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映画『三度目の殺人』評価&レビュー【Review No.253】

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■映画情報


公開日/2017年9月9日

上映時間/124分(2時間04分)

監督/是枝裕和

製作国/日本

■予告


■あらすじ

勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。

引用元:三度目の殺人 : 作品情報 - 映画.com

■Review


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三度目の殺人は、
そして父になる』以来の是枝裕和福山雅治の再タッグを組み造り上げたオリジナルの法廷心理ドラマ。

この作品は2017年8月30日から始まった第74回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式に出品されましたが、
残念ながら賞は逃してしまいました。

私は是枝裕和の映画は好きだし、福山雅治の大ファンです
だからと言って大ファンだから評価を高くしたり良い部分だけを言うつもりはありません。
そこはいつも通りいくのでお願いします。





サスペンス要素の強い映画ですので、多少のネタバレが含まれると思います。
一応劇場で鑑賞してからこのレビューを見ることをオススメします。


まず映画の概要から話すと、全体的に良い映画でした。
良いんですが、だからと言ってこの映画が万人受けするかと言われたらそうではありません。


特にラスト部分は観客に身を委ねるような終わり方をします。
そういうのがスッキリしないから苦手という人も出てくるでしょう。
ただ、逆にこういうラストの解釈を自分でどう思ったかなどを友人やカップルで話し合うのも良いかもしれません。


俳優人について話すなら、
主演の福山雅治は今まで演じてきた中では自然体ではありますが、あまりキャラになりきっていなかった印象です。特に前半はそうでした。


そもそもこの主人公の重盛があらすじを見なければ、そこまで特徴のある人間だとは思わないかもしれません。
しかし、後半に差し掛かってくるにつれて犯人に振り回され、そして翻弄していく様子はキャラとしても福山雅治自信の演技としても素晴らしかったです。


その犯人役の役所広司の演技力はこの映画の中でずば抜けてました。
色んな嘘をついて弁護士を振り回し、そして様々な嘘の中に様々な感情が出てくる演技はスゴかったです。


この福山雅治演じる弁護士と役所広司演じる犯人の関係は弁護士と犯人、人と人、時には友と友のような今まで見たことない奇妙な絆がありました。


それを知らしめたのは面会時の透明板。
手を合わせ役所広司福山雅治の手の温もりを感じたり、透明板はあるけど無くすような演出をして2人が向き合い話すシーンなどはそれらを良く表しています。
この透明板に関しては使い方が本当に上手かったです。


そして面会で2人だけの時に色んな光の演出もありました。
光が揺れ動いたり、一方が光輝く部屋でもう一方が暗い部屋など、
そういう光の演出に2人の気持ちや感情が現れていました。


そして広瀬すず。この人も演技は素晴らしかった。
特別上手いという印象が今までなかったんですが、今回のを見て彼女はここまで演技ができたんだと関心しました。


特に彼女の雰囲気と目力は良かったです。
哀しみがある中に、なんとも言えない魅力的な印象の目をしていました。




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不満点をあげるなら、まず初めてミステリーを描いた監督ですが、やはりその初めてならではの少しダラダラしているなという部分はありました。


勿論緊張感があって暗い印象がある映画ではありますが、それでもテキパキやって欲しいなというのはあります。


それが出てたのは監督が得意な演出のシーンの最後の余韻残し。
いつもの家族映画や感動する映画ならこれが良い印象になりますが、
これが後半になるとしつこくなるし、結構ダラつきます。


それから俳優の演技力はみんな素晴らしいですが、ちょいちょいキャラにあまり特徴はなく好きになれる人がいませんでした。


特に重盛なんかはなぜそこまで勝ちに拘るのかというのを掘り下げて欲しかったです。
そしたら最初から好きになれるキャラになれると思いました。





さて、ここからネタバレが含まれる個人的な解釈と考察です。


先程も言った通りこの映画は色んな人の色んな意見や考察ができる映画です。
私もこの映画で感じたことなどを書いていきます。


まぁ、大体がもしかすると皆さんが考えることと一緒だと思いますし、
基本私は考察なんて苦手なんであまり期待はしないでくださいw


では、いきます。



◆三隅の目的①


私なりに考えたのは、役所広司演じる犯人は何回も嘘を言い弁護士たちを振り回します。
ですが、その中にも本音はあったはずです。


それが犯人が一度面会室で怒り、今までの穏やかな性格とは反転した人間になります。
その中で言う台詞の中には「人の命を自由にできる」と裁判官に憧れを抱いていたというエピソードを語ります。


単純に将来裁判官になりたかったのかというのも解釈できますが、私的には彼は神になろうとしていたのでは?と思います。


それだけでなく、彼は神を連想させる十字架を描き、火炙りで犯人を燃やすなどしています。

◆裁判


この映画のテーマは人間が人間を裁くことはできるのか?ということ。

つまりこの法廷映画でいうなら弁護士や検事、そして裁判官になります。
それらの人たちは人を何年も牢獄に入れたり、死刑にすることもできます。


この映画では裁判や司法の裏を描いているという人間が人間を裁くことの汚さが描かれてます。
それを犯人は納得はしなかったんでしょう。
あやふやなままで期限までに終わらせないといけない裁判のシステムに監督は訴えてるのかもしれません。


