■予告
■あらすじ
米海兵隊3092小隊の新兵たちはいじめ、侮辱が横行する環境下、過酷な訓練を強いられる。人を殺すことを教え込まれ、人間性が奪われていった新兵のひとり、パイルはついに精神を病み自殺してしまう。その後、それぞれベトナムへ送り込まれた新兵たちだったが……。
■Review
『フルメタル・ジャケット』(原題:Full Metal Jacket)は、
グスタフ・ハスフォードの処女作の小説『ショート・タイマーズ』を原作に、『時計仕掛けのオレンジ』『2001年宇宙の旅』などを手掛けたスタンリー・キューブリック監督がベトナム戦争を舞台に仕上げた戦争映画。
フルメタル・ジャケットは強そうな鎧のようなものを想像してしまいますが、翻訳は「完全被甲弾」。用は弾丸を意味しています。劇中でもちゃんと登場します。
スタンリー・キューブリック作品は独特な世界観と魅力的な映画を出してる反面に映画の小説や色んな人の解説などを見ないと分からない作品の多くはありますが逆にそれがより面白さを引き出しているので好きな人は好きな監督ではあります。彼の作品を初めて見るという方は彼の世界観を知るために「シャイニング」や「時計仕掛けのオレンジ」をおススメはしたいです。
しかし彼の独特で難解な映画について急には来れないという方もいるとは思います。そこでそういう人には今回の記事にもある「フルメタル・ジャケット」をおススメしたいです。スタンリー・キューブリック作品を初めに見せる作品とは言いにくいですが、彼の良さと万人受けする戦争映画にはなっているので初心者でも見やすいかなと思います。
物語はベトナム戦争時の海兵隊の訓練キャンプでの厳しい訓練模様を描いた前半と、そこから少し月日が経って訓練を耐え抜いた彼らのベトナム戦争での戦いを描いた後編と別れています。しかもご丁寧に前半後半と約一時間一時間でしっかり分かれてます
前半部分の訓練キャンプの話は監督独特の感情のない映像と恐怖感、そしてその映像の中での俳優陣の素晴らしい演技が見れます。この前半部分が好きと言う方も多いでしょう。もちろん私も好きです。
この前半部分で印象的なキャラにして物語を動かしていたのは、やはりヴィンセント・ドノフリオ演じたレナード・ローレンスでしょう。彼の最初の頃の姿は見ているこちらもムカつかせましたし、そこからの銃のテクニックの開花、彼が殺しの顔になっていく豹変ぶりと演技は素晴らしいです。
あの1時間の間でどれだけ辛い出来事が起き、しんどい訓練だったか分かります。原作小説から描かれてない部分もありますが、それでも十分に伝わりますし、前半部分は戦争映画というよりスリラー映画に近いと思います。
後半からは成長した彼らがベトナム戦争へ向かい戦う姿を撮っています。個人的には戦争シーンはとても見ごたえがあり、緊張感もありますがその中での会話のシーンが結構長く感じて後半からは退屈には感じました。
前半と比べるとやはり戦争シーン以外ではこれと言ってなにか特別なところはないし、突飛として驚くような演出もありません。ここらへんで好き嫌いが分かれそうではありますが、監督の作品が好きな人は普通に楽しめると思います。
強いて良い部分を上げるなら、まず仲間が狙撃手にやられるシーンが何回かあります。そのやられる様をスローモーションで見せたことで戦争や殺される恐怖がより伝わったかと思います。
そして何よりこの映画で個人的に思ったのは「人間は銃の弾のように使い捨てではない」という事でしょう。これが伝わったのは私は最後辺りではありますが、このメッセージを受け取ったことでこの映画の素晴らしさがより分かったように思いえます。
彼ら兵士は強く作られて戦争で弾のように使い捨てにされます。それでも普通の人間と同じなんだと言わんばかりに、友との再会に感動したり、女性との営みを楽しんだり、勝った後はみんなで歌を歌って帰還するといったシーンが出てきます。
この映画をどう受け取るかで面白さがより分かるかなと思います。前半は監督独特の世界観を楽しめ、後半は戦争での人間ドラマが見れる良い映画だと思いました。
☺☺☺☺☺|☺☺⚫⚫⚫
7/10です。
彼の作品を初めて見るという方はこの映画は見やすいのでオススメします。二時間越えの多い作品が印象的な監督ですが、この作品は二時間くらいなんで気軽に見れるでしょう。おススメできる作品です。
はい、そんな感じで!