■あらすじ
まともな仕事にありつけず軽犯罪で日銭を稼ぐ男ルイスは、偶然通りかかった事故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分もやってみようと思い立つ。早速ビデオカメラを手に入れたルイスは、警察無線を傍受して事件や事故の現場に猛スピードで駆けつけ、悲惨な映像を次々と撮影していく。過激な映像で高額な報酬を得るようになったルイスは、さらなるスクープ映像を求めて行動をエスカレートさせていき、ついに一線を越えてしまう。
■Review
『ナイトクローラー』(原題:Nightcrawler)は、
『ボーン・レガシー』の脚本を務めたことで有名なダン・ギルロイの初長編監督作品です。
また2014年にトロント国際映画祭で特別招待作品として公開されました。
パパラッチを仕事にその行き過ぎた行動を捕らえた犯罪映画です。犯罪とまではいきませんが2016年に公開された福山雅治主演の『SCOOP!』に似ています。
ただSCOOPはパパラッチという裏職業でも尊敬できる部分が見れたのに対し、この映画はドロドロした闇の部分を多く見せた映画でした。
映画としてはパパラッチの行き過ぎた行動を映していると同時に、人の死を見逃してまでも仕事をやっていくという恐ろしい心理だったり、死を見逃すというのはそれも犯罪ではないかという人間の心理的な部分にも触れた映画だと思います。
主人公が金の為ならなんでもする人なのでそういう意味では犯罪映画と言うより、サイコパス映画のにおいもします。
さらに主人公はアメコミのジョーカーとか少し違い、人が死んだり重症を負ったり、普通の人でもそれは人ではなく物や仕事道具として見ているという気持ち悪く悍ましいキャラクターをしています。正直ジョーカーより立ち悪いです。
ただそのやっている事は恐ろしくってもなぜかひとつひとつの行動は見惚れてしまいますし、なんでそこまでするんだろう?という疑問に関しても主人公は「人間が嫌いだから」というシンプルながら納得してしまう魅力的なキャラクターだと思います。
その金のために働く主人公を演じたジェイク・ギレンホールの演技は素晴らしいです。『サウスポー』や『複製された男』など色んな作品でもその高い演技力に圧倒されましたが、この映画でもそうでした。
なにかを成し遂げるためのその見開いた眼は本当に恐ろしいし、唯一あまり笑わない彼が嬉しい表情で笑って自分の野望が近づいているという演技も恐ろしい反面なぜか共感してしまいました。
また映画にあるまじきサイコパスの特徴をハッキリ写さず、植木に水をやる毎日の習慣や血が付いたことに気づかないなどちょっとした部分でサイコパスと感じ取れるというのも良かったです。
その助手として演じたリズ・アーメッドとニュース番組の監督を務めたレネ・ルッソの演技も良かったです。
ここのシーンの演技は少し微妙だなと思う時もありましたが、全体的には良かったです。
ラスト辺りのある人物の静止画をバックにして話し合うジェイク・ギレンホールとレネ・ルッソの演技と映像からの伝わるメッセージは鳥肌が立ちました。
私頭悪いのでこれに対して言えるコメントの語学力はないですが、ただそのシーンを考えずにみても怖くて強烈だと誰でも分かると思います。
☺☺☺☺☺|☺☺☺☺⚫
9/10です。
パパラッチの行き過ぎた怖さと、その裏でどんなことをしているのかという関心が湧く犯罪映画でした。
スリラー映画としても十分に楽しめる映画ですので見ることをおススメします。
はい、そんな感じで!