◆三隅の目的②

私は宗教や神とかにあまり関心はないですが、知ってる限りだと最初のシーンで見られる撲殺した男を火炙りにするシーンはキリストの神を連想させます。


さらに鳥の墓に十字架を描いたり、燃え後に十字架が描かれてるのもキリストを思い出せます。


しかし彼も裁かれないといけません。
正しいと思った行いが、普通の人から見たらそれはいけないことである為です。


ですがこのとき裁かれないといけなかった人物がもうひとりいます。
それが広瀬すず演じた咲江です。


彼女は父親(被害者)に性的暴行を加えられてます。
そしてその時三隅と出会いこのことを告白します。


この時2人が事件に関わるなら証言で成り立つのが3通りあります。

  1. 三隅が咲江を助けるため殺した
  2. 咲江が犯した罪を三隅が被った
  3. 2人で犯行を行い三隅が罪を被った


この3つの理由から二人が裁かれるというのは分かりますが演出上もうひとつありました。
それが予告でも流れますが重盛と三隅、咲江が雪に寝そべる姿があります。
重盛は大の字で寝てるのに三隅と咲江は足を閉じまるで十字架に張り付けにしたような寝方をしています。
この事から2人は裁きを受けないといけない人物だとわかります。


ですがそれでも三隅は咲江を庇ったかは知りませんが捕まります。
上の3つの点でどれかが当てはまるならどちらにせよ三隅は捕まるように仕上がってます。


そしてこれらを見て思ったのは、三隅がそのように造り上げたのではないのかと思いました。


◆三隅の目的③

神になりたい三隅の全ての思惑通りなら?
 

これは少し掘り下げすぎかなと思いましたが折角なんでいいます。


もし彼が神のようになりたい男なら、キリストなら自分から十字架を背負い死にに行くと思います。
これが最後の人生まで神という形で終わりたいならそう考えてもいいかもしれません。


それと同時に三隅は神のように悲しんでいる咲江を助けて、自ら十字架を背負うことになったのでしょう。


三度目の殺人

実を言うと見終わったとき2パターンの解釈がありました。


1つが重盛が三隅を死刑台に送り込んでしまったことが殺人であるのでないか。

そしてもうひとつが死刑を言い渡した裁判官が三度目の殺人をしたのではないか。
なぜならそれがキリストを裁く一般人の代表と言うことになるから


2つ目の解釈が先に自分の中で納得はしました。
しかし、結構ギリギリになって3つ目の解釈を思い付きこっちに私は納得しました。


結局犯人は?


はい、個人的に思ったのは
真犯人は広瀬すず演じる咲江かもしれません。
咲江が三隅を利用し死刑台に送ったんだと思います。


性的暴行事態が嘘であり、三隅を利用して父親を殺したか
または、咲江自信が殺しはしますが三隅が性的暴行のことを事実だと思い庇ったか。


なんで咲江が嘘をついたと思ったか?
重盛の娘が万引きして嘘泣きをするシーンありますよね?
弱いとは思いますが、個人的にはあれ伏線だったと思います。


重盛の娘が電話で「助けてくれる?」というのも伏線でしょう。
実際咲江は父を殺したか、嘘で性的暴行をされ助けてくれと言ったのかもしれません。


まぁ、もしかすると足の怪我も嘘でしょう。


結局私なりの三度目の殺人とは
「咲江が三隅を騙し死刑台へ送った」
という解釈になりました。


◆真相とは


今年公開された『沈黙 サイレンス』でも言われてますが、神は存在しても人間に答えを与えてはくれませんし、助言もしてくれません。
正に沈黙を保ってます。


この事件や真相に関しても答えはありません。
観客が自分の答えを見つけたらそれが真実だと思わせます。


そして結局人生や運命、神などは人間を振り回し、真実を教えてはくれません。

三隅も弁護士たちに真実は教えませんし、色んな意見を言っては振り回しました。


◆まとめ


結局私が思ったのは

「神は真実をすぐに教えはしない。人を翻弄する」

「人は皆嘘つきで汚い。真実を求めたとしても誰も真実をすぐには言わない」


勿論、この考察が正しいとは絶対言いません。
間違ってる箇所もあると思います。
私はこういう意見でしたよと、軽く受け止めてくれれば良いです。

しかし、こういう考察をしていき人と意見をし会うというのも良いかもしれません。


■評価


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最終評価は・・・




☺☺☺☺☺|☺☺⚫⚫⚫

7/10です。

 


色んな解釈を考えてみて、自分なりの考察を友人などと言い会うというのも面白いかもしれません。


長くなりましたが、お付き合いありがとうございますm(__)m
こんな下手な考察をするときもありますが、どうぞお付き合いください





はい、そんな感じで!

それでは!