの?」などありえないと思えるような展開もありましたし緊張感もありますが、そこに関しては物足りなさはありました。
あと白人女性が出てくるときになんかカメラが固定されてて普通の映画のようなショットになっていたのは気になりました。一瞬なんだけどドキュメンタリー風に撮ったらそれが目立ってたし、映画の世界観を壊してたなと思いました。
警察でモーテル事件にも関わったフィリップ役をウィル・ポールターが演じます。彼の演技は良いし、俳優としてもカリスマ性があり将来が楽しみなのですが、裁判の時になんかバットマンのジョーカーみたいなサイコパスのような演技をしていて、それは少し違うんじゃないかなと思いました。ただ彼は人種差別者でという訳で、別にサイコパスという訳でもないです。
ただそれを含めても2時間20分があっという間で緊張感と悲しさが合わさった目を背けたいけど背けちゃいけない内容になっていました。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺⚫⚫⚫
7/10です。
日本だと好き嫌いが別れそうですが、共感できる部分もありますし、こういう事件があったと知るきっかけになる作品だと思うので一度は見ることをおすすめします。
はい、そんな感じで!