■映画情報
公開日/2012年7月12日
上映時間/106分(1時間46分)
監督/フィリップ・ル・ゲイ
製作国/フランス
■予告
■あらすじ
株式ブローカーのジャン=ルイは妻子とともに堅実だが退屈な生活を送っていた。そんなある日、軍事政権が支配する故郷を離れフランスにやってきたスペイン人のメイドたちが、アパルトマンの屋根裏部屋に引っ越してくる。開放的で明るいメイドたちの中でも、とりわけ若いマリアにひかれたジャン=ルイだったが、妻のシュザンヌは夫が顧客の未亡人と浮気していると勘違いし、夫を追い出す。その日からジャン=ルイは屋根裏部屋でメイドたちと一緒に暮らし始め、自由を満喫するが……。
■Review
『屋根裏部屋のマリアたち』(原題:Les femmes du 6eme etage)は、
1960年代のスペイン人のメイドたちを中心にした人生を見つめ直すハートフルコメディ映画です。
日本ではフランス映画祭で『6階のマリアたち』という違うタイトルで公開しました。
その後一般上映された際は今のタイトルで公開されました。
時代背景が60年代の話ですが別に予習をしなくてもその時の戦争だったり社会情勢で話が大きくずれるという事はありません。
会話の中にそういう社会の話をするくらいですから、歴史に詳しくない人でもまず楽しめるというのは保証します。
なにかあるなら主人とメイドの格差社会くらいでしょう。その格差社会は今の時代でも共感出来て分かりやすし、これに関してもあまり大きくストーリーに影響する訳ではありません。
あくまで主人公のジャンが新しく入ったスペインのメイド達との交流と人生を変える姿を主軸に置いています。
ストーリーは主人公のジャンが自分のつまらない人生をメイド達と関わることで変わっていくという王道のストーリーではあります。
王道ではあるものの全体的に丁寧に仕上がっており優しい映画になっているというのが分かります。
王道だからこそ良い部分もあり、キャラクター全体があまりとても印象深いです。
メイドのマリアはとても仕事は優秀で上品ではありますが、給料を相場以上にしてくれと願ったり、自分に自信があったりと言う部分もあります。
主人公も最初は性格が面倒というのが分かりますが、ゆで卵の話から彼がゆで卵にこだわる理由がそれくらいしか今の人生の退屈を凌いでくれるものしかないというのも描写で分かります。
他のキャラクター達も個性的な性格をしていて、ちゃんとした過去があったりとみんなが皆興味深いです。
今までのキャラの話から分かる通りこの映画は王道ではありますが、だからと言って皆が皆とても性格がきれいな聖人という訳ではなく探せば現実にいそうなリアリティーあるキャラクターを描いていました。
性格がねじ曲がったやつがストーリーを動かすとか、善人だらけの世界という訳ではなく本当にバランスの取れたキャラクター達だと思います。
それでいて結構たくさんのキャラがいるのに、どれも個性的で好きになれる人がほとんどいるというのも凄いと思いました。
映像や音楽も素晴らしいと思います。映像は特別綺麗な映像が流れるという訳ではないですし歴史を感じさせるとかそういう訳ではないです。
なんかいい意味で古臭い感じがまたたまらないです。
これが公開されたのが2012年ですが、音楽や映像の撮り方から2000年代か90年代の映画と思わさせるようなノスタルジックな気持ちになります。
逆にこれが映画とかなりマッチしていて優しい映画だから昔のような落ち着いている映像や音楽が合うのかもしれません。
だから全体的に王道だし、だれでも見やすい映画だと思います。
ひとつ不満点を言うなら最後辺りが駆け足だったなと思います。
100分くらいの映画だしせっかくなら2時間くらいでも良かった映画化もしれません。
けどそれらを踏まえても素晴らしく面白いハートフルコメディ映画だと思いました。
☺☺☺☺☺|☺☺☺☺⚫
9/10です。
フランス映画は久々に見ましたがとても良い作品を見られて良かったです。
会話ばかりだから好き嫌いが分かれるかもしれませんが、一度は見る価値のある映画だと思います。
はい、そんな感じで!