■予告
■あらすじ
人生に迷いながら生きてきた女性が、視力を失いゆく天才カメラマンとの出会いを通して変化していく様子を描く。視覚障がい者のための「映画の音声ガイド」の制作に従事している美佐子は、弱視のカメラマン・雅哉と出会う。雅哉の無愛想な態度に反感を覚える美佐子だったが、彼が撮影した夕日の写真に感動し、いつかその場所に連れて行って欲しいと思うようになる。そして、視力を失っていく雅哉の葛藤を間近で見つめるうちに、美佐子の中の何かが変わりはじめる。
■Review
『光』は(今年は光る系の映画多いなぁ・・・)、
『あん』などで有名な河瀬直美監督による、視角障害者用に音声ガイドを製作する女性と視力を失っていくカメラマンのラブストーリーになっています。
第70回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品されたことで有名になりましたが、瑛太が主演してる同じタイトルの映画の方が有名になり詳細とか探すのが少し大変だったのはナイショで
『光』というタイトルらしく映画内での光の演出は幻想的で素晴らしいです。光がバックになり人が影になるシーンや、夕日がガラスに反射した部屋など芸術的なシーンがなんどもありました。
この映画の話にもある視角障害者用の音声ガイドの仕事で次の作品のモニタリングをするシーンは何度が出ますが、出てくる俳優の演技が鮮明で自然的な演技をしていました。
このモニタリングのシーンは目の不自由な人達が話しているので、かなり話してる事が説得力あり見ているこちらも納得する部分がありました。何度かドキュメンタリー映画ではないかと勘違いしました。
その音声ガイドの仕事をする女性はあらすじでは人生に迷うとは言ってましたが、別にそこまで人生に迷ってる訳ではなく今やってる仕事の成功に悩んだり、少し母親の事で考えてたりする程度です。悩んでいたとしても、彼女自信がそこまで悩んでるようには見えませんでした。
プロのカメラマンとして活躍して今では目が不自由になってしまった男性の演技も自然的で良かったです。自然的で常に緊張感のある演技は見入ってしまいました。あるシーンの演技は業とらしいなとは思いましたが、全体的には良い演技でした。
最終的に一部でしか見れなかった目からもう見えなくなる時には目が見えないという悲しさと恐ろしさは感じられましたし、一部でしか見えない演出もとても良くナゼか息苦しさを感じます。
音声ガイドの仕事の苦労さは十分伝わるし、視覚的に不自由な人の苦労も伝わります。例えば、目が見えない人が点字ブロックを渡るときと本当に見えない人が渡るのではまったく違うというのも分かります。
映画の外見ではこうした仕事や目が見えない辛さや過酷さなどを描いてますが、以外と解釈が必要だったり、ちょっと考えたりすることがある映画かなと思います。しかもスローペースなので好き嫌いが分かれそうですが、どう受け止めるかで面白さが変わるとは思います。
映画内の台詞にもありますが今の邦画にあるような台詞での説明口調な台詞ですが、一部のキャラを除いてこの映画にはあまりない印象です。主人公の女性が少し説明的な話をしてるのに対し、男性があまり話さないで何かを感じとるという対照的なキャラクターの作りをしてました。ある意味今の邦画を皮肉ってるように感じました。
台詞での説明をなくしたら、視聴者は映像や音に集中してしまいます。さらに俳優の顔が近かったり、逆光で少し場面が分からなかったり、明るいはずの町が少し暗めと意図的に映像が見えにくい演出にしてるのも分かります。(アップする俳優も聞き手というのはまた好感。)
こうした意図的な演出で自分達も主人公と同じ目が少し見えない気持ちを感じれ、目で見るというより何かを感じとるという見方ができるんじゃないかなと思いました。
少しどう伝わるか、どう感じるかで映画の良し悪しが変わりそうではある映画ですが、個人的には悪くはない映画です。全体的に美しく幻想的です。今すぐ2回見るような映画ではありませんが、本当の光と言うのは外側ではなく内側にあるんだと分からせてくれた映画だと思いました。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺⚫⚫
8/10です。
とても美しく繊細な良い邦画でした。実写とかすぐに消化できる映画も良いですが、邦画はこういうのをもっと増えても良いと思います。
はい、そんな感じで!