■映画情報
公開日/2017年2月25日
上映時間/127分(2時間07分)
監督/萩上直子
製作国/日本
■予告
■あらすじ
生田斗真がトランスジェンダーという難しい役どころに挑み、桐谷健太がその恋人役を演じる。11歳の女の子トモは、母親のヒロミと2人暮らし。ところがある日、ヒロミが育児放棄して家を出てしまう。ひとりぼっちになったトモが叔父マキオの家を訪ねると、マキオは美しい恋人リンコと暮らしていた。元男性であるリンコは、老人ホームで介護士として働いている。母親よりも自分に愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いを隠しきれないトモだったが……。
■Review
『彼らが本気で編むときは、』は、
『カモメ食堂』などで知られる萩上直子監督のトランスジェンダーと家族をテーマにした5年ぶりのオリジナル映画です。
萩上直子監督の作品は何個か見てきましたが特に大好きだと言えるような物はありません。
ですがやっと萩上直子監督作品で大好きな作品を見つけました。
そうです。『彼らが本気で編むときは、』です。
この作品でも言えますがこういう同性愛や性同一性障害を題材にした作品は難しいし、とても素敵な作品が多いです。
2016年に公開した『リリーのすべて』や、今年公開し最近レビューブログも上げた『ムーンライト』にも同じことが言えます。
そして今回の作品も素晴らしく、優しいうえに悲しいものも含まれている良い邦画作品だと思います。
今までのこのテーマで描かれた作品と大きく違うのは、トランスジェンダーのリンコが家族を持ちたいというストーリーがあったことでしょう。
ありそうでなかった話。そしてその中でシンプルな目標の前につらい現実と戦う姿は応援したくなりました。
リンコ演じた生田斗真は素晴らしい演技でした。姿はもちろんですが、心や雰囲気までもしっかりとリンコという女性を演じていました。
そして本当に良かったのは、女性だけど微妙な部分で男の姿もあるという事。分かりやすいのは話し方でしょう。
これって前半女性口調だけど、後半からトモに対して男っぽい口調も混ざります。これはトモに心を開いているのかな?と分かります。
そういった細かい部分のキャラクター設定、脚本、演技がしっかりしていたし丁寧です。
だから全体的にキャラクター達の絆は感じられたし、問題が起きても応援したくなり、リンコ達同様悔しいという気持ちにもなれます。
トランスジェスダーを題材にした映画ですが、私が見て思ったのは「まだ世間では受け入れてはいないんだな」という事。
IKKOさんやはるな愛などがテレビに出て世間では受けいられているのかなと思ったのですが、まだ世間ではそういうのに非常識だと言ったり、いじめがあったりとしっかりと改善はされてはいないのかなと思いました。
外国だとそういう進歩はありますが、日本だと同性愛などの人たちは影に隠れています。
特にやっぱり子供だと「男と女が好きになることが普通」という考えだから、そういうので一人になったり皆から虐められるシーンは見ていて悲しくなります。
別に不満点ではないですが、そういうのを映画でもっとブラックに伝えても良かった気がします。せっかくこの映画でトランスジェスダーの事を知ってもらい、それで悩んでいる人の気持ちを伝え現実を知ってもらうチャンスだからです。
少し綺麗過ぎかなと思いました。
けど全体的には優しく、何か所かにクスッと笑えるシーンもあります。
そしてもちろん、トランスじジェスダーをはじめ、差別、いじめ、家族、介護、現代の抱える問題にメッセージを与えた作品でもあります。
しかし、ラストシーンは決して笑うシーンではありません。
そう思うと本当にこの映画を全国の人に見てもらえていないのは勿体ないです。
勿論、実写化映画やアニメ作品でも邦画は良い作品があると思います。ですが本当に見ておくべき邦画なのはこういう映画なのではないでしょうか?
ゆっくりで心が痛むような部分もある映画だというのは否定はしません。ただすぐに消化できてすぐに忘れてしまう映画よりかは、こういう心に残り忘れられない映画の方が私はお勧めしたいです。
まぁ、そういう好き嫌いは最終的には個人差はありますが。
けど、とりあえず言うなら中高生は授業なので見たほうがいい作品です。
そういうのも習っていくだろうし、人間関係で微妙になる時期だからピッタリでしょう。
■評価
最終評価は・・・
☺☺☺☺☺|☺☺☺☺⚫
9/10です。
はい、今年見た邦画の中では素晴らしい映画だと思います。
もしかすると今年公開の邦画作品個人的にはナンバー1の作品です。
是非、見てみてください!
はい、そんな感じで!